ミラージュは超良心的な“ガイシャ”なのだ完璧ではないものの、やれば出来るじゃないの! だ。そう、2012年に新興国向けグローバルカーとなり、サイズダウンと共に質感ガックリ気味になっていた三菱ミラージュ。つい旧型の三菱コルトと比較され、素っ気なさを嘆かれるが、それでも現行ミラージュは視点を変えると結構偉大な存在であることがわかる。それはミラージュがタイで生産されて日本に輸入される完全なる輸入車、問答無用の“ガイシャ”だという意味でだ。 なにしろ販売当初は100万円を切る超良心的価格や多彩なバリエーションにグレードチョイスを実現。これを見ると同じタイ生産車でありながら、装備充実とはいえライバルよりも平気で100万円高い値を付ける一部輸入車ってどうなの? となる。少量しか売れないし、無理して安くしても売れないって判断も分かるけど、もうちょいやりようはあったんではないのか? と。 しかも発売から4年、今回ミラージュは見事なクオリティアップを果たして再登場。すべてには手を加えられない一部改良モデルってことになってるが、あまりの変身ぶりに「どこが“一部”なの?」と言いたくなる改善レベル。この頑張りからも輸入車でもやればできる! という事実が透けてみえるのだ。 フルチェンじゃないのにボンネットまで変更さて、大変身の新型ミラージュ。まず驚いたのは見た目だ。通常はフルモデルチェンジでもない限り、ボディ外板は変えないものだが、今回はボンネットのプレスまで変えて大きくイメチェン。以前は女性ウケを狙った優しいマスクやタイ生産のイメージもあり、妙にアジアチックでチープな雰囲気すら持っていた。 ところが今回は薄型とはいえ存在感あるメッキグリルを付けた上、新作ボンネットで力強いメリハリも獲得。同時にLED入りヘッドライトやリアコンビライトバンパー、バンパー下のハデ目なガーニッシュなども装着。ボディカラーでも専用の深味のあるメタリック系が選べるようになった結果、かなりリッチに。サイズは相変わらずだが見た目の存在感は旧型5割増し! で、リアスタイルもバンパーが張り出し、スポイラーがハネ上がって迫力増加。マイチェン直前にサイドミラー内蔵型となったウィンカーからもイマドキ感が伝わってくる。 さらに内装だ。元々質感が悪くなかったインパネ樹脂こそ変えてないが、ステアリングに一部メッキ塗装を施し、オーディオスイッチや指かけを付けたり、シフト回りやパワステ回りにメッキを施した結果、リッチ感倍増。特により鮮やかなホワイト発光のメーターが効いている。ついでに効果的なのは上級グレードに装備される織物調のシート表皮で、こちらもリッチ感ざっと5割増し。130万円台から買えるコンパクトカーとして、結構な競争力を備えてきているのであーる。 まだまだ基本性能は足りないが…頑張りが見えるのは走りもだ。こちらは内外装ほどではないが、エンジンが従来の1.0L直3メインで1.2L直3を上位グレードにラインアップした2本立てのグレード構成から、78psの1.2L直3一本に統一され、足回りを前後アブソーバーはもちろん、リアスプリングも新しくし、フロント取り付け部を強化したのが効いている。 乗り心地はそれほど良くなってない。しかし1.2Lエンジンに統一されて回さなくなった分、車内は静かになったし、電動パワステのチューニングが改良されてステアリングフィールが変わった。特に低速域での滑らかさはなかなかだ。 とはいえここは根本的領域なので、高速走行での乗り心地や路面から入るノイズ、ステアリングの効き、60km/L程度からの追い越し加速のスムーズさはライバルに劣る。このあたりはやはりアジア戦略車ならではの物足りなさが残っている。だがその分、ボディの軽さと高効率エンジンから来るノーハイブリッドでは頑張ってるモード燃費25.4km/Lという低燃費を誇るし、値段も手頃。要は乗れば確実に日本車では得られない軽快さが味わえ、必要にして十分な性能を備えているのだ。 お値段的にはもっと高い軽ハイトワゴンに質感で劣る部分もあるかもしれない。だが、これは確実に異文化体験であり、日本で買える世界で最も良心的なガイシャでもあるのだ。冷静に見て世界でこの値段で買えるこのクオリティのコンパクトカーは少ない。その意欲的なアップデートぶりも含めて、もっとこのクルマを高く評価してもいいじゃないか! と思った小沢なのであーる。 スペック【 G 】 |
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