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世界が注目する革命的エンジン「スカイアクティブX」の凄みはどこにある?

2017-9-11 07:00| post: biteme| view: 674| コメント: 0|著者: 文:岡崎 五朗/写真:マツダ

摘要: ガソリン×ディーゼルのいいとこ取りをしたエンジン いったいどんな音がするんだろう? アクセルを踏んだときの反応は? トルクの厚みはどんな感じ? 振動は? 上まで回したときの伸びは? ディーゼルエンジン ...

世界が注目する革命的エンジン「スカイアクティブX」の凄みはどこにある?

ガソリン×ディーゼルのいいとこ取りをしたエンジン

いったいどんな音がするんだろう? アクセルを踏んだときの反応は? トルクの厚みはどんな感じ? 振動は? 上まで回したときの伸びは? ディーゼルエンジン的なのか、それともガソリン的エンジン的なのか? あるいはいままで経験したことのないまったく新しい感触なんだろうか? そしてそして最大のメリットと言われる燃費は? この仕事を始めて30年近く。数え切れないほどたくさんのクルマに乗ってきた。けれど、試乗前にこれほどたくさんの「?」が頭の中を占領することなんて滅多にあるもんじゃない。もちろん、?マークの数は未知のものに対する好奇心に比例する。世界初の量産ハイブリッドとして97年に登場した初代プリウス以来のワクワク感を覚えつつ、フランクフルト近郊で開催されたプロトタイプ試乗会に向かった。

マツダが開発したまったく新しいエンジンである「スカイアクティブX」は、世界中のエンジン研究者が“究極のエンジン”と呼びつつも、幾多の技術的な壁に阻まれ誰も実用化できずにいたHCCI(予混合圧縮着火)方式を採用した革命的エンジンだ。

詳細は後述するが、まずは「燃料にガソリンを使いつつ、圧縮着火というディーゼル的要素を採り入れることにより両者のいいとこ取りをしたとエンジン」、「点火プラグを使うというブレークスルーからマツダはこのエンジンをSPCCI(スパーク・プラグ・コントロールド・コンプレッション・イグニッション)=火花点火制御圧縮着火と呼ぶ」という2点だけ知っておいていただきたい。

いいとこ取りは、スカイアクティブXというネーミングにも表れている。公式にはアナウンスされていないが、「ガソリンのスカイアクティブGとディーゼルのスカイアクティブDに対し、スカイアクティブXの“X”は、GとDのクロスオーバーという意味なのでは?」という僕の問いかけに対し、マツダのエンジニアはニヤリと微笑んだのだった。

騒音レベルはガソリンエンジンと変わらない

会場に用意されていたのは、つや消しブラックに塗ったアクセラ・スポーツ。フロントフードの下にはスカイアクティブXが搭載されている他、ボディやサスペンションにも次世代プラットフォーム用技術が反映されているという。次期アクセラの開発車両に現行アクセラのボディを被せたモデル、と解釈するのがもっともシンプルだろう。ドアを開け、シートに収まる。開発車両だけにエアコン吹き出し口はホームセンターで売っているような即席のダクトが取り付けられているだけ。助手席側には運転状態を示す小さなモニター兼計測器が取り付けられていた。

さあ、いよいよエンジン始動。スタートスイッチを押すと、スカイアクティブXはあっけなく始動し、安定したアイドリングを始めた。それはガソリンとディーゼルのクロスオーバーという予備知識から想像していたものよりずっと静かで洗練されていて、ディーゼル特有のガラガラ音はまったく聞こえてこない。静かさに拍子抜けしたほどだ。比較的高圧(噴射圧は非公表)で噴く燃料インジェクターを採用していることもあり、窓を開けて耳を澄ませればカラカラというインジェクターノイズが聞こえてくるものの、窓を閉めればほとんど聞こえないし、車外騒音もほとんど気にならない。これなら深夜に帰宅しても近所迷惑になる心配はない。

エンジニアによると「エンジンルームをカプセル化することでかなり騒音を抑え込めた」という。このあたりはディーゼル車づくりのノウハウが活かされている点だろう。いずれにしても、これに乗ったらほとんどの人は普通のガソリンエンジンだと思うに違いない。

全域でトルクに厚みがあり、しかも上まで軽快に回る

最初の試乗車は6速AT。セレクターをDレンジに入れアクセルを軽く踏み込むと、厚みのあるトルクがすぐさま立ち上がり、軽快な加速が始まる。2.0Lという排気量は同社のスカイアクティブG 2.0と同じだが、スーパーチャージャーによって軽く過給していることもあり、トルクの厚みはスカイアクティブXのほうが確実に上だ。

