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中国に活路を見出したVWフェートンの後継車フィデオン

2016-10-1 10:20| post: biteme| view: 449| コメント: 0|著者: 文:木村 好宏/写真:Kimura Office

摘要: 中国依存をますます高めるフォルクスワーゲン 今年1月から8月までのフォルクスワーゲン・ブランドの総販売台数は382万7000台余りで、昨年のマイナス0.2%と僅かな減少だが、グループとしてはプラス1.8%で666万2700 ...

中国に活路を見出したVWフェートンの後継車フィデオン

中国依存をますます高めるフォルクスワーゲン

今年1月から8月までのフォルクスワーゲン・ブランドの総販売台数は382万7000台余りで、昨年のマイナス0.2%と僅かな減少だが、グループとしてはプラス1.8%で666万2700台と、2016年は再びトヨタを抜いて世界ナンバーワンの座を獲得する勢いである。

一体、ディーゼル問題はどこに行ったのだろかと思うほど、波風の大きくない穏やかな数字である。こうした好成績を支えているのは主にアジア・パシフィック市場である。とりわけディーゼル問題に関係のない中国の販売はプラス9.9%、台数にして184万3000台、すなわち欧州販売台数の2倍強という勢いである。この国での販売台数はグループ全体から見ても40%に近い割合となり、その重要性、依存度はますます高くなってきている。

フォルクスワーゲンは1984年に始まった上海汽車(SAIC)との合弁会社「SAIC Volkswagen」によるノックダウン生産から中国事業をスタートした。現在では主にドイツで設計されたプラットフォーム「PQ」(現行=「MQB」の先代にあたる)をベースに現地生産を行っている。とは言っても「サンタナ」や「パサート」や「ラヴィーダ」など、その殆どは全くのニューモデルではなく既存モデルやそれをベースにした派生モデルであった。

しかしすでに四半世紀が経過し、中国市場は熟成、そしてSAIC VWへの技術移転も当初では考えられないほど拡大してきた。そこでフォルクスワーゲン本社はSAICと共に次のステップへ進む事を決定したのである。それは新世代のモジュールプラットフォームをベースにした全く新しいクルマ、それも中国市場のために、中国で開発、生産を行うという事を前提にしたニューモデルの企画である。

旗艦フェートンを思い起こさせるネーミング

今回、紹介する「フィデオン(PHIDEON=輝昴)」はこうした意味で画期的なニューモデルである。その名前「輝昴」という造語からはVWブランドの最上級モデル「フェートン(PHAETON=輝騰)」を思い起こすかもしれない。「フェートン」はギリシャ神話に登場する太陽神「ヘリオス」の息子で、同じく光に関係するところも面白い。

2002年、フォルクスワーゲンはラグジュアリー・サルーン・セグメント進出を狙ってフェートンを発売した。全長5メートルを超える4ドア・3ボックス・リムジーンで、フォルクスワーゲンは世界市場に2万台/年のフェートンを出荷しようと目論んだが、何年経っても欧州の販売台数は年間5000台止まり、ここ数年に至っては2000台以下であった。頼みの綱のアメリカも、2003~2007年に販売された累計台数でようやく3000台を超えたという有様だ。

やはり「メルセデス・ベンツ Sクラス」や「BMW 7シリーズ」、そして同じグループの「アウディ A8」、さらにはジャガーやレクサスの君臨する市場に食い込む事は至難の業だったのである。そして2008年に発生したリーマン・ブラザーズの破綻による経済恐慌で計画は挫折してしまった。

フェートン改めフィデオンで中国人気に賭ける

一方、中国ではフェートンはポジティブに受け入れられた。導入が始まった2009年こそ1400台であったが、翌年2010年には2000台が受注されるなどして、生産台数を30%増加することが決定した。その結果ドレスデン工場では2011年に生産台数1万1166台と記録的な数字に達したのであった。しかし、それでもフェートンは赤字を生み出し続け、結局今年の3月18日で生産が打ち切られた。その総生産台数は8万4253台で、一台あたり2万8000ユーロ(約320万円)という赤字を計上してきたと言われる。

しかし、中国ではその後も経済成長は順調で、市場はパサートの上級モデルを要求している。ところがフェートンの価格は100万人民元(日本円で約1500万円)以上とあくまでもハイエンド、すなわちラグジュアリー・クラスのモデルであり、適切なサイズのクルマの必要性が生じてきた。

