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NSX一般公道試乗。見えてきた美点と欠点、販売問題も

2016-9-26 15:15| post: biteme| view: 421| コメント: 0|著者: 文:岡崎 五朗/写真:望月 浩彦

摘要: スーパーカーを民主化した初代に足りなかったもの 新型「NSX」の開発コンセプトは「新時代のスーパースポーツ体験」だという。これだけではあまりに抽象的すぎてピンとこない。もちろん、3モーターハイブリッドが生 ...

NSX一般公道試乗。見えてきた美点と欠点、販売問題も

スーパーカーを民主化した初代に足りなかったもの

新型「NSX」の開発コンセプトは「新時代のスーパースポーツ体験」だという。これだけではあまりに抽象的すぎてピンとこない。もちろん、3モーターハイブリッドが生みだす新次元の走行フィールも新型NSXのコアバリューのひとつだ。しかし、よくよく聞いていくと、やはりというか当然と言うべきか、根っこの部分にあるのは初代NSXが目指した「人間中心のスーパースポーツ」という価値だという。

ホンダが初代NSXに与えた使命は「スーパースポーツを伝統から解き放ち人間のために解放する」こと。スーパーカーの民主化と表現したほうがよりストレートでわかりやすいかもしれない。すなわち、ごく一部の限られた人のためのものだったスーパーカーに、アフォーダブルな価格や優れた快適性、運転しやすさ、使い勝手といった要素を入れ込むことで、より幅広い人にスーパーカーを楽しんでもらうことをホンダは目指した。

スーパーカーは独善的であるからこそスーパーカーなのであって、親しみやすいスーパーカーなどに魅力はない、という意見もあった。たしかに、民主化されたスーパーカーというフレーズに自己矛盾が含まれることは否定できない。しかし、それ故誰も手をつけようとしなかった領域にホンダはフロンティアを見いだし、一世一代の大勝負に打ってでた。結果は・・・1990年から2005年までの15年の累計販売台数は1万8743台。平均するとおよそ月産100台。商業的にみれば決して成功とは言えない数字だ。しかし、NSXがライバルに与えた影響は大きく、フェラーリもポルシェもNSX登場以降、「日常性」を強く意識したクルマ作りへとシフトしていった。これは先輩モータージャーナリストに聞いた話だが、NSXがデビューして間もない頃、ポルシェの試乗会に参加したとき「どんなスポーツカーが作りたいか?」という問いかけに、ポルシェの若いエンジニアは「NSX」と答えたという。そう、民主化は正しい方向だったのだ。

とはいえルックス面でもスペック面でもドキドキさせられる要素に欠けていたことは事実であり、それが販売先細りの一因になったのは否定できない。しかし、だからといって、ホンダはNSXをおざなりには扱わなかった。まったく商売にならないような状況が続くなかでもNSXは絶えず改良を受け続けたし、地味ながらレース活動も続けられ、高度なリフレッシュプログラムやオーナー向けドライビング教室も開催された。おそらく、NSXのオーナーは非オーナーが思っている以上に満足していたのではないだろうか。

それだけに、次期NSXにはもっとセクシーで、もっと美しく、いろいろな意味でドキドキワクワクさせられるようなクルマであって欲しいなと思っていた。果たして新型NSXはどんな仕上がりだったのか。

本格スーパースポーツと実用性を両立する新型

先進的なコンセプトが評価される一方で、セクシーさとかオーラとか刺激性とか、そういった感覚面での突き抜け感が足りないよね。多くの人がそう感じていたことをホンダは百も承知だったのだろう。新型NSXの本格度は、初代と比べて段違いに引き上げられた。レジェンドのパワートレーンを使うことが前提だった初代はウェットサンプのV6エンジンを横置きしていた。それに対し新型はドライサンプ式の専用3.5L V6ツインターボユニットを車体中央の低い位置に縦置きした。エンジンに次いで重いハイブリッド用バッテリーもシート背後の低い位置にレイアウト。低重心と低ヨー慣性モーメントへのこだわりはハンパじゃない。マニアならこの段階で頬が緩むに違いない。

こうした本格的レイアウトにより生みだされたのが、いかにも運動神経がよさそうに見えるエクステリアデザインだ。全体的にグッとクラウチングした姿勢は止まった状態でもスピード感を伝えてくるし、四隅で踏ん張っているタイヤは運動性能の高さを伝えてくる。ドア後方の、いかにも「よく冷えそう」な場所に置いたインタークーラーや、ボディサイド面の空気の流れを整える効果があるというフローティングピラーもカッコいい。フェラーリやランボルギーニと比べて個性がないとか上品すぎるという意見もあるようだが、あのマクラーレンでさえ最初はそう言われていた。さらに言うなら、フェラーリをはじめとするどのライバルにも似ていないのは素晴らしいことだと思う。たとえホンダのバッジがついていなくても(北米ではアキュラだが)、ホンダ車であることがわかるサラリとした佇まいは、「新時代のスーパースポーツ体験」というコンセプトを見事に表現していると感じた。

