日本でもすでにSクラス販売の4割がS300hにメルセデス・ベンツが世に送り出した「S300h」。カタログ燃費は20.7km/L! メルセデス・ベンツ日本がデモンストレーションした高速を主体とした実燃費テストでは25km/Lを超えたとか…。改めて、凄い時代が到来したものだ。超がつく大型セダン、車両重量2トン超えのモデルが、とうとう20km/Lの大台に乗ってきたわけだから。 その原動力になっているのが、日本市場に初めて登場した“ディーゼルハイブリッド”というパワートレーンだ。この存在だけでもラグジュアリー・サルーン・オーナーの注目を集めるには十分すぎる内容だが、メルセデスはそのS300hに戦略的価格ともいえる、1000万円を切る998万円のプライスを付けた。売れて当然、S300hの販売は、Sクラス全体の4割にも及んでいるという。果たして、価格も燃費も最もお得なSクラスは、Sクラスのベストバイなのか? 早速テストしていこう。 ラグジュアリー・サルーンでもモーターは有効ハイブリッドシステムに組み合わされる電気モーターは、高級感や優雅な走りを乗り手に提供しなければならないラグジュアリー・カーの世界でも有効で、エンジンの回転振動や稼働音を抑えられる。もちろんモーター走行も完全に無音とはならないが、エンジンと比べたらそう表現したいほど静か。しかも回転振動が少なく、Sクラスのしなやかに動く足回りと調和して、しっとりとなめらかな走行を実現している。 メルセデス・ベンツ SクラスにはすでにV型6気筒ガソリンエンジン+モーターのハイブリッドを搭載した「S400h」があるが、モーターがもたらす基本的な傾向は一緒だ。これだけなら断然S300hがお買い得となるが、そんなに単純には行かない。やはりハイブリッドといっても、ガソリンエンジンとディーゼルエンジンでは得られるものが大きく違っていた。 ディーゼルの「S300h」か、ガソリンの「S400h」か?まず、エンジンが始動したときの印象が大きく違う。もしガソリンエンジンHVのS400hとディーゼルエンジンHVのS300hの比較検討をするなら、試乗ではここを重点的に確認すると良いだろう。 と言うのも、ディーゼルエンジンはやはりエンジン始動時の音が大きく、さらに若干の振動を伴う。この振動のレベル自体は決して大きいものではないが、モーター走行の静かな環境から突然ディーゼルの稼働音や振動が入ってくると目立つというわけだ。ハイブリッドモデルにおいて、走行中に停止していたエンジンが再始動する時の違和感を無くすことは永遠の課題となっているが、ディーゼルエンジンはそのハードルがガソリンエンジンよりも高いのが現状だろう。 「S400h」と「S300h」には価格相応の違いがあるたとえばモーター走行領域を増やして、ロードノイズや風切り音や走行振動が大きくなる60km/hぐらいからディーゼルエンジンが掛かるような状況を作り出せたら理想だろう。しかし、S300hのバッテリー容量ではその速度域までモーター走行できる電力はない。現時点では、ディーゼルエンジン始動時の音や振動が気にならない方や我慢できる方にオススメといったところ。 これを見越してS300hに1000万円を切る価格を設定し、さらなる上質感を求めるならS400hをどうぞ…としているのかどうかはわからないが、2台の乗り味には価格相応の差があって「上手い!」と感じた瞬間だ。ちなみに、これだけだとディーゼルハイブリッドがガソリンハイブリッドの劣化モデルと思われそうだが、それは違う。 高速道路で魅力が増すディーゼルハイブリッドズバリ、ディーゼルハイブリッドを積んだS300hが最も得意とする領域は高速走行にある。高速道路では走行音が相応に大きくなり、エンジン始動時の振動や音も気にならない。さらに、ディーゼルエンジン特有の極太トルクによる速度コントロールのしやすさや路面勾配など外乱による速度変化の低さなど、ディーゼルならではの魅力が際立ってくる。 さらに言うと、ディーゼルエンジンはアクセルを踏んだ際にガソリンエンジンのような体感上の鋭い加速感が薄いが、そこをモーターが補っている印象があり、追い越し加速なども気持ち良くこなせるのだ。 高速走行では25km/Lもウソではないもちろん燃費も大きな魅力だ。そもそもハイブリッドとは“一台のクルマのなかでエネルギーをリサイクルするシステム”だ。使うエネルギーはガソリンや軽油などの液体燃料だから、最終的にどの液体燃料が高効率か? という問題に行き着く。ディーゼルエンジンが使う軽油はこのエネルギー効率がガソリンより優れている。数字で言えば、ガソリンエンジンがガソリンの38%前後を走行エネルギーに変換できるなら、ディーゼルは42%前後。この数字が燃費に大きく影響することになるのだ。 参考までに計測してみると、街中走行主体での実燃費は13~18km/L程度。数値に開きがあるが、回生エネルギーを多くとれる穏やかなブレーキの踏み方や、モーターを積極的に使う穏やかな加速など、ちょっとした速度コントロールなどのコツを使うだけで数字は大きく変化する。驚きは高速道路での数値で、走行速度が大きく影響するが、20km/L超えは楽に見えてくるし、メーカーが謳う実燃費25km/Lの世界もウソではないことがわかる。 というわけで結論だ。高速道路主体で使う方に特にオススメしたいのがS300h。あらゆるシーンでSクラスらしい静かさや上質さを求めるなら、100万円以上高くなってもS400h以上のグレードを買うのがいいだろう。 スペック【 S300 h 】 |
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