ライトスポーツ派に向けたアドバン新モデルスポーツタイヤファン待望の新型モデルが横浜ゴムからデビューした。「アドバン・フレバ V701(ADVAN FLEVA V701)」は、軽快なハンドリングをアピールする新世代タイヤ。欧米など世界中で販売するグローバルモデルであり、国内では2016年8月から195/55R15~265/30R19の24サイズを販売開始する。サイズ数は今後さらに増やす予定だという。 「アドバン」は38年の歴史の中で、スポーツタイヤ・ブランドとして絶大なる人気を獲得した。2005年にグローバルフラッグシップ・ブランドに昇格したが、2006年に開始したFIA世界ツーリングカー選手権への独占供給や、今年から国内トップカテゴリーである全日本スーパーフォーミュラ選手権の単独サプライヤーに返り咲くなど、スポーツ志向が強いブランドとしてよく知られている。 最新アドバンの市販タイヤは、欧州スポーツモデルをメインターゲットにした「アドバン・スポーツ V105」を筆頭に、サーキット派に向けたハイグリップの「ネオバ AD08R」や、サルーン向けコンフォートタイヤである「デシベル」などをラインアップ中だ。 新型フレバは、アドバン・スポーツやネオバより気軽にハンドリングを楽しみたいライトスポーツ派ユーザー向け。サーキットやワインディングもたまに走るが、高速道路や一般道の快適性も欲しい、といったオールマイティな性能ニーズに応えるためのハイバランス型スポーティタイヤといえる。 「フレバ」という名前は、しなやかで順応性のある“フレキシブル(Flexible)”と、熱烈な歓迎を意味する“オベーション(Ovation)”を合わせたもの。歴代アドバンには「グローバ」や「ネオバ」といった人気のスポーツタイヤがあり、馴染みやすいネーミングになりそうだ。 アドバン・スポーツ譲りの攻めたプロファイル旧型にあたる「DNA S.ドライブ」は、エコ系のスポーティタイヤとして2005年にデビューした。本来は「ブルーアース・エース」が後継を担うポジションに近いが、走り好きのファンは低燃費ブランドでは飽き足らず。かといって「アドバン・スポーツ V105」や「ネオバ」までの超高性能タイヤは不要。コストパフォーマンスや見た目にはこだわりたい、ノイジーなタイヤは避けたい等々…多様なニーズを満たすアドバン・ブランドの新生スポーツタイヤが待ち望まれた。 そして誕生した「アドバン・フレバ V701」は、回転方向指定タイプのシャープなパターンデザインを採用した。一見、S.ドライブと似ているが、横溝をすべて非貫通にするなど、パターン剛性と静粛性の面で大きく進化したことが把握できる。センターと中間部はブロック比率を高めた30ピッチ、ショルダー部は横溝を60ピッチにして、ブレーキング時のエッジ効果をアップさせた。 タイヤのキャラクターに大きな影響を与える断面形状は、上級モデルの「アドバン・スポーツ V105」から継承。高速走行に対応するリニアなハンドリングを狙いながら、安定性や快適性を犠牲にしないよう配慮した形状だ。 コンパウンドは横浜ゴム独自のオレンジオイルとシリカをブレンドした最新タイプを搭載。耐摩耗性ポリマーや低燃費ポリマーなども混合しているが、転がり抵抗の低減はとくに重視せず、ウェットグリップと走行性能に重点を置き、設計の自由度を高めたという。 実はこのあたり、無理をしてバランスを崩してしまう低燃費タイヤが多い中、かなり重要なポイントといえる。ちなみにラベリング制度の転がり抵抗は「A~B」、ウェットグリップは全サイズ最高グレードの「a」をクリアしている。 タックインで回頭を助ける活発な走り試乗はまずウェットグリップの新旧比較から。S.ドライブを装着したトヨタ86の80km/hからのウェット制動距離は、3回の平均値で26.7m、フレバは24.5mだった。2.2m短く停止できるわけだ。グリップアップは前後Gの違いからもよくわかる。 スラロームでは横方向のグリップを比較した。S.ドライブはパターン剛性が低めで滑り出しも早く、パワーオンでアンダーステア、パワーオフでオーバーステアがはっきり表れる。フレバは明らかに剛性とグリップが向上し、速度を上げても安定感抜群。パイロン近くを狙ってスムーズに走れた。 S.ドライブは耐ハイドロプレーニング性能にメリットがあり、走りもけっこう楽しいのだが、驚いたのが静粛性の違いだ。ウェット手前のドライ路面で、パターンからビリビリとした振動とピッチノイズが伝わってくる。とくに旋回中はショルダー部の横溝が接地形状と一致するため、ノイズと振動が大きくなる。まるで多角形に摩耗したかのような旧式の転動感を伝えるS.ドライブに対し、フレバはスムーズで静か。もちろん振動も発生しない。摩耗時にはノイズが増加することを考えると、S.ドライブの性能はもはや前時代的だ。 次のセクションではフレバの高G域コーナリングを試した。クルマはスバル・レヴォーグとプジョー208GTi。パイロンで規制したコースは2速全開でコーナリング中、ドライからウェットに突入する区間がある。フレバはグリップが高く、ウェット進入時も挙動変化が穏やかで対応しやすい。ドライ限界速度でウェットに入ると、当然アンダーステアが発生。アウト側に滑り出すが、粘りがあり、アクセルオフで自然な感じにラインを立て直せるのだ。とくにプジョー208GTiとの組み合わせは見事! タックインで回頭を助ける活発な走りが楽しめた。アドバンらしいスポーティさを感じ取れる部分だ。 静粛性の高さと自然なフィールが際立つ一般道やワインディングを想定したコースでは、VWゴルフによる新旧比較や、トヨタ86、メルセデス・ベンツA180、プジョー308GTiでフレバを単独試乗した。 VWゴルフとS.ドライブの組み合わせでは、やはり低速時に微振動とノイズを感じる。平滑な路面のパターンノイズは100km/hぐらいまで聞こえる。それ以外のS.ドライブの走行フィールは思いのほかいい。一方、フレバを装着したVWゴルフに乗り換えると、静粛性の違いは明らかだ。デシベルのように“ほぼ無音”というわけにはいかないが、スポーツタイヤとしては静かな部類。乗り心地も当たりがソフトでダンピングがよく、快適性はなかなか良好だった。 ハンドリングのレスポンスは適度に軽快。決して過度に切れる感じではない。しっかりした手応えがあり、予想よりシャープすぎず好印象を受ける。クルマのフロント荷重に比例し、FFでは少し重め、FRでは少し軽快といったイメージ。操舵を速めれば遅れなく回頭し、自然なフィールで走れるタイヤだ。 まとめると、ハンドリングの軽快感だけというよりも、高速域の安定性やウェット性能、日常の快適性をも巧みにバランスさせた、グローバルスポーティらしい味付け、といった特徴が見えてきた。 ターゲットは小型のスポーツモデルやSUV、例としては欧州CセグメントのVWゴルフ以下が主要対象で、BMW 3シリーズやアウディA4などDセグメント以上はアドバン・スポーツやデシベルが担うという。世界中から注目が集まるアドバンのニュータイヤだが、希望としては国内で人気の軽やリッターカーのスポーツモデルに対応したサイズ拡充を早めにお願いしたい。 サイズ■19インチ ■18インチ ■17インチ ■16インチ ■15インチ 全24サイズ(順次拡大予定) |
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