マツダはこのスーパーチャージャーをあえて「高応答エアー供給機」と呼んでいる。それはパワー狙いのための過給ではなく、安定した圧縮着火を実現するためのデバイスとして使っているからだ。48V電源システムを使った電動スーパーチャージャーも検討したというが、まだコストが高いため今回は見送った。いくら燃費がよくても普及しなければ意味がないというのは、マツダが一貫して掲げている理念である。

ではスカイアクティブXのコストはどうなのか? スーパーチャージャーや筒内圧センサーなどコストアップ要因はあるものの、「まあざっくり言って、GとDの中間ぐらいですかね」とのこと。だとすると・・・たとえばCX-3の場合、ディーゼルとガソリンの価格差はおよそ30万円。必ずしも価格とコストはピタリとは比例しないものだが、逆算すればスカイアクティブG 2.0より15万円高く、スカイアクティブD 1.5より15万円安い価格で発売される可能性もある。実際に乗ってみた印象としては20万円程度の価格差なら喜んで支払うが、仮に15万円差だったらお買い得感はそうとう高い。話を元に戻そう。本来の目的ではないとはいえ、わずかな過給によってトルクが厚くなっているのは明らかで、発進時の力感はもちろん、巡航状態からスッと軽くアクセルを踏み込んでいったときのレスポンスや車速の伸びもスカイアクティブG 2.0を明らかに凌ぐ。スカイアクティブG 2.0に対し、全域で10%、部分的には30%のトルクアップというアナウンスは掛け値なしに納得できる。

フィーリングとしては、ガソリンのライトプレッシャーターボに近いイメージだ。ハイパワーターボのようなドッカーンという炸裂感はないものの、全域でトルクに厚みがあり、しかも上まで軽快に回る。そういう意味で、「ひょっとするとガソリンでもなくディーゼルでもないまったく新種のフィーリングかもしれない」という期待は裏切られたが、それは決して悪い意味ではなく、褒め言葉として受け取ってもらいたい。というのも、運転していて本当に気持ちいいなぁと感じたからだ。

試作段階でもスカイアクティブG 2.0より優秀

スカイアクティブXのパワースペックは190ps/230Nm(目標値)。スカイアクティブG 2.0は148ps/192Nm、スカイアクティブD 1.5は105ps/270Nmだ。スカイアクティブD 1.5がトルクはあるのにパワーが小さいのは高回転域が苦手だから。その点、スカイアクティブXは上まで気持ちよく回る。6000rpmに近付いてもトルクの落ち込みは小さく、滑らかさを保ったままフォォォォンという小気味よいサウンドまで聴かせてくれるのがいい。そんなわけで、回転フィールも、音も、応答性も、実用域のトルクも、高回転域の伸びも、スカイアクティブG 2.0より優秀なのだから、これはもうかなり魅力的なエンジンである。試乗前、まだまだ試作段階で細かいチューニングはできていませんと聞いていたが、僕としてはCX-3やCX-5が積むスカイアクティブG 2.0よりも乗っていて確実に気分が上がった。

そんな魅力はMTでも遺憾なく発揮される。まず気付いたのが6速MTのシフトフィールのよさだ。現行タイプよりスムースかつ確実に、気持ちよくシフトが入る。聞けば、シフトリンケージ周りを新設計したとのこと。発売された暁にはこの上等なフィーリングを味わってみることをぜひオススメする。

実用域のトルクがしっかり出ているため、頻繁なシフトチェンジを要求されないのもいい。たとえば1-3-4-6のような飛ばしシフトも十分に受け付けてくれるし、6速50km/hでもグズらずに走行可能な柔軟性をもっている。そして何より上まで気持ちよく回るから、6速MTを駆使して元気よく走るのが楽しい。ディーゼルだったらMTでここまで楽しいドライブは味わえない。試乗車は高負荷時にカリカリというノッキング音が発生していたが、発売までには改善されるだろう。

“革命”を起こした技術的ブレークスルーとは?

試乗終了後に手渡されたのが上のデータ画像(AT仕様)だ。燃費や最高速度、使用回転数、エンジン負荷などが記されている。アウトバーンでは170km/hオーバーまで出したし、フルスロットルでの加速も試したが、燃費は市街地で7.3L/100km(13.7km/L)、トータルで7.5L/100km(13.3km/L)という優秀な値をマーク。同条件でスカイアクティブG 2.0を走らせた際の燃費は8.7L/100km(11.5km/L)だから、15~20%の燃費改善を果たしていることになる。さらに開発が進めば、20~30%まで改善幅は上がってくるかもしれない。わずか1%の燃費改善に向け気の遠くなるような努力を積み重ねているのがエンジン開発現場の実態であることを考えると、スカイアクティブXがいかに革新的かがおわかりいただけるだろう。