今回の試乗会の舞台は神戸周辺だったが、お洒落な街並みにNSXはとてもよく似合っていた。きっと青山や横浜でも同じ感想をもっただろう。他のスーパーカーのようなおどろおどろしさがない分、肩肘張らずカジュアルに乗りこなすことができ、それでいて“特別感”をさりげなく、しかし強くアピールするあたり、かなりのお洒落上手である。とはいえ、実際のところ街中での実用性が最悪であることは後述する。

インテリアもサラッとしている。フェラーリのように、ホーンボタンやウインカーをステアリングホイールに組み込むようなトリッキーなことをしていないから、乗り込んだ瞬間からほとんどの機能を直感的に操作できる。ボタン式シフトセレクターも最初は戸惑うが、慣れてしまえば問題なしだ。とはいえ、さすがにステアリングホイールのデザインにはもう一ひねり欲しいなと思った。形状や操舵感に不満はない。組み込んだスイッチ類の操作性も上々だ。それだけに、黒一色ではなく、たとえばシート色とコーディネートしたバージョンを選べるようにすれば、上質感や色気のアピール度はグンと上がるだろう。

新型NSXを買うと駐車場に困るかもしれない?

乗りやすさをテーマに据えつつ、本格度をもグンと嵩上げした新型NSX。その副作用は実用面、とくに街中での扱いづらさとしてオーナーを悩ませるだろう。スリーサイズは全長4490mm×全幅1940mm×全高1215mm。経験上、幅が1900mmを超えてくると気を遣うシーンが明らかに増える。加えて、空力性能を考慮してデザインしたというドアミラーには電動格納機能がついていない。駐車場に停めるたびに、クルマから降りてミラーをいちいち格納しないといけないのか、と思うと気が重くなる。

それでも停められる場所が見つかればラッキーだと思わなければいけないだろう。新型NSXは駐車場を極端に選ぶ。まず、出入り口に段差や傾斜があるとフロント部を擦る可能性が高い。立体駐車場のパレットも厳しいところが多いだろう。運良く入れたとしても、幅が駐車枠内に収まるかどうか。そこをクリアしても、今度はタイヤが車止めに当たるまでバックしようとすると、リアディフューザー部をゴリッと擦ることになる。都市部に住んでいる人がNSXでお出かけをしようと思ったら、まずはどこに停めるかを考えてから出発したほうがいい。

このあたりは、北米主導の商品づくりによる弊害だ。北米ならほとんどストレスなく乗りこなせるだろうが、残念ながら日本ではそうはいかない。車幅は仕方ないが、スイッチ操作でフロントをヒョコッと持ち上げるリフターや電動格納ドアミラーなど、使い勝手を高めるアイテムの導入を日本から北米サイドに強く働きかけて欲しいところだ。実は走行フィール面にも同じような部分があるが、これは次のページで書く。

めでたく停めるところが見つかって、お買い物。リアには実用的な大きさのラゲッジスペースがあるが、かなり熱くなるので食料品は入れないほうがいい。花束もNG。ワインも絶対にダメ。かといってミッドシップだけに室内にはものを置くスペースはほとんどない。なにしろカップホルダーすら脱着式になっているぐらいなのだ。もちろん一人ドライブなら助手席側に置けばいいが、誰かと一緒のときはお願いして足元に置いてもらうしかなさそうだ。 この種のクルマを買う人は他に実用車をもっている場合がほとんどだろうが、もしNSXだけで済ませるつもりなら、それなりの覚悟と割り切りが必要だとお伝えしておきたい。一方、もし改善の余地があるなら、トランクルームの遮熱対策をさらに引き上げて欲しいところだ。

快適だが日本に合わせたチューニングが欲しい

スターターボタンを押すと、軽い咆哮とともにV6ツインターボユニットが目覚める。ハイブリッドではあるが、スタート時には必ずエンジンが始動する設定になっている。パワートレーンやサスペンションの特性を決めるドライブセレクターは、大人しい方からクワイエット、スポーツ、スポーツプラス、トラックの4種類。始動時はデフォルトであるスポーツが自動的に選択される。市街地からのスタートだったためすぐにクワイエットに切り換え発進。低速域でなおかつアクセルの踏み込み量が少ない状態ではフロントモーターだけで走る。スーパーカーが音もなく走るのはかなり新鮮な体験だった。

