WCOTYが呼んだ奇跡のガチンコ対決ホント、ありがとうピーター・ライオン! 偶然にも奇跡のガチンコ日米ライバル対決が実現できまして。彼は日本大好きオーストラリア人モータージャーナリストで、世界カー・オブ・ザ・イヤーことWCOTYの会長でもあるんだけど、先日彼らが米西海岸のLAで主催してくれたのがWCOTYグローバル試乗会。 世界で売られるクルマを同時評価するのをモットーとする賞だけに、世界の選考委員の試乗体験地域差をなくすべく、去年からLAになるべく多くの新車を集めてイッキ試乗会が行われているわけだけど、そこで奇しくも実現したのが新型プリウスvs新型ヴォルト! ※ ヴォルト(GM-VOLT)はクルマ好きなら知ってるはずだけど、2010年にシボレーがキモ入りで出したエコカーで結構なプリウス対抗馬。プリウスが2009年には3代目となり、日本にゃ負けるが北米でも月1万台前後ぐらい売れるエコハイブリッドカーとなっただけに、GMも黙っていれなくなったわけだ。 実はヴォルトはアウトランダーPHEVに近かった?とはいえヴォルトは同じハイブリッドでもプリウスとは相当違っててかなり電気自動車寄り。最大のポイントはエンジンとモーターを動力源としてミックスして使わない「シリーズハイブリッド」であること。加速は基本モーターのみで行い、エンジンは発電用と割り切っているのだ。※プリウスは「シリーズ・パラレル・ハイブリッド」。 その上初代ヴォルトは電池をプリウスの10倍以上の16kWhも積み、家で充電すればEVとしてかなり走れる。つまり、日本の「三菱 アウトランダーPHEV」や「ホンダ アコード ハイブリッド」みたいな“半電気自動車”であって、正確にはガチンコ勝負ではないけど、それでも日米筆頭メーカーの意地がかかったエコカー対決ってわけなのだ。 やっぱりプリウスショックってあったのね!さてと奇しくも今年フルモデルチェンジして、プリウスが4代目、ヴォルトが2代目となって日米エコカー“二番勝負”を繰り広げる両者。 まずLAのホテルで見た印象は「あれまあやっぱりプリウスって偉大だったのね」だ。新型プリウスが3代目よりルーフを低くして重心を下げ、スポーティになってはいるが、結局はプリウスらしい空力優先の三角形デザインであることはみなさんご存知でしょう。 ぶっちゃけ新型ヴォルトもその路線なのだ。初代ももちろん5ドアハッチバックでプリウスライクだったけど、結構ルーフは平たかったし、オシリもポッテリしてた。 ところが新型はノーズが低くなり、リアはCピラーが細くなってルーフの真ん中あたりから滑らかに下り、テールエンドがプリっと上がってプリウスっぽくなってる。というかフロントマスクにしろ、リアビューにしろ初代のような妙な未来っぽさが取れて、プリウスらしさが露呈してる感じもある。 後席の居住性とスペース効率はプリウスの勝ち聞けば今度出るヒュンダイのプリウスキラーもデザインがプリウスそっくりらしいけど、それと同じ。空力と居住性を追求するとプリウスっぽくなっちゃうのかもしれない。 ちなみに全長×全幅×全高はアメリカ表記でプリウスが178.7×69.3×58.1インチで、ヴォルトが180.4×71.2×56.4インチでプリウスの方がひと回り小さい。一方ホイールベースは106.3インチと106.1インチでほぼ同等だ。 そこで一体なにが言いたいのかって居住性だ。プリウスもヴォルトもフロントシートは同等だが、リアシートは明らかにヴォルトの方が狭い。身長176cmの小沢が座って頭は天井ギリギリで足元も狭く、加え新型ヴォルトは5人乗りということになっているが、リアシートの中央足元はセンターコンソールで占められてる。こには電池が入ってるらしく、やはりスペース効率でヴォルトのプラグインハイブリッドはトヨタハイブリッドに負けるのだ。 かたやラゲッジはヴォルトもかなり広いがそれはプリウスも同様。この辺りから実はプリウスとヴォルトは同じハイブリッドでもまったくのガチンコ勝負ではないことが徐々に分かってくる。 