7割以上が上級グレードのGレザーエディションを選択日産ノートをベースに、専用のルックス(ワイドボディ)、高い動力性能、充実した装備を盛り込んだ上級版ノート オーラの販売が好調だ。8月17日の発売から約3週間で受注1万台を突破した。受注の内訳は、2WDが67%で4WD(25万8500円高)が33%、GとGレザーエディション(8万9100円高)の2種類あるグレードのうち、前者が29%で後者が71%という。発売当初に高いグレードが売れがちなのはどのモデルにも共通することだが、発注者の約3割が50代とコンパクトカーとしては年齢層が高いことから、より大きな、より高価なクルマからのダウンサイザーの比率が高く、上級グレードが売れているのかもしれない。 さてノートといえばe-POWERだ。同クラスのコンパクトカーにはたいていHV(ハイブリッド)とICE(通常のガソリン内燃機関車)が設定されるのに対し、車種もグレードも絞る傾向にある日産はノートにe-POWERのみを設定する一本足打法。当然、上級版のノート オーラもe-POWERのみだ。オーラにはノートのそれよりも性能の高い最高出力100kW、最大トルク300Nm(ノートは同85kW、同280Nm)のモーターが搭載される。このモーターに電力を供給する発電機として1.2L直3エンジンが搭載される。 エンジンは発電に徹し、駆動は100%モーターが担うシリーズハイブリッドのe-POWER。先代ノート、セレナ、キックス、そして新型ノートと搭載実績が増え、搭載車の累計販売台数は今年4月に50万台を超えた。車種や販売台数が増えればユーザーからのフィードバックも増え、日産にノウハウが蓄積される。実際、新しいモデルで試すe-POWERほど好印象だ。具体的には発電のためのエンジン始動頻度が低くなり、またエンジンがかかっている間の音と振動がよく抑えられている。 先代ノートと比べると、長らく使われてきた旧世代の車台&初期e-POWERと、新世代の車台&第2世代e-POWERの比較となるため、車台そのものの遮音性や制振性の向上に、発電時のエンジン回転数の低回転化をはじめとする制御の進化が加わるため、印象は大きく異なる。新型ノートで静かになったなと感じたが、オーラは遮音性能も高められているため、さらに静かだ。初期e-POWERよりも頻度が低いといっても大きなバッテリーを搭載しない(からこそコストと重量を抑えられるのがe-POWERのミソ)以上、少しアクセルペダルを踏み込めばエンジンはかかる。そのかかった際の音と振動の車内への伝わり方がマイルドで、遠くで音がするなという感じで、不快さが大きく低減した。 日産 ノート オーラのカタログページを見る 日産ノート eパワーの買取相場 静かで力強いが、不整路面でバタつく乗り心地ノートでも発進加速、中間加速ともに十分な力強さを感じさせ、実用域でパワー不足を感じる場面はないが、オーラはもう一段力強い。アクセルペダルを踏み増せばどこからでもグイッと加速する。変速しないe-POWERには、AT車のうざいキックダウンもなければ、CVT車にありがちなラバーバンドフィール(エンジンの回転だけが先に上がり、遅れて加速すること)もなく、EV同様シームレスに加減速する。モーター駆動ならではの応答性の高さが心地よい。過去二度試乗し、いずれも実燃費は21km/L程度だった。 回生によってアクセルを戻した際に立ち上がる強い減速Gも、モーター駆動のもうひとつの特徴だ。ドライブモードでスポーツかエコを選べばその特性を利用することができる。いわゆるワンペダルドライブというやつで、ペダル踏み換え頻度が減り、慣れれば加減速の繰り返しとなる市街地などで非常に便利だ。ノート及びオーラの減速Gは先代ノートやキックスに比べ、穏やかに立ち上がるように思えた。ドライバーが心地よい、運転しやすいと感じる減速Gの立ち上がり方は人それぞれで絶対的な正解はないが、多くの人がちょうどよいと感じる最大公約数的な制御を入れているのだろう。 第2世代e-POWERには荒れた路面で積極的にエンジンをかけて発電するという制御が加わった。