SUVらしい存在感が高まった日本でも大人気のX1が初めてのフルモデルチェンジで2代目となった。ボディサイズは全長4455×全幅1820×全高1610mm、ホイールベース2670mm。先代に比べると全長は30mm、ホイールベースは90mmも短くなっているが、後席のフットスペースが拡大されるなど居住性は大幅に向上している。 全高は35mm高くなった。1550mm制限の機械式駐車場には入らなくなったが、ヘッドスペースは前席、後席ともに広くなり、前席のヒップポイントは36mm高くなってSUVの美点の一つである見晴らしの良さが増した。 SUVらしい存在感が高まったデザインも見逃せない。これまではX5やX3とはちょっと路線が違ってステーションワゴン+α的だったが、新型はれっきとしたXシリーズの一員になったのだ。 プラットフォームはFFベースへ変更プラットフォームがFRベースから、とくに前後方向のスペース効率に優れるFFベースへと変更され、背高になったことでX1は大いに商品力を高めたといえるだろう。少しだけ懸念されるのは、BMWならではの走りの良さがFFベース化で薄まることだが、2シリーズ・アクティブツアラー/グランツアラーが期待以上の仕上がりだったことを考えれば、それほど心配はいらないだろう。 エンジンは18iが1.5L 直列3気筒直噴ターボ(136ps)で6ATとの組み合わせ、20iと25iは2.0L 直列4気筒直噴ターボで前者が192ps、後者が231psでそれぞれ8ATとなる。18iはFFのsDrive、20iと25iは4WDのxDrive。グレードはスタンダードの他、SUVらしい逞しさを強調したxLineとスポーティなM Sportが設定される。 2.0L 直4ターボの20iと25iに試乗今回はsDrive 18i は間に合わずxDrive 20iとxDrive 25iに試乗した。20iでも動力性能に不満を抱くことはない。発進時にアクセルを踏み始めた瞬間からグイグイとボディを押し出していく感覚がじつに頼もしいのだ。 わずか1250rpmで280Nmの最大トルクを発生するエンジンと、クラッチ発進のDCTよりも極低回転域のトルクを増幅させる効果の高いトルクコンバーター式ATのコンビネーションが抜群によく、アウディQ3やメルセデス・ベンツGLAなどのライバルに対して優位に立っている。 街中や郊外路、高速道路などでも巡航時はほとんどを1000rpm台で走ることになるが、そこから緩い加速に移るときに、この頼もしいトルク感が武器になる。ドライバーの操作にレスポンス良く反応し、シフトダウンの必要が少ないことで走りに落ち着きもあるからだ。 BMWらしい引き締まった感覚その一方でアクセルを強く踏みこんでいったときはBMWらしい緻密な回転上昇感が気持ちいい。雑味のない滑らかな感覚ながら力強く、高回転域での頭打ち感も少ない。25iも特性は同じだが、全体的にトルクが図太くなっていて余裕がある。 今後追加されるであろうディーゼルは、もっと頼もしいはずだが、高回転でのキレの良さはやはりガソリンに分がある。たまにはワインディングなどでスポーティな走りも堪能したいというのなら、20iや25iのほうが向いているだろう。 シャシー性能はFFベースになったがゆえのネガティブな面はほとんど見当たらない。乗り心地はライバルに比べて少々硬めだが、BMWらしい引き締まった感覚といったところでさほど不快ではない。 ステアリング・フィールは新型のほうが優れているBMWのFRとは重量配分もステアリングのシステムも違うが、フィーリングが似ているのが興味深い。直進状態ではいわゆるステアリングの中立付近の座りが良く、そこからわずかに切ったときの反応もわかりやすい。ちょっと切った状態から手の力を抜いてやれば、自然と直進に戻っていくので、何も意識しなくてもビシッと真っ直ぐ走ってくれる感覚。高速道路のロングドライブでは疲労が少ないだろう。 先代モデルはFRベースだったが、全体的にステアリングのフリクションが大きく、操舵力が重めで直進へ戻すときもドライバーが意図的に力を込める必要があった。それに比べればステアリング・フィールは新型X1のほうが優れているとさえ言える。 FRより一体感を感じる場面もコーナリングも本当の限界に近づけばFRよりもノーズが重たいことを意識させられることになるが、ワインディングを楽しんで走るぐらいのペースならばまったく問題ないだろう。 xDriveはアクセルを過度に踏みこんでもエンジンの駆動力がリアに配分されるのでライントレース性が高く、FRより一体感があるぐらいだ。ウエットなど路面が滑りやすくなればなおさら恩恵は大きく、FRより自信を持って速く走れるはずだ。 エンジンが横置きされるFFは、縦置きのFRに比べると、アクセルのオン・オフなどでエンジンが前後に揺さぶられるスナッチが大きくなりがちだが、今のBMWのFFはそこをしっかりと造り込んであるようで、シュアなハンドリングを実現している。 気になる点もあるが、このクラスではもっとも楽しい少しだけ気になるのはランフラット・タイヤ。ワインディングを駆け巡っているときに、路面のうねりなどで素直な動きが阻害されることもある。もっとも、他のメーカーに比べればランフラット・タイヤの経験が多いだけに上手く履きこなしていて、普段の走りではほとんど気にならないレベルではある。 想像していた通り、X1はFFベースとなっても失うものはなかった。取り回しのいい短いボディとなりながら室内空間は大幅に広くなり、デザインも立派になった。 走りは、BMWが最新のFRプラットフォームを使って本気で仕上げればもっといいものが出来るかも知れないし、X3のほうがスポーティさや洗練度で上ではあるが、このクラスのなかではもっとも楽しいのは間違いない。BMWのブランドイメージに期待してチョイスしても裏切られることはないはずだ。 スペック【 xDrive25i xLine 】 |
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