中身も外見も完全にアスリート化時代も変われば変わるものよ。かつてはショーン・コネリーの如くエレガントでクラシックなムードを纏ったジェームス・ボンドが、今やマッチョな格闘家イメージをも漂わせているように、ジャガーも完全に生まれ変わったのだ。それを改めて感じたのが先日、日本に上陸した初のコンパクトSUV、Eペイス。 今の売れ線モデルで4.4mの全長はBMW X1や出たばかりのボルボXC40のガチンコライバル。ところがイメージは全然違う。これまでのジャガーは古き良きイギリス文化の象徴だったが、今や中身も外見も完全にアスリート化。もちろんクルマは悪くない。問題は、日本のクルマ好きが本当にこの変化に付いて行けるかなのだ。 そもそもジャガーは2007年に強力なモダンセクシー路線に変更。ミディアムセダン「XF」をきっかけに生まれ変わったが、中でも大きかったのは2016年誕生のジャガー初のSUV「Fペイス」。コイツはFRプラットフォームベースの本格的スポーツSUVで、マッチョでモダンなスタイルと本格的な走りが売り。それもアウディAWD的な全天候型スポーツじゃない。もっと男臭いワイルドなステアリングフィールや走り味を備えていた。エレガントと同時にタフでワイルド&モダン。カッコは確かにいいが、正直魅力をはかりあぐねていた。これは本当にジャガーらしいのか? と。 圧倒的にマッチョな見た目&セクシーなインテリアさらなるワイルド化を裏付けるのが今回のFペイスの弟分、Eペイスだ。小沢は最初、そこまで本格的な走りとワイルドさを持っているとは思わなかった。骨格が基本ジャガー・ランドローバーグループの「ディスカバリー・スポーツ」や「レンジローバー・イヴォーク」と同じだったからだ。エンジン横置きプラットフォームベースの4WDだし、そこまで濃い味付けをしてくるとは思わなかったのだ。 ところが見た目から圧倒的にマッチョ。全長×全幅×全高は4410×1900×1650mmと長さの割に明らかに幅広めで、SUVでありながらSUVっぽさが薄い。塊感が物凄く、ブラックボディだとちょっとした兵器にも見える。 エレガント路線じゃない。完全にワイルド&セクシーだ。ある種暴力的な匂いすらする。かたやうって変わってセクシーなのはインテリアだ。特に小沢が乗ったファーストエディションの真っ赤な本革内装は圧巻。クオリティの高い革風素材のダッシュボードや赤いステッチ、バックスキン調のピラー内張りは非常に質感が高く、そこに時折リッチな光のメタリック調素材が加わる。 ATシフトは最近ジャガーで当たり前のダイヤル式ではなく、イマドキの前後ゲート式。きめ細かい9速ATで、使い易くて兄貴分より間違いなくオススメ。こだわりの強すぎる操作系は、実は使いにくいものなのだ。 走り出すとガッチリ感の塊。明確にドイツ車対抗のフェイズへさらにビックリするのが走り味。座った瞬間からしっかりさを感じ、シートの取り付け剛性、硬めの本革表皮ともに無駄な遊びなし。かつてジャガーが持っていた癒し系の味わいではなく、まさにスポーツカーの如し。とはいえ乗り心地は良好で、ホールド性も高いのでより高次元な一体感が味わえる。 走り出すとこれまたガッチリ感の塊。ボディ全体、ステアリング周り共に剛性は十分で、フィーリングはソリッド。タイヤの動きに正確にノーズが付いていく。この当たりは、ドイツ系プレミアム顔負けであり、もはや英国ブランドジャガーも、北欧ブランドボルボなどと同様、明確にドイツ車対抗のフェイズに入っているのだ。 かたやパワートレインは新世代ジャガーが生みだしたインジニウムエンジン。2L直4ターボのガソリンとディーゼルが選べ、電動化も図られるだろうが、素生として太い低回転と気持ちの良い高回転の伸びが自慢だ。現状日本には「P250」という最高出力249psモデルと、「P300」という300psモデルの2つがあり、今回はP250に乗ったがパワー感は十分。ドライブモードでダイナミックを選び、アクセルを吹かすとそのまま6000回転まで気持ちよく回る。この当たりの気持ち良さはドイツ車にはないものだ。 大変革の時を迎えているジャガーそれからEペイスのもう一つの売りは新世代のコネクティビティや先進安全。10.2インチのセンターモニターはスマホ並みのタッチ操作が可能。オマケにオプションの車内Wi-Fiシステムにドコモ系のフリーSIMを指せば、助手席スマホでネットサーフィンはもちろん、最大8台までのデバイスをインターネットに接続できる。 唯一、最新インフォテイメントシステムでアップルカープレイやアンドロイドオートを使えないのが疑問だが、要するにこれまでのジャガーとは思えないほどワイルド&セクシーな新型コンパクトSUVがEペイスなのだ。 今回ショーン・コネリーどころか、エグザイルにも似合いそうなワイルド&リッチなテイストを纏ったジャガー。レクサスLSが「セダンのボンドカー」を、ボルボが「北欧王室の如きノーブルさ」を纏い始めたように、ジャガーも大変革の時を迎えている。 その姿にまだ戸惑いはある。かつてのイメージと余りに違い過ぎるからだ。だが、今やプレミアムは勝負の時。新興国も含めてマーケットの伸びは凄く、つくづくドイツ車にひとり勝ちさせている時代じゃなくなったということなのだ。 スペック【 Eペイス R-DYNAMIC HSE P250 】 |
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