ひとりで乗ってもサマになりそうな雰囲気パパ、ママになっても好きなクルマに乗り続けたい。そんな気持ちがある一方で、現実には想像以上に増える荷物、出かけた先で求められる数々の“衣・食・遊”スペース……。たまらず「やっぱりミニバンじゃないとダメかも?」と心が揺れている人も多いのではないだろうか。 2004年に初代が発売されてから、累計4万台以上が日本の道を走っている、ゴルフ トゥーラン。本国ではトゥーランとシンプルな車名だが、日本でゴルフファミリーの一員となっているのは、そうしたパパ、ママに「ゴルフと同じような気持ちで乗れる7人乗りですよ」と、優しく呼びかけてくれているように感じる。 今回、約12年ぶりにして初のフルモデルチェンジで、フォルクスワーゲンが進めている最新のモジュールコンセプト「MQB」をミニバンとして初めて車台に採用した。一見して確認できるその恩恵といえば、先代よりちょっと低くワイドになり、グッと都会的に映るスタイリング。スライドドアは持たず、2-3-2の着座配置も変わらないが、いかにも実用車です、という感じは影を潜めて、ひとりで乗ってもサマになりそうな雰囲気さえただよっている。 立体感のある印象的なフロントフェイスたとえばフロントフェイスでは、ラジエーターグリルからそのままヘッドライトの中に伸びる一本の水平なライン。それがフロントの一体感を強め、細長くなったヘッドライトと相まって、立体感のある印象的なスタイルを造っている。しかも、フォルクスワーゲンのミニバンとして初めて、ダイナミックコーナリングライト内蔵のLEDヘッドライトがハイラインに標準装備され、ジュエリーのような輝きを添えてくれる。 またサイドビューでは、フロントからリアまでが一筆書きのように流麗なウインドウ周りに、トゥーランとして初めてクロームトリムを採用(ハイライン)。前後のドアハンドルがひとつの線となるように、彫りの深いキャラクターラインが引かれ、エレガントさを醸し出す。そこから期待してリアにまわると、ちょっとサッパリとしているのはご愛嬌だが、テールランプが点いた時のグラフィックは独特でキレイだ。 日本人の要望に応えた収納外観を堪能したあとは、中身の変身ぶりを見てみようと室内へ。すると、アレッと拍子抜けするほど、整然として無駄のない、いつものフォルクスワーゲンらしい空間だ。でもよくよく触れていくと、光沢ブラックを使ったインフォテイメントシステムや、クロームがアクセントのスイッチなど、さりげないオシャレや質感の高さを実感する。ちなみに今回、アンドロイドとアップルのスマートフォンと接続可能な「App-Connect」が新機能として加わり、様々なアプリが使えるようになっている。 そして収納は、大きなドアポケットやシートアンダートレー、ふた付きのアッパーボックスなど、日本のミニバンのようにそこかしこに、とまではいかずとも十分なスペース。ドリンクホルダーの使いやすさも抜群で、このあたりは輸入車の中でも日本人の要望にいちばん応えてくれる1台だと感じる。 ミニバンのキモ、シートの座り心地と使い勝手は?収納に続いて、ミニバンとしてのキモとなってくるのが、やはりシートの座り心地と使い勝手。1列目は、カッチリとした厚みのあるクッションで、座面は大きめ、背もたれは横幅がややタイト。路面から約625mmの高さだというアップライトな着座位置で、広い視界が心地良さをくれる。 2列目は3名分が独立したシートで、クッションはちょっと硬め。背もたれは平らだし、アームレストがないので、ソファにふんぞり返るようにくつろぐことはできないものの、前後スライド量は最大200mmあり、リクライニングも3段階。ハイラインなら左右席にシートヒーターだって標準装備だ。頭上や肩まわりのゆとりもしっかりとってあるし、独立した制御が可能な3ゾーンフルオートエアコンまで装備されて、これなら大人3人が並んでも快適だろう。 3列目はさらに薄く硬めの座面で、大人は体育座りに近い姿勢で乗ることになるので、長距離ドライブはちょっと辛そうだ。ただ、乗降性は2列目シートがワンタッチで前によけてくれる「イージーエントリー機能」が付いて格段にアップした。 さて、シートアレンジはパタッときれいにフラットになる実力派。コンフォートラインとハイラインなら、助手席の背もたれまでスッキリ折り畳めて、段差のない広大なラゲッジスペースを生み出してくれる。実際の操作感も重すぎず、大型でかさばるA型ベビーカーもラクに積み込めた。 重さを感じない走り出し、加速フィールが気持ちいいパワートレーンは3つのグレード全て、新開発の1.4L TSI(直列4気筒DOHCインタークーラー付ターボ)+7速DSGが搭載された。150ps/250Nmのパフォーマンスは、日本の1.8Lクラスのミニバンよりもパワフルで、とくに最大トルクがわずか1500rpmから涌き出るのはTSIの魅力のひとつだ。MQBの恩恵による軽量化や、ミニバンとしては優秀なCd値0.296の空力性能により、燃費は18.5km/L(JC08モード)を実現している。 重さを感じさせない走り出しから、軽やかに流れにのっていく加速フィールは、とても気持ちのいいもの。カーブやレーンチェンジといった、ガッシリとした剛性感が欲しいところでは、それに応えてくれる。また、子どもとのドライブ時に気になるのは、加速よりもむしろブレーキのフィーリング。ペダルの踏み応えは硬いものの、カックンと不快な揺れがなく、スーッと自然に減速できる。 乗り心地は、17インチタイヤを履くハイラインではやや硬めで、オプションとなるDCC(アダプティブシャシーコントロール)でコンフォートを選ぶと、当たりが柔らかくなる。16インチタイヤでは、一般道から高速まで適度な硬さに感じた。 日本のミニバンに近い使い勝手と最先端の安全技術さらに、そんなドライブをバックアップしてくれるのが、フォルクスワーゲンが誇る先進安全技術の数々。とくに予防安全には、「アダプティブクルーズコントロール」をはじめ、車線維持をサポートする「レーンキープアシスト」、衝突事故の危険を察知して最大限に乗員保護効果を高める準備をしてくれる、「プロアクティブ・オキュパント・プロテクション」、「プリクラッシュブレーキシステム」などを手厚く装備。万一、衝突してしまった時には二次被害防止の「ポストコリジョンブレーキシステム」も装備している。 また、画期的なのは2列目の左右席に内蔵されている、インテグレーテッド・チャイルドシート(後席一体型チャイルドシート ※オプション)だ。座面を引き起こし、専用のサイドヘッドレストを装着するだけで、15~36kgの子どもが使用できる。これは「ま、いっか」から起こる悲劇を撲滅するために一役買ってくれるはず。こうした妥協なき安全性を突き詰めた結果、新型ゴルフトゥーランは衝突安全テストのユーロNCAPで、最高評価の5ツ星を獲得している。 ゴルフのように肩肘張らずに乗れて、日本のミニバンに近い使い勝手があって、安全性も間違いなく最先端。今年の夏にはきっと、このクルマで思い出をつくる子どもたちを、あちこちで見かけるのではないだろうか。 スペック例【 TSI コンフォートライン 】 |
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