M4 GTSは発売と同時に完売してしまった…BMWのハイエンド・ハイパフォーマンス・モデルをプロデュースするBMW M社は最近「M4 GTS」というM4ベースのクラブ・スポーツ仕様を発表した。2015年の東京モーターショーで量産型が世界初デビューしたので、我々の記憶にも新しいところだ。 わずか700台という限定販売台数ゆえに、ドイツおよびヨーロッパでの割り当て台数は発売と同時に完売してしまったという。欧州以外ではアメリカに300台、英国と日本にそれぞれ30台が割り当てられており、日本での価格は1950万円と発表されている。 ところで、BMW M社はこの過熱する「M4 GTS」フィーバーの対処療法としてM4に「コンペティション・パッケージ」という工場仕様のオプションを設定して、GTSを入手する事が叶わなかったオーナーを少しでも納得させることにした。 エクステリアはあまり変わらない?さて、この「M4 コンペティション・パッケージ」だが、エクステリアの変更に関しては説明が難しい。BMWのプレス車両プールで最初にキーを受け取った時には、このスペシャル仕様はスタンダードのM4とあまり変わらないように見えたのだ。 フロントエンドではM関連のバッジ類、さらにフロントのキドニーグリル、フェンダーのエアアウトレット・エレメントがすべてブラック・クロームである。さらにリアエンドから覗く2本のエキゾーストパイプも黒く光っている。 シャシーはGTSに準じて、コイル、ダンパー、スタビライザーまでがさらにスポーティにチューンされている。装着されるタイヤも、フロントが265/30R20(9J×20)、リアは285/30R20(10J×20)とアップグレードされている(ノーマルはフロントが255/40R18、リアが275/40R18)。アルミ鍛造ホイールは「スタイリング666M」でM4 GTSと同じデザインである。ただし、こちらはシルバーでM4 GTS専用のオレンジの縁取りは入らない。 専用の軽量バケットシートやシートベルト一方、インテリアは説明が要らないほどの変化に満ちている。まず、専用の軽量スポーツシートが私を迎え入れる。身体を囲むようなサイドサポートのお陰でコーナリング時には最高のホールディングを約束してくれる。乗り降りにはちょっと不便だが、リクライニングはパワー・システムも採用されている。 キャビンを見渡すとMデザインのステアリングホイール、ダッシュボード、そしてシートベルトにまでM専用カラーのステッチが入り、スポーツムードを高めると同時にコンペティション・パッケージを選択したオーナーの所有する歓びを増幅させる。 エンジン、DSC、デフも専用セッティング搭載される3.0リッター直列6気筒 ツインターボ(S55B30A)にも変化が見られる。Mスポーツ・エキゾースト・システムの採用や、DSCとアクティブMディファレンシャルの専用セッティングなどのアップグレードに加え、エンジン・マネジメントの最適化が行われ、最高出力はスタンダードから19ps上昇して450psとなった。一方、最大トルクは550Nmで変わらない。 この結果、スタンダード仕様のM4 コンペティション・パッケージのパフォーマンスは、7速DCTで0-100km/hが4秒フラット(ノーマル比-0.1秒)、最高速度は250km/hでリミッターが介入する。しかし、「M ドライバーズ パッケージ」が用意されており、ハイスピード・ドライバーズ・トレーニングへの参加を条件に最高速度が280km/hにアップされるのはノーマルM4同様だ。 私の今回の試乗計画は、BMWプレス・センターを出発して24時間レースの開催されるニュルブルクリンクまで、およそ600kmのグランド・ツーリングである。ちなみに試乗車は250km/hのリミッターが引き上げられ、最高速度は280km/hまで到達するM ドライバーズ パッケージ装着車だ。 ニュルではすっかり人気者に!まずはミュンヘン郊外を抜け、アウトバーンをひたすら北上する。アウトバーン上ではドライビング・プログラムのコンフォートを選択。乗り心地はフラットで快適そのものだ。速度制限が解除された区間では「スポーツ」にスイッチすると、しっとりとして、フィードバックの確かなステアリングが200km/h以上でも確かな直進安定性を約束し、全く不安は感じられない。およそ3時間で250km離れたこの日の目的地へ到着することができた。疲労感は全くなく、軽いジョギングを済ませた感覚だ。 翌日の午後に一気に300kmをこなし、いよいよニュルブルクリンクへ到着する。沿道は24時間レースの観客で一杯だ。驚いたことに彼らは私のクルマがコンペティション・パッケージだと分かるらしく、しきりにジェスチャーで「エキゾースト・サウンドを聞かせて!」とせがむ。仕方なしにこちらもスポーツ・プラスを選択、スロットル・バックファイヤー・サービスをすると拍手喝采が返って来る。ギャラリーも一緒にモータースポーツを楽しむ状況はうらやましい限りだ。 日本での追加価格は98万1000円ニュルブルクリンクへ到着すると驚きのプレゼントが待っていた。「北コースを一周して良い!」というのだ。もちろんレーシング・スピードではなく、先導車(なんとM6 GT3)を追ってのスポーツ走行だが、これが冗談ではなく速く、有名なカルーセルを含む各コーナーではきちんとラインをトレースしないと追いついて行けないほどだ。 しかし、ここでもコンペティション・パッケージの固められたスポーツシャーシによる敏捷(びんしょう)な反応と、十分なパワーを持った直6ツインターボエンジン、正確なEPSステアリング・システム、強力無比でコントローラブルなカーボンセラミック・ブレーキ(オプション)などのおかげで、先導車から大きく遅れる事無く一周を終える事ができた。 その後、日が暮れるまでニュルブルクリンクコース周辺のワインディング・ロードを心行くまで楽しませてもらったが、その時までにはこのM4 コンペティション・パッケージはまるでオーダーメイドのスポーツジャケットのように私にフィットしており、脱ぐのが惜しいほどになっていた。 コンペティション・パッケージはスタンダードのM3あるいは M4、M4カブリオレ(日本未導入)に追加注文可能で、その価格はベース車両(セダン、クーペ、カブリオレ)によって若干の差があり、ドイツでは6400ユーロ~7300ユーロ(約78万円から89万円)となっている。※1ユーロ=122円換算 日本でのオプション価格はクーペとセダンが同じ98万1000円で、すでにBMWの正規ディーラーで発売されている。※新車のM3、M4オーダー時にのみ装着が可能。 コンペティションパッケージの内容・エンジン最高出力=331kW(450ps)※ノーマル317kW(431ps) |
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