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新世代ボルボの第一弾「新型XC90」に試乗。先代オーナーが進化を語る

2016-3-11 10:50| post: biteme| view: 709| コメント: 0|著者: 文:岡崎 五朗/写真:菊池 貴之

摘要: 「センシュアル」なデザイン マツダがそうしたように、ボルボはいま、フォード傘下時代の遺産と縁を切り、まったく新しい商品群をつくりあげつつある。その核となる技術が「Drive-E」と呼ばれる新世代エンジンや、「 ...

新世代ボルボの第一弾「新型XC90」に試乗。先代オーナーが進化を語る

「センシュアル」なデザイン

マツダがそうしたように、ボルボはいま、フォード傘下時代の遺産と縁を切り、まったく新しい商品群をつくりあげつつある。その核となる技術が「Drive-E」と呼ばれる新世代エンジンや、「SPA(スケーラブル・プロダクト・アーキテクチャー)」と呼ばれる新プラットフォームだ。これらの開発や生産設備に投じられた金額は110億ドル。日本円で約1兆2500億円という巨額投資から生まれた「新世代ボルボ」の第1号車が新型XC90である。

SUVがオフロードカーではなく乗用車の一種として認識されるようになって久しい。それに伴いヘビーデューティーなイメージよりも、洗練性やプレミアム感をアピールするSUVが増えてきた。

そんななかにあっても新型XC90のエクステリアデザインは群を抜いて美しい。巨大なフロントグリルも、SUVらしさを強調する樹脂製の無塗装フェンダーもない。デザイナーに、威圧感やオフロード車らしさを強調する意図はまったくなかったに違いない。むしろ、プレミアムセダンにも通ずる、細かい美を積み上げていくような繊細さとバランス感覚をもってデザインされていることが伝わってくる。

複雑な面を組み合わせながら、全体的にはシンプルに見せるデザイン手法はアウディに似ているが、XC90のシンプルさはアウディQ7以上だ。それでいて退屈感や没個性とは無縁であり、しっかりとした主張のあるデザインになっている。

XC90のデザインを表現するのにもっとも相応しい言葉をひとつあげるなら「センシュアル」だろう。この言葉はセクシーという意味も含んでいるが、ボンッキュッボンッみたいなわかりやすいセクシーさではなく、より内面的な魅力を指す。主張の強いデザインに食傷気味の人の目に、XC90のセンシュアルさは大いに魅力的に映るに違いない。

シンプルで美しく、そして暖かい

インテリアも見所満載だ。大型液晶ディスプレーを配置し、そこにほとんどの機能を統合したのは、これからのクルマにとって必要不可欠なコネクティビティへの対応が主目的。しかし、それは同時にシンプルな美しさへのこだわりでもある。スイッチ数は究極まで減らされ、質感の高さや造形の美しさを際立たせている。シンプルで清潔で、しかし乗員を心の底からリラックスさせる暖かみを伝えてくるあたりは北欧デザインの真骨頂だ。

ボルボインテリアの代名詞であり、僕のお気に入りでもあった「フリーフローティング・センタースタック」は廃止されたが、このシンプルで美しいインテリアを見せつけられたいま、名残惜しさは一切ない。

タブレットのようなタッチパネル式液晶ディスプレーは、ナビ、空調、オーディオの他、車両の細かな設定ができる。タッチやフリック操作に加え、ほとんどの機能を音声でコントロールできるとのことだが、機能が多いだけに使いこなすまでにはちょっと時間がかかりそうだ。

試乗車にはオプションのBowers&Wilkins製オーディオが搭載されていた。これは間違いなくXC90のキラーコンテンツのひとつになるだろう。ボルボ本社の近くにあるイェーテボリ・コンサートホールにゴールデンシートと呼ばれるベストポジションがある。席番号577。まさにそこで聴く音を再現したのが「コンサートモード」だという。

当然ながらおすすめはクラシック。僕はそのホールに行ったことはないし、普段はクラシックもほとんど聴かないが、音が鳴り始めた瞬間に鳥肌がたった。目を閉じたら、目の前で演奏しているオーケストラの姿がクッキリと目に浮かんできた。こんなにクリアで、リアルで、繊細で、広がりがあり、かつ迫力のある音を車内で聴いたのは初めての経験だった。これはぜひショールームで体験して欲しい。他にもスタジオモードとステージモードがあり、幅広い音楽ジャンルに対応している。

