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【惜別】最後のNSX、タイプSに試乗。生まれも終わりも早すぎた哀切のスーパースポーツ

2022-10-4 11:45| post: biteme| view: 255| コメント: 0|著者: 文:山田 弘樹/写真:市 健治

摘要: 生まれるのが早すぎた 本当に、もったいないーーーーーーー。筆者から「NSX」に贈る言葉があるとすれば、この一言に尽きる。今回試乗したのは世界限定350台、日本の割り当ては30台となったスポーティグレードの「タ ...

【惜別】最後のNSX、タイプSに試乗。生まれも終わりも早すぎた哀切のスーパースポーツ

生まれるのが早すぎた

本当に、もったいないーーーーーーー。

筆者から「NSX」に贈る言葉があるとすれば、この一言に尽きる。

今回試乗したのは世界限定350台、日本の割り当ては30台となったスポーティグレードの「タイプS」。シリアルナンバー「000/000」のメタルプレートを着けた、ホンダ所有の貴重な一台だ。

みなさんもご存じの通り2代目NSXは、今年の12月をもってその全ての活動に幕を下ろす。標準仕様車は既に昨年7月で生産を終えており、残りの時間は、このタイプSの生産に費やされる。つまり本来ならば派生モデルとしてそのラインナップに花を添える存在だったであろうタイプSは、実質的なファイナルエディションになってしまったというわけである。

そんなNSX タイプSに乗り込んでみると、そこには「スーパースポーツのコクピットに滑り込む」という、特別な世界観があった。「NSXを運転する」という行為はいつも、やはり特別だ。

ただそれと同時に、「もはやちょっと古い」という印象も抱いた。まず筆者にそう感じさせたのは、スタートの瞬間だ。スターターボタンを押すと背中に積まれた3.5リッターのV6ツインターボは、それがコールドスタートであればあるほど、短いクランキングのあと豪快な爆発音を立てて目覚める。

「クワイエットモード」を選択して走り出せば、エンジンはすぐさまその鳴りを潜めるのだが。量産“ハイブリッド”スポーツカーとして先陣を切ったNSXであれば、ここは無音で走り出して欲しかった。

今回タイプSはIPU(インテリジェント・パワーユニット)のバッテリー出力を10%、その使用可能容量を20%向上させているのだが、最後の進化としては、もっと現代の空気感に合わせる努力をして欲しかった。

ちなみに、形式と排気量こそ異なるが同じV型6気筒ツインターボと、後輪のみのアシストだが同じくモーター&バッテリーを搭載する「フェラーリ296GTB」は、既にこうした所作を身につけて、現代の路上に残る術を猛アピールしている。

長くなるが、続けさせて欲しい。ここでひとつホンダの弁護をするならば、それはNSXの登場が、2016年ともう6年も前の話だということだろう。確かにその頃私たちは今ほどEVシフトの波にさらされておらず、むしろホンダのフラグシップスポーツカーが重たいバッテリーを積むことへの抵抗感の方が高かった。そんな時代だっただけに、新型NSXにとってこの初爆の儀式は必要だったのだと思う。

そう、NSXは生まれるのが早すぎたのだ。

そして僅か6年の月日が、アッという間に電動NSXを古くした。これこそが、常にアップデートを迫られるデジタル化の恐ろしいところである。

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中身は先進的。でもインターフェイスは古い

また久しぶりに見たインテリアが、相変わらず約2800万円のスポーツカーに見えないところも残念だった。市販車然としたステアリングには、子供じみた意見ではあるがF1を彷彿とさせる演出が欲しかった(そういう考えもあったようだが、そこまで予算を掛けられなかったそうだ)。

百歩譲って市販車のステアリングを使うことは、他のホンダユーザーにとってもNSXとのつながりを感じられるからいい。だがそのステアリングも既にひと世代前のものであり、そのスポークには「Honda SENSING」すら搭載されていない。もちろん先進安全技術の搭載は、一筋縄ではいかない。しかしそのアップデートに置いてきぼりを食らった微妙な古さと、それをカーボン加飾で急ごしらえしてお茶を濁した様が、少し悲しかった。

センタートンネルのデザインは未来的で、シート形状もスタイリッシュ。フェイシアにはレッドステッチのセミアニリンレザーが貼られ、センターモニターフードとグローブボックスをアルカンターラ仕様とすることでアクセントを付けている。ここは素直にデザインの良さを評価したい。しかしこれを縁取るシルバーメッキトリムが、その質感をトーンダウンさせている。特に巨大なドアハンドルは、それが強烈にプラスチック製であることを印象づけてしまう。

およそ2800万円のプレミアムスポーツは、こうした部分にこそ気配りしなくてはいけない。本物の金属を使うことが室内の温度条件やコスト面で厳しいのであれば、もっと頭を使うべきだ。高価な素材でプレミアム性を謳うだけでなく、「BMW i3」のように、リサイクル素材を積極的に活用するといったエシカルさをインテリジェンスで表現して欲しかった。中身は先進的でも、インターフェイスは考え方が古いのだ。

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走り出せば気分は晴れる

さてそんな小言ばかりを並べながら乗り込んだNSXだったが、走り出してしまえばその気分は、驚くほどスッと晴れた。最初に感じたのは、その巨体に相応しくない身軽さだ。タイプSの名にふさわしく足周りは硬めに設え(しつらえ)られていたが、乗り心地はすっきりと爽やか。ハンドルを切ればスマートに進路を変更し、浅いアクセル開度でもスッと加速する。

NSXは北米主導のアジャイルな操縦性をオーソドックスな走りへと改めるために、19年モデルでフロント2モーターの制御とシャシーに変更を加えた。そして今回は、さらにこのシャシーをリニアにコントロールするべく、磁性流体ダンパーのセッティングを見直している。