そこで始まったのがフィデオンの開発である。いまからおよそ3年前に現地のジョイント・ベンチャーのSAIC VWでスタートしたフィデオン計画は、「メルセデス・ベンツ Eクラス」、「BMW 5シリーズ」、そして同じグループ内の「アウディ A6」など、様々なモデルがコンペティターとして挙げられた。現地の開発担当は中でも「トヨタ クラウン」は大きなターゲットになったと語っていた。

先代フェートンとほぼ同等のボディサイズ

まずは上海を流れる黄浦江(こうほこう)の川辺に設置されたパビリオンで行われたプレスカンファレンスに中国のジャーナリストと共に参加する。面白かったのはニューモデル解説で、この国では担当エンジニアではなくて、プロのアナウンサー、というかタレントが行う。その様子はまるでTVコマーシャルの実演を見ているようだった。

2時間近い演技に辟易して、ようやく実車に辿り着く。VWブランドとして初めてエンジン縦置用の「MLB」プラットフォームをベースにしたフィデオンは、全長5.05m×全幅1.87m×全高1.48mの4ドア・リムジーンで、LEDヘッドライトを採用し、クロームを多用したフロント・グリルのデザインは確かに存在感たっぷりの堂々としたアピアランスを持ち合わせている。鋭いサーフェスと精緻なエッジの立ったプレスラインを組み合わせたエクステリア・デザインは、「アウディ A6」と「VW パサート」を足して2で割ったような雰囲気を持つ。しかもそのプレス角度(折り角度)は114度と高度な生産技術が要求されている。

「トヨタ クラウン」を意識したとは言うものの、ヨーロピアンな雰囲気を持ったインテリアはエクステリア同様直線的で、ウッドとクローム、そしてレザーに包まれた上質な空間が演出されている。しかし、細部に目をやるとギャップの大きな合わせ目や物入れの蓋などの動き、面一などのフィニッシュにやや荒っぽいところが見られた。まあ、これは重箱の隅を突つくようなもので、一般ユーザーには気にならないレベルではある。キャビンスペースは中国では重要な後席レッグルーム、ヘッドスペースも十分な余裕がある。

数字の大きなトルク値を好むのが中国流!?

走り出して気がつくのは素晴らしい快適性で、試乗車はなんとエアサスまで装備していた。搭載されるエンジンは過給機付き3.0L、300ps、440NmのV6で、駆動方式は4WD。ダイナミック性能は0-100km/hが6.3秒、最高速度は250km/hと発表されている。ちなみにリアに480とあるのはトルクを意味しているが、440と4が並ぶと日本と同じように「死」に繋がるので、中国でも縁起が悪いためサバ読んでいるわけだ。またこの国では数字は大きい方が喜ばれるので3.0や2.0という排気量よりも、Nmで表すトルク値の方が存在感が増すのである。

最高速度はドイツ車と同等だが、中国の法定最高速度は120km/hだから十分以上の性能である。故に一般ユーザーは220psの2.0L TSIで十分だろう。

ハイテックな安全運転支援装備を満載

テストに同行して下さったのは上海フォルクスワーゲンのエンジニア、ヤオ・ミンジャン(姚明江)さん。彼は電装関係のエキスパートで、フィデオンではADAS(アドバンスド・ドライバー・アシスト)の充実が重要だったと語ってくれた。

確かにこのモデルにはレーンキープアシストやアダプティブ・クルーズコントロール、さらにはナイトビジョンまでがオプション装備され、そしてフォルクスワーゲン・グループとしては初めてのウィンドシールド投影タイプの本格的なヘッドアップ・ディスプレイまで用意されている。

中国の困難な交通事情ではこうした先進技術がドライバーの大きな助けになるとヤオさんは語る。ドイツ本社開発センターでの共同開発で多くのディスカッションの中から生み出された結果だ。

フィデオンの中国での価格はおよそ40万人民元から30万人民元(日本円で約600万円から450万円)、中国では都市部の中産階級がようやく手の届くポジションに位置している。現地生産の「BMW 5シリーズ」や「メルセデス・ベンツ Eクラス」よりはまだ安いので魅力的な存在になるだろう。

フォルクスワーゲンはこのフィデオンの開発で、合弁会社の上海汽車に非常にたくさんのノウハウを供給したといわれる。我々日本人が考えると「大丈夫かな?」と思ってしまうが、新世代プラットフォームの「MLB」が「MLB evo」になるように常に進化して行くので、フォルクスワーゲン本社としては十分な技術的優位性は保てると考えているに違いない。


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