ミニバン並みのスペースユーティリティ

XC90の大きな特徴となるのがサードシートの存在だ。SUVのサードシートというと補助席の域を出ないのが普通だが、XC90のそれは大人がきちんと座れるスペースと快適性をもっている。2-3-2の7人乗りレイアウトは先代と変わっていないが、サードシートのスペースは拡大され、身長170cmクラスの大人でも快適に過ごせるようになった。もちろん、畳めば巨大なラゲッジスペースが出現することになる。ミニバン並みのスペースユーティリティを備えるSUVと言ってもいいだろう。

僕が2003年に先代XC90を買った理由はまさにそこだった。小学1年生の娘と4年生の息子がいた我が家は、休日になるとオートキャンプやらスキーやらに行っていた。そうなると無視できないのが積載力だ。大量のキャンプ用品を積み込もうと思ったらミニバンのサードシートを畳んでしまうのがもっとも手っ取り早い。また、子供の友達や祖父母など、サードシートが活躍するケースも少なくなかった。

でも僕は、ミニバンには乗りたくなかった。家族だけで乗るならミニバンも悪くないけれど、ミニバンで試乗会に行ったり、スーツを着てパーティーに出かけたりするのは気が進まなかった。そんな問題を見事に解決してくれたのが先代XC90だったわけだ。ボルボはXC90を「家族をもつ男と女のためのクルマ」と表現していたが、まさにその通り。XC90のオーナーである間、僕は「父親」と「男」を、思うがままに行ったり来たりできた。

プライスアップにも納得感アリ

新型XC90は、前ページで記した初代モデルのキャラクターを100%引き継ぎながら、長所をさらに伸ばし、短所を克服することに成功している。「先代とはまったく違うクルマになった」と言う人もいるけれど、僕はそうは思っていない。なぜなら「家族をもつ男と女のためのクルマ」というコアバリューにはいささかも変わりがないからだ。

ただし、先代のスターティングプライスが678万円だったのに対し、新型は774万円と、100万円近く上がっている。ボディサイズもひとまわり大きくなり、全長は4950mm、全幅は1960mmに達した。弟分のXC60が登場したことにより、上級移行した格好だ。

ドイツのプレミアム御三家ならいざ知らず、最近のボルボはV40やXC60といった、さほど高くないモデルを中心に売ってきた。そんななか、ユーザーは新型XC90にどんな反応を示すのか? そこに若干の疑念をもっていたのだが、驚くべきことに、受注の多くを上級グレードの「T6 AWD インスクリプション(909万円)」が占めているという。また、「T8 ツインエンジン」と呼ばれるプラグインハイブリッドも、1009万円という価格をよそに20%近くに達しているそうだ。

そう、新型XC90を購入している人の多くはこのクルマをプレミアムカーと認め、それに相応しいグレードを選び、それに見合った価格を喜んで支払っているのである。諸経費やオプションを含めるとほぼ1000万円という価格をユーザーに納得させているのは、新型XC90にそれだけの説得力が備わっていることを示している。卓越した内外装のデザインとクオリティがそこで大きな役割を果たしているのは間違いないが、先代モデルの短所だった「走り」の領域を大幅に改善している点にもぜひ注目していただきたい。

より快適に、より疲れにくく

試乗したのは「T6 AWD インスクリプション」。実を言うと、オーナーとして先代XC90に乗っていて「楽しい」と感じたことはなかった。とはいえ、そもそも走りの楽しさを望んで買ったわけではなかったから、不満はなかった。それどころか、遠出をするたび、天下一品といってもいい長距離走行時の疲れの少なさに感謝していたほどだ。

新型XC90も、そんなキャラクターのクルマだろうなと予想していたのだが、それはいい意味で裏切られた。郊外の道路や高速道路を走っているときの安心感と快適性は相変わらずのボルボ流。いや、50km/h以下までならステアリング操作もアシストする全車速追従機能付きオートクルーズや自動ブレーキなどを含む14の先進安全装備が加わった分、安心感も快適性も安全性も大幅にレベルアップしている。

