デザインも走りも気合十分すでにwebなどでも告知されている通り、年末のデビューを予定しているトヨタの新しいコンパクトSUV「C-HR」のプロトタイプの試乗が実現した。まずはデザインでガツンと惹きつけるこのC-HR、いざ乗ってみると、その走りもまたグイグイと引き込まれるような仕上がりとなっていたのだ。 デザイン面からすると「Compact High Rider」、走りの面からは「Cross Hatch Run-about」の略だというネーミングのC-HRは、2015年末に登場した新型プリウスに続くTNGA(トヨタ・ニュー・グローバル・アーキテクチャー)の採用第二弾として、その基本設計を同じくしている。 ご存知の通りプリウスも、走りは従来のイメージを覆す出来映えだけに、自ずと期待も高まるところ。しかも環境性能重視のプリウスに対して、C-HRはその名に表れている通り、走りにも相当な気合いが入っている。 タイヤを強調した大胆なデザインとは言え、やはりまず目が向くのは大胆なスタイリングだ。全長4360mm、ホイールベースはプリウスより60mm短い2640mmのそのボディは、大径タイヤによるマッシヴな下半身と、前後ウインドウが極限まで寝かされたクーペライクなキャビンの対比が印象的。手法としては珍しいものではないが、何と全高に対するタイヤ高の比率は44.5%に及ぶという徹底ぶりがインパクトに繋がっているのだ。 そうしたパッケージングに加えて、前後のタイヤを強調した、まさに彫刻刀で削り出したかのような、なんて表現したくなる造形も強烈と言うほかない。空力的に難しいはずの、バンパーから連続したラインを描くフロントフェンダー、使い勝手はいいとは言えないが、それでも採用したヒドゥンタイプのリアドアノブ、車体から飛び出したようなテールランプ等々、どこから眺めても見所がある。 “内装のトヨタ”が戻ってきた感じ落ち着いて過ごしたいインテリアは、さすがにそこまでブッ飛んではいないが、やはり造形は凝っているし、仕上げの質も高い。久しぶりに“内装のトヨタ”が戻ってきた感じすらする。 特にオッと思ったのは、空調パネルのスイッチが、他車との流用を考えていないデザインとなっていること。細部へのこうした徹底ぶりこそ、まさに上質感に繋がるものなのである。こうした所にもコストを回せるようになったのは、あるいはTNGA効果なのかもしれない。 CVTでも意のままになるパワートレインは2種類。1.2Lターボエンジン+CVT+4WD、そしてお馴染みのハイブリッド+FFが設定されている。今回は、前者に17インチ、後者に18インチタイヤの組み合わせをクローズドコースで試すことができた。 まずはターボモデルでコースへ出ると、ボディがしっかり、カッチリしているのに頬が緩んだ。おかげでサスペンションの動きがしなやかで、雑味なくコシがあって、クルマの動きがわかりやすいし、上質感もある。おそらく、全車採用のザックス社製ダンパー、ウレタン製バンプストップラバーの恩恵も大きいのだろう。 ステアリングも切りはじめから遅れ無く反応して、リニアな動きを楽しめる。無闇にアシを固めてカートのように動かすのではなく、姿勢変化はするけれど、すべての動きがコントロールされている、という感じ。S字の切り返しなどでも、動きはとても落ち着いていて、余裕をもってドライブできる。 最高出力116ps、最大トルク185Nmというスペックなので、特別速いわけではないが、速度の立ち上がりが、それこそ発進の瞬間から滑らかで、意のままになる感覚を味わえる。CVTもトルクのあるエンジンと組み合わせれば、エンジン回転だけ先行させる必要が無いので、こういう味を出せるわけだ。 ハイブリッドのレスポンスも悪くない最高出力がエンジン98ps+電気モーター72ps、最大トルクが同142Nm+163Nmというスペックのハイブリッドの加速感は、更にパワフル。こちらはFFだということも、更にそれを強く意識させるのかもしれない。 車重はプリウスのE-Fourとほぼ一緒と、そこまで重くなっているわけではなく、またプリウスよりストロークを切り詰め、制御を緻密化したというアクセルペダルのおかげもあり、踏みはじめの反応は悪くない。実際の加速感は、プリウスと似たような雰囲気だが、強いていえば、空力性能の分、高速域の伸びは譲るように感じられた。 説得力のある仕上がり乗用車全体の平均よりも若く、またデザインやスポーティな走りに重きを置く割合も高いというコンパクトSUVのユーザー層に向けて、C-HRはとても説得力のある仕上がりとなっていそう。あくまで限られたシチュエーションに於いての印象ではあるが、今回はそう感じることができた。 しかも歩行者検知機能付き衝突回避支援プリクラッシュセーフティシステムや、全車速追従機能付きのレーダークルーズコントロール等々をセットにしたトヨタセーフティセンスP、6エアバッグを全車に標準装備とするなど、安全装備も充実している。これが売れない理由はないな……というのが、率直な印象である。 そうなると街にあふれることは必至だから、購入を検討されている方には、せめてボディカラー選びは冒険してほしい。鮮烈なラディアントグリーンメタリックもいいし、個人的には落ち着いた雰囲気ながら、強い陽光にハイライトが浮かび上がるダークブラウンマイカメタリックに惹かれた次第。ともあれマーケット拡大中、激戦のコンパクトSUV市場に、見逃せないニューカマーの登場だ。 ■C-HR(ハイブリッドモデル)走行映像 スペック例【 C-HR 1.2 ターボ S-T 】 【 C-HR 1.8 HV G 】 |
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