航続距離は初代リーフ(前期型)の倍へと大幅に改善400kmという航続距離は、「先代リーフ」のデビュー当時の実に倍の長さである。先代後期型の280kmに対しても、その差は大きい。もちろん、実燃費とモード燃費には依然、大きな差があって、「新型リーフ」の場合でも筆者が広報車を借用した時には100%充電の状態で航続可能距離は257kmに留まっていた。もちろん、これは前の使用者の走り方にも左右された数字であり、それだけで何かを語るのは難しいが、それでもこれだけ走ってくれれば多くの人にとって、ようやく実用的に使えるというレベルまで来たと言っていいのではないだろうか。 思えば先代は、100%充電でもやはり120km程度しか走れず、しかもクイックチャージャーで80%まで充電した場合には、100kmの距離を走ることも難しかった。特に真冬など、せっかく充電設備のあるところまで暖房を切って頑張ってたどり着いても、30分待った挙句に残り航続距離は80数kmにしかならず、落胆したことがあったのを、よく覚えている。 航続距離の大幅な延長は、リチウムイオンバッテリーの容量が先代後期型の30kWhから40kWhまで拡大された上に、制御の見直しにより電費向上が図られたおかげだ。充電所要時間は、急速充電の場合で80%まで約40分と若干伸びたが、それでもEVの最大の懸案事項が大幅に改善されたことは間違いない。 ダイレクトなe-Pedalがクルマとの一体感を高めるその上で新型リーフは、EVならではの走りの歓びをも、更に増大させている。「ノートe-POWER」に採用されたe-POWER Driveを発展させて、ほぼアクセルペダルだけでの運転を可能にしたe-Pedalの採用が、その一番の特徴だ。アクセルペダルをオフにすると減速Gを発生するのは同様だが、e-Pedalでは最大0.2Gというより強い制動力を発生できるようになり、また必要に応じて油圧ブレーキも併用することで、より細やかな制御、そして完全停止と停止保持を可能としているのが、両者の大きな違いとなる。 スペックも最高出力150ps、最大トルク320Nmにまで高められているから、動力性能は余裕綽々。発進は至極滑らかで、しかもアクセル操作に即応して力強く速度を高めていく。ダッシュ力は機敏で、これなら普段は反応が穏やかになるECOモードで十分と思わせるほどだ。もちろん、加速はどこまでもシームレスで、静粛。まさにクラスを超えた上質感を味わえる。 e-Pedalをオンにすると、クルマとの一体感が更に高まったように感じられる。ペダルを踏み替えなくても瞬時に減速Gが出るから、例えて言うならMT車のようなダイレクトなコントロールを受け付けてくれるのだ。コーナーの連続する区間でのリズミカルな走りっぷりが、とても気持ち良い。 ECOモード、e-Pedalはオン・オフの切り替えが可能だし、Dレンジの他に強い減速が可能なBレンジも備わるから、好みに応じて走りのキャラクターを変更することができる。これもまたEV、というか電気モーター駆動ならでは面白さと言えるだろう。 但し、右足を緩めただけで停まってくれるつもりが、e-Pedalがオフになっていて停まってくれずに焦る、ということは実際に十分起こり得るから注意は必要。また、急制動の時に咄嗟にブレーキペダルを全力で踏めるかどうかということも、意識はしておいた方がいいように思う。 セレナより実用的になったプロパイロットこうして積極的に運転しようという気にさせる新型リーフだが、一方でニッサン車では3台目の採用となるプロパイロットも採用された。“高速道路単一車線での自動運転技術”と謳うコレは、設定速度の維持、前走車への追従に、完全停止まで行なうACCと、車両を車線内に保つ操舵制御を組み合わせたもので、一定速度での巡航時や渋滞時などにはワンペダルどころか、ひとつのペダルも踏むことなく走ってくれる機能である。もちろん、一定の条件下の話だが。 実際に使ってみると、「セレナ」のそれに較べて随分実用的になったと感じられる。特に直進時にピクピクと小刻みに向きを変えることがなくなったのが印象的だ。実はこれ、制御の進化もさることながらシャシーの出来の良さの貢献度が大きい。要するに、しっかり真っ直ぐ走るシャシーがあれば、真っ直ぐ走らせるための制御は随分ラクになるわけだ。 駐車の際に、ステアリング操作に前後進、シフトチェンジ、パーキングブレーキまで自動制御するプロパイロット パーキングも搭載されている。これも利便性はなかなか高い。画面上で示された枠の中から駐車したい位置を選択するだけで、あとはほぼ自動。ドライバーは周囲の状況をしっかり監視していればいい。特に、駐車位置をクルマの側で見つけ出してくれるのが、迅速に操作できて良い。 快適性は高まったが先代のスポーティさは後退一方で、単体で見たシャシー性能は、それでも決して高いわけではない。サスペンションはかなりソフトで、ステアリングの操舵力も軽いのはいいのだが、先代で感じられたスポーティさは後退してしまった。もちろん、ノーズの軽さや低重心のメリットは感じられないわけではないのだが。また、雨の中などでは特に絶対的なスタビリティ感も、一段引き上げたい。 もっとも、代わりに快適性はハイレベルだ。乗り心地はふんわりとしていて、静粛性も高い。特に後席は、前席には少し残るフロア振動がぴたりと遮断されていて、十分なスペースと相まって心地よく過ごすことができる。 走りはパワフルになり、航続距離が伸びて、快適性も向上した。e-Pedalやプロパイロット、プロパイロットパーキングといった目をひく新機軸も採用されている。しかも新型リーフは、内外装のデザインもグンと魅力的になった。外観は独自性が薄まったものの俄然スタイリッシュになったし、インテリアも面白味は無いし、クオリティ感という意味では寂しいものもあるとは言え、誰も拒絶反応を示さないようなものにはなっている。先代の斬新でも未来的でもないスタイルより、間違いなく広く受け入れられるはずだ。 弱点はほぼ解消され、新しい魅力も備わった新型リーフ。EVブームという追い風を受けて、いよいよブレイクできるかは注目である。尚、趣味性が薄まったと嘆く向きのためには、2018年中にバッテリー容量を向上させ、電気モーターの出力を高めた高性能版の投入がスタンバイされているというから、きっとそちらが思いを満たしてくれるはずだと期待しよう。 スペック例【 リーフ G 】 |
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