第2弾はスーパーハイトワゴン軽のボリュームゾーンのシェアを奪うべく、日産と三菱が協業で作った軽自動車メーカー「NMKV」は、デイズとeKワゴンに続く第2弾として、日産版の「デイズ ルークス」と三菱版の「eKスペース」を登場させた。日本国内の新車販売の約40%を占め、活況を帯びている軽自動車市場だが、そのうち25%はダイハツ タントが切り拓いたスーパーハイトワゴンと呼ばれる“超スペース”軽のカテゴリーになっている。軽の3強メーカーが凌ぎを削り合う中で、NMKVも黙っているハズがなかった。 一家に一台のファーストカーとして頼り甲斐のあるクルマとしての軽、小さくても上級モデルからのダウンサイジングで見劣りしないスモールカーを求める傾向など、ユーザーニーズの多様化が加速していく時期に「NMKV」は誕生した。変化していくトレンドを潔く採り入れられる若いメーカーの強みを生かして、これまでの軽の固定概念に縛られない魅力的な商品を登場させようしている。今回は日産ディーラーで販売される「デイズ ルークス」に試乗する機会を得たので、早速その魅力の秘密に迫ってみたい。 デイズよりも背が高く、後席のシートアレンジによって、27インチのママチャリまで積める積載能力をもつデイズ ルークス。後席には両側スライドドアを備え、ワンステップでラクに乗り降りができる背高ボディは、駐車場で子供が隣のクルマに“ドアパンチ”を食らわして青ざめる心配からも解放される。 後席のフロアから天井までの高さは1400mmで、セレナをはじめとする5ナンバー・ミニバン級の室内高には驚かされる。実用的な空間を備えているのは有り難い限りだが、室内スペースと外観デザインの両立はなかなか難しい。1480mmを切る細身の全幅に1700mmを超える高さのルーフをもつスーパーハイトワゴンは、重心が高く、不安定な形に映りがちだ。その点、デイズ ルークスにはアンバランス感を打ち消す巧妙なデザインが施されている。抑揚を与えながらも、角が落とされたメリハリボディは、ガラスケースに並べられたチョコレートの粒を連想させるものだ。 広い窓面積をもつこなれたデザインは、乗り手をチャーミングに見せる絶妙なバランスに仕上がっている。フロントフェイスは水平グリルの採用に加えて、ヘッドライトの下にメッキパーツを潜り込ませることで、横方向にワイドな安定感を演出。さらには、セレナやエルグランドといったミニバンにも設定された上級仕様のハイウェイスター顔までラインナップされたことで、セレナのミニチュアモデル的な存在感を手にしている。軽ならではのカジュアル感が親しみやすさを与える世界とは少し異なり、デザインの質が高く、モダンに乗りこなせるスモールカーというイメージだ。 ルークスは後席の快適性にも注力デイズ ルークスを見ていると、ユーザーの心を掴む上で走り以外の要素がいかに大切かを実感せざるを得ない。車内に乗り込んで感心するのはシートの素材感とコシのある座り心地。このあたりはデイズでも好評を得ていたものだが、デイズ ルークスのシートは大らかな形ながら、前席腰回りのクッションに厚みがあって、腰とシートの隙間をピッタリと埋めるようにフィットする。適切な運転姿勢がとれ、走行中に身体がグラ付きにくく、クルマの動きをしっかりと感じ取ることができるので、運転操作が遅れてもたつくこともない。 このクルマがライバルをリードしているのは、後席の乗員が快適に過ごせるように配慮した機能装備の数々だ。後席は左右の座席が独立式で260mmの前後スライドが可能なほか、前席と後席の距離を近づけて、チャイルドシートに座る子供とコミュニケーションをとることもできる。 大きな荷物を積む時に後席の背もたれを倒してアレンジができる構造のわりに、シートのクッションはしっかりとコシのあるものが用いられていて、座り心地が犠牲になってしまうようなこともない。助手席の背面にはシートバックテーブルが用意され、乳児用の携帯用ドリンクマグが収まるボトルホルダーが軽に初めて採用された。テーブルには停車時に動画を楽しむ時など、タブレット端末が立てかけやすい凹みを設ける細かな配慮も忘れない。 前席乗員の頭上に設定されたシーリングファンは、車内の空気を循環させて広い室内空間を快適に保つ高級車的な装備。さらに後席のサイドウインドウに装着されたロールサンシェードを引き上げれば、体感温度は4度近く低く抑えられるという。 また、運転席でハンドルを握る女性にとっては、UVを99%カットするガラスが採用されているというのも心強い。ただし、面積が広くとられたガラスエリアは見晴らしがいいが、外側から前席の乗員の様子が見えそうなので、ノーメイクの時はサングラスが欲しいところだ。 重量級ボディをスムーズに走らせる秘密デイズは燃費を意識したパワートレーンで、特にNA仕様の場合、街乗りでは加速リズムがまったりとして、ややフラストレーションが溜まった。だが、デイズ ルークスの標準モデル「X」のNA仕様に試乗してみると、デイズより100kg近く重たいのに、車速がある程度乗れば、アクセルペダルに足を軽く乗せる程度で必要な加速が得られる。 デイズよりもスムーズに走れると感じた理由は、走り出しから力を発揮しやすくしたCVTのギア比と、サブバッテリーの存在も影響している。減速時に発電し、回収したエネルギーを「サブバッテリー」に蓄えておけば、発電の負荷が減らせる分、エンジンパワーを走りのパフォーマンスに振ることができる。 重量増をフォローするために剛性を高めた各部のパーツもプラスに作用して、しっとりした乗り味を実現。カーブでハンドルを切り込んでみると、切り出しの反応を抑えた設定で、唐突な動きでグラ付きを与えることなく、安定感のある姿勢で走っていく。 ハイウェイスターのターボ仕様「X」にも試乗した。ハンドルの切り増しや切り戻す際の手応えが標準モデルと比べて格段に上質になっている。パワーの出方もターボラグなどを感じさせない自然なもので、大人っぽい走りを期待する人には最適だろう。 また、運転をアシストする機能装備も積極的に採用している。クルマを頭上から見渡したかのようにルームミラーの左端に映し出す「アラウンドビューモニター」もそのひとつ。車庫入れ時のクルマの進入角度や周囲の障害物の様子がよくわかるし、運転に慣れている人でも短時間で正確に車庫入れできる。こうしたミニバン由来のテクノロジーの導入は、これからの軽ワゴンにとってプラスαの魅力となっていきそうだ。 軽快に走れるフットワークの軽さと低燃費、オーソドックスな軽ワゴンの魅力を磨き上げたスペーシア。個性的なデザインとカラーリング、ユーティリティ性能を磨き上げたN BOX。ミラクルオープンドアを採用し、基本性能のレベルを底上げしたエポックメイキングなタント。そこにデイズ ルークスが加わることで、スーパーハイトワゴンのカテゴリーは役者揃いとなった。 積載性やスペックの面ではどのモデルを購入しても同じだと思われがちだが、実際に乗るとキャラクターは大きく異なる。デザインの好みや先入観で選ぶのではなく、「誰がどんなシーンでクルマを使うか?」をシミュレーションしながら、自分にとって最適なクルマに出会って欲しい。その意味では、デイズ ルークスは家族とともに快適な日常を送りたいと願う人に最適な選択肢となるだろう。 |
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