とはいえ僕は、燃費だけではなく、気持ちのいい走りと低燃費の両立こそがこのエンジンの最大のメリットなのだと強調しておきたい。効率の高い領域が広いため、極端なエコ運転をせずに優秀な燃費が出るのも、そんな特性に華を添える。

もう一点、このデータで注目なのが右下の棒グラフだ。青い部分が圧縮着火、グレーの部分が火花着火だが、全走行のうちおよそ95%を圧縮着火が占めている。他社も圧縮着火を研究しているが、その領域が狭く、かつ切り替えがうまくいかないのが実用化を阻んでいる最大の要因。その点、SPCCIは幅広い範囲で効率の高い圧縮着火を実現しつつ、切り換えも体感できないほどスムースなものだった。HCCIを研究しているエンジニアがこのグラフを見たら、まるで手品を見せられているような気分になるに違いない。

なぜそんなことができたのか? この点こそがHCCIとSPCCIの違いであり、また技術的なブレークスルーだった。HCCIは、空気を圧縮すると熱が発生するという原理を利用し、スパークプラグを使わずに全体を一気に「圧縮着火」させる。ガソリンエンジンのようにスパークプラグでの部分点火がきっかけではないから、およそ1:30という非常に薄い混合気(超リーンバーン)でも全体がちゃんと燃え、燃費が向上する。逆に言うと、1:30という極めて薄い混合気でもきちんと完全燃焼させるために存在する技術がHCCIである。ただしこれはあくまで原理。実用化するとなると、圧縮着火のタイミングを正確にコントロールすることが必要になってくる。同じ圧縮着火でも、ディーゼルは燃料噴射=圧縮着火開始だからコントロールしやすいが、HCCIはエンジンの温度や気温や気圧や燃料噴射量によって圧縮着火のタイミングがコロコロ変わる。それをコントロールするのは至難の業なのだ。

そこでマツダが着目したのがスパークプラグだった。薄い混合気を圧縮着火直前まで圧縮した状態でスパークプラグを点火(この際、点火しやすい環境にするため圧縮行程でスパークプラグ周辺部のみに燃料をわずかに追加噴射する)。スパークプラグ周りで生じた火炎球をもうひとつの「仮想ピストン」として利用することでシリンダー内の圧力を一気に増し、それをきっかけに全体で圧縮着火を起こす。こうすることで圧縮着火タイミングを完全な制御下に置いたというわけだ。

また、リーンバーンだと三元触媒が使えないため問題になるNOx(窒素酸化物)についても、1:30を超える薄い空燃比や大量EGRによって燃焼温度が高くならないため、発生量そのものを小さく抑えることができる。基本的には事前に燃料と空気を混ぜた予混合だから、ディーゼルのようにPM(粒子状物質)が出ることもない。こうして出来上がったのが、燃費がよくてトルクがあってレスポンスに優れ高回転まで気持ちよく回り排ガスもクリーンという、ガソリンとディーゼルのいいとこ取りをしたスカイアクティブXである。

エコとクルマを運転する喜びは必ずや両立できる

次世代プラットフォーム用技術を採りいれたシャシー性能も素晴らしいものだった。乗り心地や課題だったロードノイズが大幅に改善されたことで、より上質で洗練された乗り味を獲得。ハンドリングや直進安定性を含め、このクラスのベンチマークであるゴルフの領域に近付いた。この先さらに開発が進み、完全な新ボディを手に入れることになる次期型アクセラ(2019年発売予定)の完成車は、多くの部分でゴルフを超えてくる可能性も高い。

また、マイルドハイブリッド(2019年)やプラグインハイブリッド(2021年)、次世代スカイアクティブD(2020年)といった新技術の導入準備も着々と進んでいる。その他、レンジエクステンダー付(ロータリー?)EVやピュアEV(ノルウェーなどクリーン発電地域や法規制地域のみ)もロードマップに載っている。これらの取り組みによってマツダは2030年には2010年比で企業平均CO2排出量マイナス50%を目指すわけだが、当面の技術的柱となるのは内燃機関であり、またクルマ作りにおいては「運転すると元気になれる楽しいクルマ」を目指すという。

エコとクルマを運転する喜びは必ずや両立できる。そこにこそマツダの存在意義があるのだ。マツダが掲げる技術開発の長期ビジョン「サステイナブル“Zoom-Zoom”宣言2030」が主張しているのは、つまりはそういうこと。クルマ好きにとって実に心強いメッセージであり、当然ながら、今後出てくるマツダ車への期待はいやが上にも高まる。


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