確かにその乗り味は、街中でもダル過ぎず過敏過ぎず、タイプSのキャラクターを的確に表現していた。ワイドトレッド化したタイヤ(ピレリ Pゼロ)とホイールの剛性が高い分だけコツコツ感は出るが、全体としてはスポーティながらも、すっきり心地良い乗り味が得られていた。

高速道路に入っても、その快適性は高い水準で保たれる。街中同様にタイヤがよく転がり、その走りはクワイエットモードと非常に相性がいい。アクセル開度が浅い状況では積極的にエンジンを止めて、モーターで走ってくれる。

車幅の割にその操縦性はあまりにイージーだから、ほどよく固められたサスペンションの乗り味だけが、スポーツカーに乗っていることを自覚させてくれる。9段もあるDCTのパドルを時折いじくり、エンジンブレーキで車間を調整したり、ちょっとだけ加速を楽しむ。

だが、それでいいのだ。

沢山のクルマたちが走る街中や高速道路で、品良く走るNSXのアンダーステイトメントっぷりは本当に心地良い。その注目度は、抜群に高い。しかしマットグレーのボディカラーと、エッジを効かせながらも落ち着きのあるデザインのせいだろう、周囲の視線は柔らかく好意的だ。

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ワインディングでようやく本領発揮

とはいえNSXが一番その本領を発揮するのは、もちろん一人の時間だ。

アップダウンがあり、ミドルコーナーとタイトコーナーがほどよく入り交じる西伊豆のワインディングでは、NSXがようやくその本性を少しだけ見せてくれた。

3.5リッターのV型6気筒ツインターボは、それが過給器付きエンジンであることを意識させないほどスムーズに回る。そこには過給圧上昇までのプロセスをモーターがアシストする効果が高いようで、エレクトリックブーストが過剰に加速を後押しするという印象はない。ターボゆえそのサウンドは低中音域こそ勇ましいが、高回転での炸裂感はない。しかし、レブリミットまできっちりと回りきる。

似ているな、と思うのはホンダのバイクだ。まるでモーターのように吹け上がるあの、ある種無味乾燥とも言える冷徹さ。これをまさに、モーターも使って実現しているというわけだ。

そしてこれを支えるSH-AWDの制御と、シャシーバランスにも変化を覚えた。相変わらず驚かされるのは、回り込んだコーナーでの走りだ。そして曲率が上がれば上がるほど、その旋回性能が高まっていく。稚拙な表現で恐縮だが、その走りはミッキーマウス的で、“クルクルクルクルッ”とその巨体が小回りする。

フロント2輪を別々のモーターで駆動するSH-AWDは、19年モデルからその制御がより自然なものとなったが、今回さらに改良が加えられたようだ。ターンインでは左右輪のトルクベクタリングを若干効かせながら鋭いターンインを実現し、ターンミドルではその協調性を弱めてミッドシップ本来のヨー慣性モーメントで旋回。そしてアクセルオンではAWDの駆動力をもって、アペックスから力強く立ち上がるという寸法だ。

個人的には、ミドルレンジ以上のコーナーでもう少しだけ、軽やかに旋回できたら……と感じた。サーキットのような高負荷領域であればちょうどよい荷重バランスなのかもしれないが、ワインディングレベルではターンミドルからアクセルを踏み始めると、早めに前輪がプッシュされてしまう。

もちろんそれは、贅沢な注文だ。ミッドシップらしい回頭性と、AWDによる安定性の両立は、矛盾をはらんだ壮大なテーマでそのバランスが難しい。だからこそNSXには、ミドシップスポーツへの回答を追い続けて欲しかった。現状では、曲がり込んだコーナーほど運転が楽しい。

それより気になったのは、ブレーキの制御だった。回生ブレーキの影響か、カーボンセラミックローターの適正温度領域がもっと高次元なのか。タッチは一見ソリッドで良いのだが、肝心な制動距離が合わせにくく、これもリズムを作りにくい要因になっている。

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これで終わってしまうのか…

ともあれエンジン単体で529PS、システム出力にして610PSを実現するそのパワーを、オンロードを走る限りだが、NSX タイプSは上手に受け止めさばいていた。そのパワーユニットが、頭が真っ白になるほど官能的だとは言いがたい。しかしそれは現代の環境性能に対して真摯に向き合った結果であり、かつそのパワーを完璧に使い切るためのドライバビリティを優先した結果なのだ。そんな徹頭徹尾のシャシーファースター具合も、バイクと同じくとてもホンダ的だと思う。

乗れば乗るほど、NSXがこれで終わってしまうのは残念だと感じた。ホンダはいつもライバルに先んじて最先端の技術を量産・市販化するが、これを途中で投げ出してしまうのも、いつものことである。技術に走りすぎ、もしくは早く出そうとしすぎて、世の中の流れを無視してしまうのはホンダの悪い癖だ。もし今NSXがプラグイン・ハイブリッドとしてデビューしていたら、十分世界にその技術力を誇れたと私は思うのだ。

もっと言えばそれは、ホンダユーザーやホンダファンをも突き放すことになる。NSXといえばホンダ車ユーザーにとって憧れとなるべき存在であり、たとえ手に入らなくても笑顔で迎えられる存在であるべきだと思う。今それを担っているのは、「シビックタイプR」だ。

終始小言の多い試乗記となってしまったが、これもホンダが好きだからだと理解して頂きたい。もし3代目としてNSXが復活するときには、投機目的の富裕層にではなく、ホンダユーザーに愛されるスポーツカーになって欲しいのである。

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