どうせ悪路でロードノイズと振動が発生するなら、その隙に積極的に発電してエンジンの音と振動を隠してしまおうというアイデアだ。今回、初めてそれを実感できた。千葉の田舎道を40km/h前後で巡航中、メーターに表示されるバッテリー残量が4分の3あったにもかかわらずエンジンがかかった。このタイミングでかかるのは珍しいなと感じた瞬間、舗装が悪い区間を走行していることに気づき、思わず「これかー」と発してしまった。 ただ、路面がよくない区間でやや気になる点も見つかった。40~60km/hあたりで不整路面に差し掛かると、車体が結構バタバタとハーシュネスを伝えてくるのだ。また路面の凹凸によって発生するピッチングも、もう少しソフトに丸めて伝えてほしい。高速巡航中の直進安定性が高く、ステアリングを切った際のロールもよくコントロールされているだけに、このあたりの振る舞いが改善されれば、より堂々とノートよりも高いお代をいただくことができると思う。 日産 ノート オーラのカタログページを見る 日産ノート eパワーの買取相場 300万円を超える価格でも装備を考えると高くはないもちろんオーラには日産自慢の運転支援システムのプロパイロットを装備することができる。モーター駆動はプロパイロットの制御のきめ細かさにも貢献していて、先行車との微妙な車間調整は得意技。車線中央を維持するためのステアリングアシストも、多少白線が薄くなっても粘り強く作動し続け、安心感があった。また日産コネクトナビと連動していて、コーナーの曲率に応じて車速を設定速度よりも下げる制御も入った。日産コネクトナビは文字通りインターネットとつながっており(有料)、スマホから目的地をナビに送信できたり、OTAで地図情報の更新ができたり、遠隔地からスマホで車両をロックできたり、車内Wi-Fi(有料)も使える。 現時点でオーラ専用となるBOSEパーソナルサウンドシステムは、左右の前席ヘッドレスト両サイドに組み込まれたスピーカー、ドアスピーカー、ツイーターの8スピーカーと専用アンプからなり、音質がよいだけでなく乗員が音の広がり方を調節できるパーソナルスペースコントロール機能が付く。これによって小さなライブハウスにいる時のように音が前方から聴こえるようにも、オーケストラを最前列で聴いている時のように広い範囲から聴こえるようにも設定できる。やってみたが、違いは大きく面白い。 プロパイロット、日産コネクトナビ、BOSEパーソナルサウンドシステムはどれも魅力的だが、これらは40万1500円のセットオプションだ。どれかは必要だが、全部はいらないという人も少なくないだろう。現時点の受注者の装着率は88%と高いそうだが、そりゃプロパイロットはe-POWERと並び日産車を選ぶ大きな理由だからそれくらいの率になるだろう。つまり261万300(G、FWD)~295万7900円(Gレザーエディション、4WD)+約40万円が事実上のオーラの価格ということになる。プロパイロットは標準装備するか、単体のオプションとして設定すべきではないか。 5個のカメラ、3個のミリ波レーダー、8個のソナーで車両周囲の障害物を検知する360度セーフティアシストは標準装備。アダプティブLEDヘッドライト、前方衝突予測警報、ふらつき警報、標識検知機能、車線逸脱防止支援、後側方衝突防止支援、後側方車両検知警報、踏み間違い防止アシスト、後退時車両検知警報、SOSコールなど、高価格車に引けを取らない安全装備が備わる。 ICE版がないのでスターティングプライスが高めに感じるが、一つひとつ装備を突き合わせてみればライバルに比べて高いわけではない。コンパクトカーが担うユーザーの守備範囲は広がり、サイズは小さく装備は充実したクルマを求める層も増えた。大きいクルマでオラつくのではなく、コンパクトカーでオーラを放ちましょうというのが日産のメッセージなのかもしれない。 日産 ノート オーラのカタログページを見る 日産ノート eパワーの買取相場 スペック例【 ノート オーラ G 】 日産 ノート オーラのカタログページを見る 日産ノート eパワーの買取相場 |
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