実はハイブリッドシステムを一新した新型プリウスさて肝心の走りだが、こちらも路線はかなり違う。プリウスから言うと動力性能はスペック的には3代目とほぼ同じ。中身はオールニューなのに排気量変わらずの1.8L直4でピークパワーが99psから98psに落ち、モーターパワーも60kWから53kWに落ちている。 しかし、エンジンからトランスアクスルからインバータ等に至るまでほぼ完全に新設計で全体的に効率アップ! 特にプラネタリーギアを1つ減らした新型ギアボックスは、システムの名前こそ「THSII」のままだが走りのキレが違う。 出足からドカン! とはいかないものの一呼吸置かずにダイレクトに出て、スムーズに加速。さらに違うのは乗り心地で以前のような安っぽさはなく、路面からのショックが妙に残ることもないし、ステアリングも段違いにしっかり。 よって思わず「こりゃヴォルト、ツラいかも?」と思いきやコチラはコチラで別の驚きがあった。 ヴォルトはかなり違う高級路線だった!新型ヴォルトも実は開発にかなり力が入っていて、シャシーからモーターからエンジンまでほぼオールニュー。発電用エンジンは75kWの1.5L直4で、加速用モーターは111kW(149hp)でプリウスを凌ぐ。 一方、リチウムイオン電池は容量を今回から18.4kWhに増やしつつも約9.8kgの軽量化を果たしているが車重は1.6トンと重め。 だがそれを逆に生かしてるのかとにかく乗り心地上々! 今回上質化したプリウスよりもっと振動が入らないし、半EVの特性を生かして静粛性も凄い。しかもエンジンの遮音に気を使っているようで、フル加速させてエンジンを始動させてもそれがプリウス以上に分からない。ハンドリングもおっとりしっとりの上質系で、完璧に高級車路線なのだ。 デザイン的には完全にプリウスキラーの新型ヴォルト。だが、居住性の違いを見てもわかるようにガチンコ勝負は出来ない。よってこちらは半EV戦略であり、半高級車路線で攻めているのだ。 電気代の安い北米でますますEV性能を伸ばしたヴォルト両者の戦略の違いは他にも出てて新型ヴォルトは走行用電池の容量を増やすことによってEV走行距離が53マイル(約85km)に伸びた。前は65kmぐらいだったから日常的に使う分には十分ピュアEVとして使えそうだ。 前述ピーターは言う。「ボクは日本と西海岸でEVを乗り比べたことがあるけど、充電環境はこっちの方がよっぽど整ってるね。自宅で充電出来るし、テスラが走ってることからも公共充電設備も多い。なにより電気代が安い! 日本だとヘタするとガソリン代と変わらないでしょう。でもコッチは電気代がとにかく安いから」 もちろんライバルも褒めていて「今度のプリウスはボク自身初めて乗ってもいいと思った。ハンドリングがいいし、乗り心地もいいし、走り全体が凄く楽しくなった。デザインは好みが分かれるだろうけど(笑)」 実質どちらも2万5000ドル! ヴォルトは別の客が取れるか?改めて思うが、プリウスが既存のガソリン車の代わりとして使える一方、ヴォルトは新しいマーケットを開拓するのかもしれない。“ハーフEV”としてのマーケットをだ。 実際、充電がなくなった状態での燃費は新型プリウスが56mpgなのに比べ、新型ヴォルトは43mpgと少し劣る。同じガソリンハイブリッドとしては少々厳しい。 それと注目なのが価格で新型ヴォルトが安いLTグレードで3万3170ドル(約370万円)。プリウスより高いが実は補助金が出てそれが7500ドルつまり85万円。合わせるとほぼ2万5000ドルとなりほぼプリウスと並ぶのだ。 純粋ガソリンハイブリッドとしてみたらエコ性能はプリウスの方が上だが、半EVとしてみたらヴォルトはかなり魅力的で価格も実質同等。もしや戦略の違うガチンコエコカー勝負が繰り広げられるのかもしれない! スペック【 新型プリウス※北米仕様 】 【 新型ヴォルト 】 |
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