ドイツがプラグイン・ハイブリッドカーに本気の理由ドイツ勢が日本で言うところの“ハイブリッドカー”以上に本気になってる電動エコカーがある。そう、今回の「パサート GTE」のような“プラグイン・ハイブリッドカー”だ。 論より証拠、「トヨタ プリウス」が1997年に出て以来、ドイツ製ハイブリッドと言えば10年以上遅れてメルセデスが「S 400 ハイブリッド」らを、BMWが7、5、3シリーズに「アクティブハイブリッド」を徐々に追加したくらい。しかもどれも省燃費目的というより事実上効率の良いハイパワープレミアム。日本のプリウス&アクアに真っ向対抗なんて見たことがない。 それより彼らが本気になってるのは去年から今年にかけて山の様に出すであろうプラグイン・ハイブリッドだ。一見似ていて構造は近い部分もあるが、carview読者ならとっくにご存じだろうが本質は違う。 プラグイン・ハイブリッド最大のキモは、フル充電状態からなら一定の距離をEV、つまり電気自動車として使えるところ。しかも電池が切れた後は燃費のいいハイブリッドカーとしても使えるので一石二鳥。具体的には平日はEVとして使い切り、週末はハイブリッドとして長距離使う人にドハマり。日本でも深夜電力はガソリン代の数分の1なので確実にトクする。 結局ドイツのような環境だと普通のハイブリッドならディーゼルで十分代わりになるが、一人二役のプラグイン・ハイブリッドは無理。しかもEV状態で走っている時が「燃費無限大」としてカウントされるので、制度上スペック燃費がヤケに良くなる。よって今後ますます厳しくなる激辛CO2総量規制に役立つという。 果たしてこの燃費計測法がどれだけ論理的に正しいかは疑問だが、とにかく欧州のプラグイン・ハイブリッドはどれも本気。よって今回のパサートGTEも本気なわけだ。 プラグインの価格の高さをどう考えるか?とはいえプラグイン・ハイブリッドで一番の問題は価格だ。実は電池、それもピュアEV的にも使う電池を少なくとも10kWh前後は積むのでざっくり数10万円から100万円は高くなる。今回の「パサート GTE」も、ガソリン版にパフォーマンスで匹敵するモデルがないので比較は難しいが、ほぼ同じ1.4リッターTSIエンジンを積む「パサート TSIハイライン」(414万円)と比べると約100万円高の519万9000円。正直一見安くはない。※セダンの価格比較。 が、ゴルフのPHV版である「ゴルフ GTE」(469万円)で比べると、パフォーマンスでほぼ匹敵するスポーツモデルの「ゴルフGTI」(399万9000円)との差額は70万円を切ることがわかる。特にゴルフGTEは今回税制改正に対応し、30万円も値下げしたので、EVとして毎日使える人だとするとかなりお得。逆にクルマを長距離、それもほぼ週末しか使わない人にとってはトクではないかもしれないが。 さておき肝心のパサートGTE。基本はゴルフGTEと同じMQBプラットフォームを使ったFFプラグイン・ハイブリッドだ。エンジンは高効率の1.4L直4直噴ターボで、パワー&トルクは115kW&250Nmで、ピークパワーは微妙にゴルフGTE(110kW/250Nm)から上がっている。3つのクラッチを持つ専用の6速DSGのギアボックスを備え、これまた微妙にパワーアップ(+5kW)した85kWモーターと組み合わさるところは同じで、システム最大出力は160kW(=218ps、GTEモード時)とかなりパワフル。しかも電池容量が9.9kWh(+1.2kWh)とこれまた増えているので、フル充電状態からJC08モードで51.7kmも走れる。果たして実際使ってみるとどうでっしゃろ? 充電ありの走りと、充電なしの走りの違いは?今回は千葉の袖ケ浦フォレストレースウェイを中心に乗ってみたが、まずはワゴンのヴァリアントで一般道にGO! 電池はフル充電状態で、パサートGTEは基本3モード、つまりEV走行の「Eモード」と高効率の「ハイブリッドモード」とさらにハイパワーの「GTEモード」が選べるのでまずはEモードを選んでみる。 発進は超滑らか。出力は85kWなので、1.7トン強の車重を考えると絶対的には速くないが、出足トルクの太いモーターのお陰で不満なし。当然、超静か。エアコンの音の方が気になるくらいだ。逆にモーター単独だと滑らか過ぎるのか、ガソリンでは気づかないレベルだが、パサートの足ってそれなりにゴツゴツしてたのね、と感じる。だが、GTの名が付く割には上質で滑らかでかなりの高級感。 そのまま高速に乗り、アクセルを開けていくとEV特有の伸びの無さを感じるが順調に100km/hに到達。で、途中フルスロットルするととたんにエンジン点火でかなり強引に加速。しかし、緩めるとすぐにエンジンカットで即、EV走行に戻る。 高速を1区間で降り、総走行40kmほどで電池メーターはゼロに。するとここでモードは勝手にハイブリッドに。この状態に入るとメーター表示もチェンジし、パーシャルスロットルでアクセルを軽く踏んでるとEV状態、それなりに右足に力を込めると瞬時にエンジン点火! となる。心なしかコッチの方が全体にはスポーティ。ちなみにこの状態でアクセルオフするとエンジンから駆動系が切り離されたクルージングモードに。ホント、効率重視の走りだ。事実モード燃費はこのクラスで21.4km/Lだから凄い。 GTEモードでフルパワーも試してみるサーキットに戻り、今度はコースインして、今度はフルパワーのGTEモードでGO! この状態だとアイドリングからエンジンがかかっててヤル気満々。特にフル充電状態だと出足から速く、確かに“パサートGTI”って感じ。足も少し硬くなるが、それでもシステム160kW、つまり218psなので過激に速いってほどじゃない。正直、速さとエコを両方楽しみたいなら、小沢的にはゴルフGTEをオススメしたい。 それよりパサートGTEを買う人はやっぱり高速でぶっ飛ばしたい人でしょう。それも家族と一緒に大量の荷物を積んで遊びに行くような。普段は毎日仕事でクルマを使い、それなりの荷物やお客さんを乗せ、週末や休日は長距離走る。言ってみれば働き者かつ別荘持ちのリッチな遊び人たち。 そういう人はいままでメルセデスのEクラスワゴンやBMW5シリーズツーリングを乗っていたはずだ。だが、パサートGTEセダンやヴァリアントは半分EVとして使えるだけでなく、上質なプラグイン・ハイブリッドとしては相当リーズナブル。 電池をリアシート下に積む分、フロア下収納は無くなったが、それでもセダンで402L、ヴァリアントで483Lのラゲッジは相当広い。仕事に遊びに、心底クルマを使い倒す人に是非とも使って頂きたいものであーる! スペック【パサート GTE】 【パサート GTE ヴァリアント】 |
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