GLCよりやや小さなボディの3列7シーターメルセデス・ベンツのコンパクトモデル群に新たなモデルが加わった。それが「GLB」と呼ばれるSUVモデルだ。今回はスペインのマラガで開催された国際試乗会から報告する。 メルセデス・ベンツには既に「Aクラス」「Aクラスセダン」「Bクラス」「CLA」「CLAシューティングブレーク」という新世代コンパクトモデル群があるが、新型GLBもこれらとアーキテクチャを共用する。とはいえシリーズ唯一となる3列シートの7シーターモデルなので、新世代コンパクトの中では最も大きなボディサイズをもつ。 3サイズは全長4634×全幅1834×全高1659~1663mmとなる。これは1クラス上の「GLC」よりも一回り小さい程度のサイズだ。ホイールベースは2829mmで、これもGLCより約40mm短い程度で、同じコンパクトのBクラスよりも約100mmも長く設定されている。そこに3列7シーターがアレンジされているわけだ。 外観デザインはこれまでとテイストをやや異にしていて、GLBはボクシーな印象が強い。顔つきもライトやグリルなどにスクワークル(四角だけど角は丸い形状)を用いて可愛らしい雰囲気を醸し出している。また全幅と全高の関係からか、他のモデルのようなワイド感を狙うというより、縦長のSUVデザインになっている。 一方でインテリアは基本的にBクラスと共通に思えるが、助手席側のダッシュボードやドアトリムにアルミパイプのようなディテールを与えたほか、センターコンソールのタッチパッドの後ろにはGLBならではのパームレストも用意される。 2.0L直噴ターボを積む2つのグレードに試乗搭載エンジンは多様だ。今回試乗したGLB 250 4MATICとAMG 35 4MATICは共に2.0L直列4気筒直噴ターボを搭載する。250が最高出力224ps/最大トルク350Nmで、AMG 35 4MATICが最高出力306ps/400Nmを発生する。そしてこれを8速のDCTを介して4輪に駆動を伝える。未試乗ながら200と220のディーゼルも用意されており、日本ではこれが本命になってくるだろう。 4MATICは通常80:20、スポーツモードでは70:30の前後輪トルク配分で、最大で50:50まで可変する。4MATICは本国ではオプション設定のようでFFモデルも存在する。日本にどんな仕様が導入されるかは未定だ。 メルセデス・ベンツのコンパクトモデルのサスペンションはフロントはストラットで共通するが、リアはモデルや仕様によってトーションビームとマルチリンクの2種類が用意されている。GLBは基本的にマルチリンクのようで、トーションビームを用いたモデルというのは確認できなかった。おそらくクルマの性格上、マルチリンクがデフォルトだろう。 クラス上のGLCに迫る乗り心地の良さ印象的なのは乗り心地の良さで、これは素直にクラス上のGLCに迫るものがあると断言できる。サスペンションの動きが想像以上に滑らかで、いかにも高いダンパーが採用されているような印象だ。しかも驚きなのは装着タイヤがAMG 35では21インチ、GLC 250でも20インチを装着していたこと。 高速道路でのフラットなフィールも脱コンパクトクラスだ。カジュアルな乗り味なのかと想像していたが、上のクラスを感じる質の高さと、メルセデス・ベンツのクルマらしい落ち着いた感覚が強くあったことに感動した。 搭載エンジンはどちらも不満は少なく、250は全域で力強く扱いやすいものとなっている。AMG 35のエンジンはそこにスポーティさがプラスされた感覚で、どのモードでも基本的に250より元気でサウンドも常に大きめだった。ただ、AMG 35はコンフォートモードだと常用域のわずかなアクセル開度でトルクが薄く感じることもあった。 今回は一般道と高速、そしてオフロードを走ったが、ハンドリングは操作に対して極めて忠実なメルセデス流だ。操作するまで余計な動きはしないから高速道路では安心感が高いし、ワインディング等ではドライバーの意図通りに気持ちよく走れる。ドライバーズシートにいる限りは快適な乗り味走り味を常に提供してくれた。 3列シートは身長168cmでギリギリ使える範囲GLBのトピックは3列7シーターであるということ。3列目は本国ではオプション設定で、当然2列仕様もある。どちらも2列目は150mmのスライド機構を備えており、一番後ろに下げるとレッグルームはかなり余裕がある。そして3列目だが、メルセデス・ベンツによれば身長168cmまでであれば安全に座ることができるという。乗車可能サイズや安全性の基準を明らかにしているのは好感がもてる。筆者は偶然にも168cmだが、2列目を一番前にスライドした状態ならば、短距離は我慢できるスペースが確保されていた。 車格的には「BMW X1」や「アウディ Q2」、「ミニ クロスオーバー」あたりがライバルとされるはずだが、ご存知のようにライバルに3列7シーターが存在しないことを考えると、その存在は独自といえるし、むしろ乗車人数でいえば国産ミニバンや、長さは敵わないが「マツダ CX-8」なども候補に上がってくるかもしれない。それらのライバルと比べても走りが最も落ち着いており、高品質なのがGLBの特徴だろう。 予想価格は600万円超~。格上のGLCも検討対象に実力はお墨付きと言えるメルセデスの新世代コンパクトにして、日本市場で注目されるだろう3列7シーターを備えていることは、相当に高い商品性を実現したわけだが、弱点は価格だ。あくまでも予想だが、250でも装備によって600万円台に収まるかどうか、AMG 35なら700万円台に収まるかどうか…という感じである。 ベーシックなエンジンや2 列5シーター仕様として価格を下げることもできるだろうが、最近フェイスリフトしたGLCがこれまでの廉価版をやめて、最も安いモデルで690万円からに設定されている。となるとこれはGLBが置かれる価格帯が準備されたようなもので、その下に位置することは間違いなく、そこにオプション等を加えると…と大体の想像がつく。その意味では一つ上に位置するGLCとの検討もされる1台になるかもしれない。 スペック【 メルセデス・ベンツ GLB 250 4マチック 】 |
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