完全新設計されたシートの座り心地も最高だ。僕は長距離走行があまり得意ではないのだが、先代同様、新型XC90も、「こいつとなら500kmでも600kmでも、あるいは1000kmでも走れるな」と思わせてくれた。

新旧の違いがワインディングで明確に

目から鱗が落ちたのはワインディングロードに入ったときだ。曲がりくねった山道は先代がもっとも苦手とする状況で、ドライバーは同乗者に不安な思いをさせないよう、ゆっくり、スムースに走ることを求められた。曲がりたがらないクルマをなだめすかしながら曲げる感じ、といえばイメージが伝わるだろうか。

ところが新型はまったく違った。ステアリング操作に対しノーズは忠実に反応し、リアも気持ちよく追従する。その軽快な動きは、まるで全長が300mm短くなり、重量が300kgぐらい軽くなったかのよう。気付いたら、きついカーブが連続するセクションをかなりのペースで「楽しんで」いた。

2L直列4気筒ながら、ターボとスーパーチャージャーを併用することにより320ps/400Nmを発揮するエンジンも、走りの楽しさを生みだしている理由のひとつだ。日常域では厚みのあるトルクがゆったりとした走りを提供するが、積極的に回していくと、気持ちのいいサウンドを聴かせながらトップエンドまできれいに回りきる。パワー面では6気筒からの置き換えとして十分通用する。

さらなる熟成と改善が進めば…

惜しいのは、2000rpm付近の常用域で、雑味とも言うべきわずかな振動を感じること。この部分の熟成が進めば、質感面でもライバルの6気筒に並ぶだろう。

もう一点、気になったのが乗り心地だ。試乗車にはオプションのエアサスペンションが組み込まれていた。大きなうねりでの姿勢制御は見事だし、車高が20mm下がる「ダイナミック」モードは運動性能に、車高が40mm上がる「オフロード」モードは悪路走破性に貢献する。ただし低速域でちょっと硬い。

とくに、細かい凹凸が連続するような荒れた路面ではバネ下がばたつくような、やや洗練度に欠ける乗り心地を示す。「コンフォート」モードに切り換えても、基本的な特性に変化はなかった。

エアサスにありがちな弱点だけに、ノーマルサスペンションの出来映えが気になるところだが、試乗車が用意されていなかったため残念ながらチェックできていない。いずれにしても、これらが改善されれば新型XC90のプレミアム度はさらに向上するだろう。

自慢の安全性能は最高レベル

ボルボがもっとも重視する安全性には、妥協のない取り組みがされている。ここですべてを解説することはできないが、警告&自動ブレーキシステムにはさらに磨きがかかり、より高い速度、より暗い状況でも作動するようになった他、世界で初めて右折時の衝突リスクにも対応。その他、シートに内蔵した「潰れ代」を使って脊椎を守る機能や、衝突時にエアバッグのセンサーと連携してブレーキペダルをリリースし右足を守る機能など、現段階で考え得る最高レベルの安全装備を備えているのはさすがだ。

この価格、このボディサイズを許容できる人は限られるだろうが、それさえクリアできるなら、XC90が人生の最高の相棒になること請け合いだ。プレミアムセダンのような美しさと上質さ、ミニバン並みの機能性、それらをいまもっとも旬なジャンルであるSUVという形式で包み、なおかつ走らせても楽しい。これほどオールマイティーな魅力をもつクルマは他にちょっとない。

スペック例

【 XC90 T6 AWD Inscription 】
全長×全幅×全高=4950mm×1960mm×1775mm
ホイールベース=2985mm
車両重量=2080kg
駆動方式=AWD
エンジン=2.0L直列4気筒DOHC・直噴ターボ+スーパーチャージャー
最高出力=235kW(320ps)/5700rpm
最大トルク=400Nm(40.8kg-m)/2200-5400rpm
トランスミッション=8速AT
JC08モード燃費=11.7km/L
使用燃料=プレミアムガソリン
サスペンション=前:ダブルウィッシュボーン式
        後:マルチリンク式
タイヤサイズ=前後:275/45R20
車両本体価格=909万円
発売日=2016年1月27日


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