溝の刻み方、構造、材料にいたる全てを刷新ファルケンはフラッグシップのアゼニスをフルモデルチェンジした。新型「FK510」は高速操縦安定性とウエット性能を重視したスポーツ系プレミアムタイヤ。オリジナルのFK510が50サイズで215/45ZR17~255/30ZR21、SUV向けのFK510SUVが15サイズで235/55R17~295/30R22、新工法「NEO-T01」を採用したランフラットが9サイズで225/45RF19~275/35RF19、合計74サイズの大変幅広いラインアップが用意された。 新型FK510は、基本的な非対称デザインを旧型から継承するものの、溝の刻み方、構造、材料にいたる全てを刷新。新世代技術で作り上げた。完成したFK510を見ると、2つの大きな特徴が目立つ。1つは3本の太い主溝。もう1つは一般的なスポーツタイヤと異なりブロックピッチが細かい点だ。 欧州トレンドの耐ハイドロ性能を重視した主溝太い主溝は高速域の耐ハイドロプレーニング性能を重視する欧州スポーツタイヤのトレンドであり、珍しいものではない。日本では静粛性を重視するユーザーが多いため、細い溝のモデルが多いが、欧州で先行販売するFK510の場合は耐ハイドロプレーニング性能を重視して、しっかりした溝を刻んだ。一方、ブロックピッチは一般的なスポーツタイヤから考えると明らかに細かい。センターからショルダーまでストレートリブを廃止。すべて横か斜めのサイプを刻み、ショルダー部は太い横方向の溝を刻む。これはウエットブレーキ性能を狙ったものだと推測できる。欧州では雨の日の高速ブレーキング性能が極めて重要で、ユーザーニーズも高い。ハイパワーな高性能車が増えており、車重も増加傾向。とくにウエットブレーキ性能は重要度が増しているわけだ。 ちなみにFK510は、欧州の著名なタイヤレビューを実施するオートビルト誌で52モデル中2位を獲得した。耐ハイドロプレーニング性能やウエットブレーキ性能が優れていなければ上位獲得は不可能だ。欧州ラベリング制度のウエットブレーキ性能は日本の“a”と同じグレードに到達。日本では「余裕を持って“a”をクリア可能」というから、パターンデザインとともに、シリカを駆使した新コンパウンドの相乗効果がいかんなく発揮されていると言えそうだ。 欧州車との相性がいい落ち着いた乗り味試乗はまずメルセデスC180とFK510の組み合わせから。接地面は丸みを帯びた最新の技術トレンドを採用してあり、インチアップサイズでも乗り心地が悪化せず快適性がキープされている。太い主溝が発する気柱共鳴音や、ショルダー部の横溝のピッチノイズは少し聞こえるが、溝の太さから想像するより静かに抑えられていた。高速域のセンターフィールはスポーツ系としてはマイルドなイメージ。直進性が良好で切れ味も素直だが、シャープではなく落ち着いている。 VWゴルフRでも試乗した。225/40R18の純正同サイズを装着。スポーツサスペンションとのマッチングでも乗り心地は良好で、大きな凹凸以外はショックを伝えにくくなる。操舵フィールはシャープすぎずドライブしやすい。ポルシェ・マカンではフロント235/60R18、リア255/55R18のFK510SUVを試乗した。乗用車用FK510よりさらにマイルドなイメージで、落ち着いたハンドリング特性に感じる。直進安定性が優れているため長距離ドライブにマッチしそうな印象を受ける。 ナチュラルなハンドリングと柔軟な乗り心地が持ち味スポーツ系フラッグシップタイヤといっても様々な味付けがなされ、モデルによって乗り味が異なる点はよく知っておきたい。FK510は、速度規格W~(Y)をクリアするしっかりした内部構造を備えているが、がっちりした剛性やシャープなハンドリングを追求する方向のタイヤではない。ナチュラルなハンドリングと高速域の安定性、柔軟な乗り心地、さらにウエットブレーキ性能と耐ハイドロプレーニング性能を備えたフラッグシップタイヤである。その点を理解していれば、高い満足度が得られるはずだ。 |
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