MQBベースの2代目ティグアンフォルクスワーゲンのコンパクトSUV「ティグアン」は2007年秋にフランクフルト・モーターショーでデビューした。以来、ヨーロッパはもちろん世界中で人気を博し、2015年までにおよそ264万台が世界で販売され、VWブランドにおける屋台骨になっている。 今回、2代目へと生まれ変わったニュー・ティグアンは、ゴルフ7に採用されている横置きエンジン用プラットフォーム「MQB」をベースに開発された。MQBの特徴は、サイズやプロポーションを自由に設計する事ができることで、その結果、全長4486mm (+60mm)、全幅1839mm(+30mm)、全高1632mm (-33mm)、ホイールベースは77mm伸びて2681mmとなっている。ボディサイズは大型化したが車両重量は50kgの軽量化を果たしている。 そのプロポーションは、シャープなプレスラインと緊張感のあるサーフェスで構成され、ティグアンのエクステリアをグッと伸びやかでスポーティネスに溢れたものとしている。エアロダイナミクスも、クラストップとなるCd値0.31を実現している。 スポーティな仕立ての室内。キャビンも荷室も拡大インテリアも、スポーティなイメージに仕立てられている。インパネ周りは、インフォテインメント・システムのディスプレイや各種操作系がドライバー側に向いた、ドライバー中心の左右非対称デザインとされた。メーターパネルには、オプションでフルデジタル表示のアクティブ・インフォ・ディスプレイも用意され、ハイテク感も盛り込まれている。なお、内外装デザインは、標準仕様の他に、スポーティなイメージを際立たせたRラインが用意される。 キャビンスペースも、室内長は先代から26mm伸び、リア・パッセンジャー・スペースは、膝周りが29mm前後に広がっている。またラゲッジも、従来を145リッター上回る615リッターに拡大。リアシートバックを倒した状態では、最大で従来+145リッターの1655リッターを実現した。しかしフルフラット状態にはならず、完璧なユーティリティは制約されてしまう。 エンジンはガソリン、ディーゼルとも4種類を設定搭載されるパワーユニットは、ガソリンエンジンが、それぞれ最高出力92kW(125ps)、110kW(150ps)、132kW(180ps)、そして162kW(220ps)のTSIエンジン4種類。ディーゼルは85kW(115ps)、110kW(150ps)、140kW(190ps)、176kW(240ps)を発揮する4種類のTDIエンジンとなっている。 トランスミッションは、搭載エンジンにより6速MTまたは7速DSGが組み合わされる。また、全てのエンジンはユーロ6をクリアしており、ストップ-スタート・システムとバッテリー回生機能が標準で備わる。この結果、ニュー・ティグアンは、最大24%の燃費向上を果たした。 4WDシステムの4モーションは、第5世代のハルデックス・カップリングを採用し、前輪のスリップを予知してリア・アクスルに駆動力を配分する。また、最低地上高は従来+11mmの200mmとされ、一層優れたオフロード走行性能を手に入れた。 4モーション・アクティブ・コントロールも加わり走破性が向上スウェーデンのアルビッツヤウルで行われた先行試乗会は、まさにニュー・ティグアンの4WD性能を確認するには絶好のチャンスであった。我々が到着した翌朝の気温はマイナス摂氏26度。北緯65度の町の冬としては普通のことで、それゆえにこの地では多くの自動車メーカー、あるいはタイヤなどの関連メーカーがウインター・テストを行っている。 ティグアンのインテリアや操作系はほぼゴルフ、というか現在のVW系モデルと共通で戸惑う事は無い。唯一、コンソールに新しくドライブ・モード・ダイアル(4モーション・アクティブ・コントロール)が加わったくらいである。このダイアルは4つのモード(スノー、オンロード、オフロード、オフロード・インディビジュアル)にプリセットする事が可能である。 さらにこのティグアンのアプローチアングルは25.6度、ディパーチャーアングルは24.7度と本格的オフロードモデルも顔負けの走破性を持っている。 180psの2リッターガソリン仕様に試乗。日本導入モデルは?試乗したのは180psと320Nmを発生する2リッター直噴ガソリン仕様で、パワーは十分以上、7速DSGを介してスムースでパワフルな雪上ドライブが始まる。トルクは1500rpm付近で既に十分以上、スロットルペダルの僅かな動きで鋭い加速をする。ちなみに0-100km/hは7.7秒でこなし、最高速度は208km/hに達する。 驚くのは乗り心地と快適性で、決してスムースとは言えない圧雪路からのショックを巧みに吸収しながら100km/hでのクルーズを楽しませてくれる。山間の登坂ワインディングへ入ると状況に合わせてトルクが後輪へ流れ、頼もしい走りを見せるが、もちろん移行はスムースで挙動の変化などかけらも無い。実に、イージーなのだ。これを助けているのは、フィードバックの確かな電動パワー・ステアリングである。 唯一、ちょっと気づいた点を言わせていただくと、乗り心地、ダイナミック性能を含む全体的な印象がまるで背の高いパサート、あるいはゴルフなのだ。「それこそがVWの売り、均一品質なのだ!」と言われるかもしれないが、クルマというものはカタチを見てユーザーが求める期待度があり、オフローダーはもうちょっと無骨な演出があっても良いのではないかと思った。 なお、ドイツでは既に価格が発表されており、19%の付加価値税込みの価格は、エントリー・モデルの125馬力の1.4リッターTSIが2万5975ユーロ(約330万円)となっている。しかしこれは4モーション搭載モデルで、試乗会関係者によると、日本へ輸入されるのはFF仕様だけになるかもしれないという。4WDモデルの進化が著しかっただけに、私の心配が杞憂に終わることを祈りたい(※著者の独自取材によるコメントです)。 VW車の開発コードナンバーには法則がある!フォルクスワーゲンはティグアンの市場導入に先立って、数名のジャーナリストを開発品質管理センターと生産ラインへ招待した。ここではフォルクスワーゲンの品質管理が非常に厳しく、同じグループ内のプレミアム・ブランド「アウディ」と全く同等のレベルで行われていることが確認された。 試作室の段階ではボディへの様々な艤装パーツのマッチングが慎重に検討されている。そのデザインは、もちろんミリ単位の組合せがチェックされている。特に新採用のパーツ、今回はオフロード・モード変換ダイアルが問題になっていたが、その操作性と、切り替え時の精密度(ガタの少なさ)までが吟味されていた。 さらに生産工程では、世界で初めて完全自動化されたバフ掛けロボットも公開された。ティグアンの高性能そして高品質はこうした精緻なモノ造りに支えられているのである。ちなみにプロトタイプのナンバーにある数字326には意味があり、3はセグメント、すなわちAから数えて3番目のCセグメント、2は2世代目、6はこのセグメントの6つ目のバリエーションという意味。現行ゴルフ(7世代目)は371となる。 |
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