2世代目パナメーラをベルリンで披露舞台はドイツの首都ベルリン。旧東ドイツ側となるヴァイセンゼー地区にある“Motorenwerk”、直訳するとエンジン工場と名付けられた、古くは1921年に初めて電気モーターが造られたという工場の建物を利用したホールにて、ポルシェが2世代目となる新型パナメーラのお披露目を行った。 会場には世界中からプレスだけでなく政界、経済界などからも多数のゲストが駆けつけ、その数は実に300名以上に。プロジェクションマッピングが駆使され、ダンサーが舞う華やかなステージのあと、いよいよ新型パナメーラが心地よいエグゾーストサウンドとともに姿を現すと、会場は割れんばかりの拍手に包まれたのである。 まずステージに立ったポルシェAGのオリバー・ブルーメCEOは、初代パナメーラは2007年に発表されて以来、これまでに15万台以上を販売。まったく新しいセグメントへの参入で大きな成功を収めたと語った。台数や収益はもちろん、新しい顧客層にアピールできたことが何よりのベネフィットとなったという。 911との親和性が一層強められた外観続いては、ポルシェのデザインを総括するミハエル・マウアー氏がステージへ。新型のデザインについて熱弁をふるった。以前、直接うかがった話だが、実は先代はマウアー氏が着任した時にはデザインはほぼ終わっており、「リアに“PORSCHE”のロゴを入れたり、少し手を入れただけ」だったという。新型は当然、氏がゼロから手掛けたモデルであり、そのデビューによっていよいよ現ラインナップのデザインはすべて、“マウアー世代”となったことになる。 フロントフェイスは、よりワイドになった印象をもたらすが、実際には全幅は6mm増えただけだという。サイドビューは更に印象を違えている。全高は5mm増えていながら、ルーフラインは後方に向けて従来よりも低くなっていき、更にサイドウインドウの輪郭も描き直されたことで、端的に言って、911との親和性が一層強められているのだ。 リアビューも同様で、左右をLEDのストリップで繋げられた横長のテールランプを備えたファストバックフォルムは、立体的な“PORSCHE”ロゴを見るまでもなく、誰もがポルシェだと解るものに仕立てられている。尚、リアスポイラーは単にせり上がるだけでなく、凝ったリンクにより左右に広がるように展開されるかたちである。 “眺める歓び”もある、新採用のメーターパネル個人的に、そんな外観以上にインパクトがあったのは、インテリアだ。注目はメーターパネル。一見、911の伝統である5連メーターを踏襲しているかと思いきや、実はアナログ計は中央のタコメーターだけで、その左右にはそれぞれ7インチのTFTモニターが配されている。 これらは計器だけでなく、ナビゲーションの地図であったり、あるいは新採用の電子制御コ・パイロット機能“ポルシェ・イノドライブ”や、ナイトビジョンアシスタントのような運転支援システムからもたらされる各種情報を表示する。コンセプトカー「Mission-E」で示されていたアイディアを具現化したこのメーターパネルは、見た目も使い勝手もとてもクール。単なるデジタルパネルと違って“眺める歓び”もある。まさに伝統と革新の画期的な融合と言えるんじゃないだろうか。 低く抑えられたダッシュボードの中央には、ナビやインフォテインメント全般の表示、操作を行う12.3インチのタッチスクリーンが備え付けられている。実際に少し触れてみたが、解りやすい階層構造、小気味良いスイッチの反応のおかげで、かなり扱いやすそうだと期待できた。また、更にその下のコントロールパネルには静電スイッチが用いられている。従来のずらりと並んだスイッチに抵抗感のあった人も、これなら納得だろう。 ニュル北コースで先代ターボSを8秒も凌ぐラップタイムを計測では走りについてはどうだろうか。もちろん、まだ実際にステアリングを握ったわけではないが、しかしスペックを眺めただけでも、その内容は相当期待できそうだ。そして実際、ブルーメCEOの口からは驚くべきデータも明らかにされた。トップモデルの新型パナメーラ ターボは、ニュルブルクリンク北コースを何と7分38秒で走り抜けるというのである。これは先代ターボSを8秒も凌ぐ。 それを可能にしたのは、従来よりも広範囲にアルミニウムを使ったボディに、30mm延長されたホイールベース、更には3つのエアチャンバーを備えた新しいエアサスペンション、911ターボ譲りのリアホイールステアといった新機軸によって実現された、高い運動性能だ。これら新機軸に、電子制御式可変スタビライザーのPDCCやトルクベクタリングを行なうPTV Plusなどは4Dシャシーコントロールシステムの名の下で統合制御される。 しかもエンジンは新設計。パナメーラ ターボが積むのは排気量を従来の4.8Lから4.0LとしたV型8気筒ツインターボで、最高出力は従来比30psアップの550psを達成する。また、パナメーラ4Sには最高出力440psのV型6気筒2.9Lツインターボエンジンが搭載される。いずれも最近のトレンドであるVバンク内へのターボチャージャーの配置が行なわれるほか、8気筒には気筒休止機構も備わる。いずれもギアボックスは8速PDKで、電子制御式のフルタイム4WDとされる。 タイムアタックを行ったラルス・ケルン氏に聞いたとは言え、それだけでは走りをイメージするには足りないだろう。そこで発表会の会場で、実際に7分38秒のラップタイムを記録したポルシェAGのラルス・ケルン氏に聞いてみた。実際、その走りはどんな風に進化しているのかを。 「まず言えるのは、ステアリングを切り込んだ瞬間のレスポンスが、とても優れているということです。ホイールベースは伸びたけれど、リアホイールステアが付いたので、低速コーナーでの追従性もとても上がっています。セダンとは思えません。スポーツカーの走りです。エンジンも、これまで以上に低回転域からトルクがフラットに発生します。アクセルを踏み込んでからしばらく待つようなことはなく、スムーズに立ち上がるんです。」 もちろん、ケルン氏はあくまでポルシェAGの社員。悪いことは言わないだろう……とは思いつつ、今年のニュルブルクリンク24時間レースにマンタイ・ポルシェから出場するなど、確固たる経歴を持つドライバーがアツくなりながら話すことだけに、やはり期待もしてしまう。とにかく早く、自分でステアリングを握って、その実力を確かめてみたい! まずはプラグインハイブリッドの導入から。噂のモデルは?新型パナメーラ、将来的にはまずプラグインハイブリッドの導入がすでにアナウンスされている。その内容は、やはりケルン氏に聞いたところでは、効率性の面でも走りの面でも従来のものより更に一歩進んだ内容となりそうだ。もちろん後輪駆動のモデルや、エントリー的なモデルも将来的には揃えられることになるだろう。 そして噂のシューティングブレークの登場も、どうやら本決まりのようだ。考えてみれば、このセグメントにライバルとなりそうな存在は不在なだけに、これは相当、注目を浴びることになるに違いない。 ちょっと先走ってしまったが、この新型パナメーラ、発表にあわせて日本での予約受注も開始されている。実車もまだ無いのに……と言いたいところだが、この内容ならスペックを見ただけで背中が押されてしまうという人、きっと少なくないはずである。 スペック【 パナメーラ 4S 】 【 パナメーラ ターボ 】 |
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