EV走行領域はさほど広くないため、アクセルを慎重に踏んでいても40km/h程度でエンジンがかかる。が、始動時のマナーは上々。エンジン+モーターで走っているときのパワーフィールも自然な仕上がりだ。スポーツに切り換えると、足の設定はそのままでアクセルに対する反応がよりビビッドになる。スポーツという名前ではあるが、デフォルト=事実上のノーマルモードであることを考えれば、アクセル、とくにモーターの尖った反応はもう少しマイルドなほうがリラックスして運転できるだろう。スーパースポーツとしての演出なのかもしれないが、そこはスポーツプラスとトラックに任せたほうがNSXらしい。もしかしたらアメリカ人の好みなのかもしれないが。

乗り心地は基本的に問題なし。いやむしろこの種のクルマとしてはかなり洗練されている。ただ一点、気になったのが都市高速を走っているときのリアの上下動だ。フロントを軸に常にリアが上下に揺れているのはあまり気持ちのいいものではない。アメリカの路面ではでない現象とのことだが、日本で走らせることを考えると、もっとフラット感がでるセッティングが欲しくなる。NSXは日米欧で同じセッティングを共有しているが、開発主導はあくまで北米。各地でのローカライズ作業は行われているというが、各国の路面状況を反映した、さらにきめ細かいチューニングの実施が今後の課題になりそうだ。

日本の割り当て100台。本当に購入できるのか?

高速を降り、ワインディングセクションに入る。ここでスポーツプラスを選択するとダンパーが引き締まり、排気系のフラップが開いてエンジンのサウンドも一段と高まる。単体で507ps、システムで581psを発生するパワートレーンは、電気モーターのアシストを効果的に使いつつも主役はあくまでエンジンというキャラクター。1.8トン弱というウェイトのせいか、581psというスペックから想像するほどの浮き世離れした加速はないものの、7500rpmまでためらいなく一気に回りきる軽快感と気持ちのいいサウンドはさすがホンダエンジンと納得できる仕上がりだ。

走り慣れない一般道ということで終始抑え気味のペースで走ることにしたが、それでも重心の低さが生みだす安定感と、低ヨー慣性モーメントによる回頭性のよさが手に取るようにわかった。もちろん、そこにはトルクベクタリングを行うスポーツハイブリッドSH-AWDの効果も織り込まれているのだろうが、今回の試乗環境において、トルクベクタリングは縁の下の力持ちとして黒子に徹していた。感覚的には、4本のタイヤを路面にギューと押しつけながらそれぞれのグリップを上手に使い分け、一筆書きのような安定したコーナリングをとんでもなく高い領域まで保ってくれるというイメージ。ここまで安心して踏んでいけるとなると、次はサーキットに持ち込んでさらに上の次元での実力を体感してみたいと思った。

最後に苦言をひとつ。日本への割り当て台数がわずか100台ということで、早くも2年待ちと言われている。年産約2000台という生産キャパを考えると100台は少なすぎる。さらに問題なのは、予約をしにいったお客さんのフォローができていないことだ。僕の知人は昨年ディーラーを訪れ購入意思を伝えたが、詳細が決まっていないとのことだったので連絡先を伝えて帰ってきた。しかし発売後のいまなおそのディーラーからの連絡はないままだという。

2000万円オーバーのクルマを買う人はたいてい他にもクルマをもっている。彼も「待つのはいいんですよ。でも連絡すらくれないなんてあり得ないですよね」とあきれ顔。他にも同じような扱いを受けた知人が二人いる。発売直後にオーダーが殺到するのは当然で、問題はいかに継続的に売っていくか。興味をもってくれている人をつなぎ止め将来の販売に繋げるかが成否の鍵を握る大きなテーマになるわけで、いまのやり方はかなりもったいない。本気で作ったクルマなのだから、どうか本気で売っていただきたいと思う。

スペック

【 NSX 】
全長×全幅×全高=4490mm×1940mm×1215mm
ホイールベース=2630mm
駆動方式=4WD
車両重量=1780kg
エンジン=3.5L V型6気筒 DOHC直噴ツインターボ
最高出力=373kW(507ps)/6500-7500rpm
最大トルク=550Nm(56.1kg-m)/2000-6000rpm
トランスミッション=9速DCT
リアモーター=35kW(48ps)/3000rpm、148Nm(15.1kg-m)/500-2000rpm×1基
フロントモーター=27kW(37ps)/4000rpm、73Nm(7.4kg-m)/0-2000rpm×2基
システム出力=最高出力:427kW(581ps)、最大トルク:646Nm(65.9kg-m)
JC08モード燃費=12.4km/L
使用燃料=プレミアムガソリン
サスペンション=前:ダブルウイッシュボーン
        後:ウイッシュボーン
タイヤサイズ=前:245/35ZR19、後:305/30ZR20
車両本体価格=2370万円


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