エンジンとトランスミッションの組み合わせを一新2011年にフルモデルチェンジしたシトロエンC4は、2006~2014年の間に世界で45万台を販売したシトロエンのミドルクラスを担うハッチバックだ。このC4が、新しいパワートレーンの搭載など、大がかりな変更を受けた。 試乗会の会場となった横浜のホテルで対面したC4は、雰囲気が“イマ風”になっていた。理由は目元のお化粧で、ヘッドランプにLEDが組み合わされたのだ。同様のお化粧直しがリアのコンビネーションランプにも施されている。こうしたアンチエイジングの努力もあり、発表から4年を経たとはいえ、古臭い感じは抱かない。 今回のマイナーチェンジで一番の変更点は、エンジンとトランスミッションの組み合わせが一新されたことだ。まずエンジンは、従来の1.6L直4ターボから1.2L直3ターボへとダウンサイジング。このエンジンは、2015 年の「インターナショナル・エンジン・オブ・ザ・イヤー」を受賞している(1.0~1.4L部門)。 トランスミッションは、従来の6速EGS(エレクトロニック・ギアボックス・システム)から6速EAT(エフィシェント・オートマチック・トランスミッション)へと変更された。2ペダルMTからトルクコンバータ式のATに移行したことになる。 燃費向上に特化した無味乾燥なエンジンではないこの新しいパワートレーンはどんな走りをもたらすのか。早速、路上に出てみた。駐車場内でのタイヤのひと転がり、ふた転がりは、排気量が1.2Lしかないとは思えないほど軽い。230Nmの最大トルクを1750rpmから発生しているというスペック通り、低回転域でのトルク不足を感じることはなかった。 そこからエンジン回転と速度を上げて感じることはふたつ。まず、エンジン回転数が低い領域でもレスポンスがいい。アクセルの踏み加減の微妙な変化にもしっかりとついてくるから、運転していて気分がいい。 もうひとつ、ストレスなくスムーズに吹け上がるフィーリングにも好感を持った。スポーツカーのエンジンのように回せば回すほどパワーが出るというわけではないけれど、決して燃費だけに特化した無味乾燥なエンジンではない。とはいえ燃費もよくなっていて、JC08モード燃費は16.3km/Lと、従来の1.6Lターボより約20%も向上している。 スムーズに、シームレスに変速する新トランスミッション一般道を走り、高速道路を走り、次第にシトロエンC4が体になじんでくる。そこで頭に浮かぶ単語は、「スムーズ」「しなやか」「なめらか」「ソフト」「やわらか」というものだった。 そうした言葉が浮かぶ理由に、まずシームレスに変速する新しいトランスミッションの存在がある。早め早めのタイミングでシフトアップする設定になっているけれど、変速のショックはほとんど感じられない。信号待ちからの発進加速では、「ス・ス・ス」という感じでシフトアップする。アクセルを踏み込んでキックダウンでギアを落とすような場面でも、ドライバーにショックを伝えないようにうまく躾けられている。 乗り心地と操縦性のバランスに好印象ドライブフィールがしなやかに感じられる理由には、足まわりの出来のよさもある。走り出した瞬間には、ちょっとふんわりしているかと思う。けれどもコーナーを曲がったり、高速道路の凸凹を越えたりすると、“芯”がしっかりしていることがわかる。 ロールは安定しており、突起を越えた時の揺れも一発で収束する。あたりがやわらかいから路面からの衝撃は緩和してくれる一方で、大事なところでは踏ん張る。乗り心地と操縦性がいい落としどころを見つけている。 足まわりがいいといっても、パッキンパッキンと曲がってカーッと体が熱くなる、というタイプのコーナリングマシンではない。けれども、スムーズに外輪を沈ませて軽いロールとともにさり気なくコーナーを脱出する、玄人好みのコーナリングフォームを見せてくれる。 ちなみに、エンジンのダウンサイジングなどによって、車重は従来モデルより約30kg軽くなっているという。鼻先が軽くなっていることも、軽快な身のこなしにつながっているのだろう。 装備が充実した「Upgrade Package」がおすすめシトロエンC4のモデル構成は、標準モデルの「Seduction」と、装備が充実している「Seduction Upgrade Package」の2つのバリエーション。 「Upgrade Package」は、標準の16インチホイールに換えて17インチホイールが装着されるほか、斜め後方の死角にいる車両を知らせるブラインドスポットモニターシステム、ガラスルーフ、周囲の障害物を検知・警告するフロントソナーなどが備わる。 標準仕様が276万円で、充実装備仕様が296万円。装備の内容を考えると、この価格差なら「Upgrade Package」を選びたくなる。 ハマる人はずっぽりとハマってしまうボディサイズも価格帯も、シトロエンC4はフォルクスワーゲン・ゴルフやメルセデス・ベンツAクラスとガチンコ勝負となる。これらのモデルが属するいわゆるCセグメントは、輸入車の販売台数の38%を占める最大の市場。ということは、最激戦区である。 ここで、ぶつからない安全装備もなければハイブリッドシステムもないシトロエンC4の強みは何か。それは他の何者にも似ていないデザインと、ツルンと滑らかなドライブフィールだ。 わかりやすい特長に欠けるから、正直なところ、だれにでもお薦めできるというわけではない。でもクルマや運転が好きな方なら、一度試してみる価値はあるはずだ。日本車ともドイツ車とも違う、独特のテイストは、乗れば絶対にわかる。そして、ハマる人はずっぽりとハマってしまうはずだ。 スペック【 Seduction Upgrade Package 】 |
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