久々乗った三菱デリカD:5とパジェロの雪上性能はやっぱり本格的だった

大きく傾いてもスイッチひとつでドアが開閉できる？

軽井沢で開催された三菱のイベント「PLAY THE NATURE! TOUR 2017」で、私・竹岡が講師を務める「クルマの学校」が開催されました！　メインの試乗車は「デリカD:5」と「パジェロ」。今回はちょっとレアな雪上ショート・レポートをお送りします。

ところで、デリカD:5を見てキャンプシーンや雪景色が目の前に広がっちゃうのは私だけ？　パジェロみたいなSUVでアウトドアな風景が浮かぶ人は多いと思うのですが、ミニバンでそういったシーンが浮かぶのって、このクルマだけかもしれません。

恐竜の肋骨のようなリブボーンフレームのおかげでボディはガッシリ。かなり傾斜がついちゃってるようなキャンバー路面でも、電動スライドドアがスイッチひとつで開け閉めできちゃうミニバンって、デリカD:5しかありません。普通これだけ長いとボディが捩れちゃって、無理やりじゃないと開け閉めできないものなんですが、ビクともしない。実際、今回のような凸凹した雪道林道でも、ミシリッ！という音、一度も聞こえてきませんでした。

ベースがSUVのアウトランダーとあって、アプローチ＆デパーチャーアングルが考えられているので、凸凹・雪道・林道とさほど心配せずに入って行けちゃうし、わだち路面でお腹が地面につかえて、いわゆる亀の子状態になってしまうなんてことも少ないんです。どこでも入って行けちゃう安心感もひとつの実力と言っていいでしょう。ダカールラリーに参戦したパジェロのサポートカーとして、7000kmの行程を完走しているのは伊達じゃありません。

ユーティリティは古いが、安心感は捨てがたい！

ただし、弱点もあります（笑）。現行モデルが登場したのが10年前ですから、イマドキな機能にはちょっと欠けるのも事実。特におもてなし性能的なユーティリティ。でもこういったSUV的な使い方をされるミニバンの場合、自分なりにアレンジして使うユーザーが多いので、まぁここは納得の上選んでいただくという感じかもしれません。

3列目シートのアレンジなども、正直やりやすいとは言えません。その分シートはしっかりしているし、全長のわりに空間も確保されているから、意外と快適に過ごせたりはするんですけど。女性がしょっちゅうアレンジを変更なんていうことになると、結構大変です。

さらにパワートレイン。性能的には問題ないんですよ。とくに後から加わったディーゼルエンジンは、トルクも低回転域からキッチリ出ていて、SUV的ミニバンとしては使いやすい。でも音がね（笑）。イマドキの静粛性にこだわったディーゼルエンジンに比べると、昔ながらの昭和的ディーゼルエンジンの音が聞こえてきちゃいます。SUV的ミニバンですから、それもひとつの味だと思えばなんてことはないんですが…。

そういったことを差し引きしても、このボディのガッシリ感と安定感は捨てがたいものがあると言っていいでしょう。それに、AWDの安定感はバッチリ。今回のような雪道は言わずもがなですが、こういったラフロードに行かずとも、高速道路などでの安定性も段違いです。最近多いゲリラ豪雨などのシーンや横風が強い時、4WDに入れると本当に安定します。というわけで、デリカD:5の個人的なオススメは4WDモデルとなります。

本格SUVのパジェロはデザインにも秘密があった

さて、4WDと言えば、三菱パジェロですね。最近は販売的にはかなり大人しい感じもありますが、世界のパジェロ、久しぶりに実車を前にすると、その野性味あふれる逞しさが違いますね。今回の雪道なんて、普通の状態でなんなくこなせちゃうほど走破性が高いから、副変速機を使いこなせばもう本当にどこでも行けちゃいそう！　ダカールラリーで培ったノウハウをきちんとフィードバックして作られている本物のクロカンSUVの実力を再確認しました。

デザインも良く見ると、余計な突起物がない。これって狭い林道なんかに入っていった時に、引っ掛るものがないように考えられているからなんです。ボディの下回りにしても、岩場をガシガシ乗り越えた時、仮に何かがぶつかっても致命的なダメージを負わないように、クルマが走行する上で最低限必要なものは、簡単に引っ掛らない場所に配置されるなど、深いところまで考えて作られているんです。

日本だったら、どこかで壊れちゃってもそうそう危険はないけれど、こういった本格派オフロードカーって、故障が即、命を左右するような場面で使われている地域もたくさんありますからね。

というわけで、ウインターシーズンが、いつもよりさらに楽しめちゃうデリカD:5とパジェロ。今度は夏のキャンプシーンで、どんな走りを見せてくれるのか楽しみになりました。

スペック例

【 デリカ D:5 D-プレミアム 】
全長×全幅×全高＝4730×1795×1870mm
ホイールベース＝2850mm
車両重量＝1900kg
駆動方式＝4WD
エンジン＝2.3L 直列4気筒DOHCディーゼルターボ
最高出力＝109kW（148ps）/3500rpm
最大トルク＝360Nm（36.7kg-m）/1500-2750rpm
トランスミッション＝6速トルコンAT
JC08モード燃費＝13.0km/L
使用燃料＝軽油
サスペンション＝前：マクファーソンストラット
　　　　　　　　後：マルチリンク
タイヤサイズ＝前後225/55R18
価格＝405万5400円（7名乗り）

【 パジェロ ロング スーパーエクシード 】
全長×全幅×全高＝4900×1875×1870mm
ホイールベース＝2780mm
車両重量＝2290kg
駆動方式＝4WD
エンジン＝3.2L 直列4気筒DOHCディーゼルターボ
最高出力＝140kW（190ps）/3500rpm
最大トルク＝441Nm（45.0kg-m）/2000rpm
トランスミッション＝5速トルコンAT
JC08モード燃費＝10.0km/L
使用燃料＝軽油
サスペンション＝前：ダブルウィッシュボーン
　　　　　　　　後：マルチリンク
タイヤサイズ＝前後265/60R18
価格＝495万1800円（7名乗り）