好調に輪をかける同時フェイスリフトメルセデスもますます成功のコツを掴んできた! ってことかもしれませんな。そう、今回の「Gクラス」&「Aクラス」の同時フェイスリフトだ。フランクフルトショーの前後にドイツで乗ったのだが、両者とも力の入れ方が予想以上なのだ。 まず「G」はバンパー回りのデザイン変更だけでなく、エンジン全ラインナップのパワーアップとなにより新V8エンジンの追加。それも「メルセデスAMG GT専用か」と勝手に思ってた4リッターV8ツインターボの初搭載だ。 一方「A」はややジミ目だが中身は濃くて、日本導入モデルは2リッターの「A250スポーツ」が7psアップして218psになったのと、「AMG A45」が21psアップして381psになったのと、あとはアダプティブサスペンションの電子化と適用拡大で、味の改良レベルが凄い。 両者ともに的確に問題点を狙い打ちした部分があって、これでブランド全体の勢いはますます増すはずだ。 「G」を頂点とする新世代SUVラインナップが完成へというのもメルセデスだが、伝統のセダン&クーペ&ワゴンは相変わらず強く、近年BMWやアウディに台数で負けていた理由の1つはコンパクト&SUVだった。で、コンパクトはご存じ新世代の「A」&「B」&「CLA」&「GLA」の登場でイッキに盛り返しつつあり、残るはSUV。 例えば今、BMWグループ全体のSUV比率は日本で2割程度だが、グローバルでは約3割。比べるとメルセデスはグローバルで2割強で、それはかつての「ML」や「GLK」が高額な価格帯もあってイマイチ効力を発揮しなかったからだ。 しかしここに来てメルセデスは「G」を頂点として「GL」「GLE」「GLEクーペ」「GLC」、「GLA」と続くフルラインナップを完成させつつある。商品はどれも強力で世界的ヒットも間近。ってなわけでここで頂点たるGを着実にブラッシュアップ&延命させようという作戦なのだ。 開発トップが「No end」と明言「Gクラスは“No end”です」 この言葉を聞けただけでドイツに来た甲斐があったとオザワは思う。そう、Gクラス開発ヘッドのDr.Gunnar Guthenke氏だ。36年前の1979年に民間に登場したGクラスだが、どんな商品力アップよりも「作り続けること」が大切。生きてるだけで丸儲けのような存在だからだ。 実際ライバルたちだが、1970年登場の初代レンジローバーは既にモダンになり、1984年登場のランクル70は去年復活したが今年また消え、残るランドローバー・ディフェンダーも今年生産中止となった。もはや昔ながらの無骨SUVは、安全や環境を理由に消滅しつつあり、逆に言うと生き残ってるだけで凄い! この生き残りメリットは実際に物凄く、Gクラスの販売は世界的に伸びている。特にセレブ需要なのか日本は素晴らしく、2013年に800台レベルだったのが、クリーンディーゼルが追加された2014年は1600台となり、北米に次ぐ世界2位。今年はさらに拡大中で1~8月だけで1464台と、前年比プラス70%だ。 イメージを変えずに中身をブラッシュアップ果たしてなぜGクラスだけがなぜ生き残れるのかDr.Guthenke氏に確かめて驚いたのは、中身に手を入れた根本的ブラッシュアップ。エコ用の新パワートレイン搭載以外にもラダーフレームの一部や形状まで最適化しているそうで、一部の二重構造フロアには最新の高張力鋼板まで使っている。 中でも大変なのは歩行者保護対策で「外見のイメージを変えないように」バンパー形状を変更する他、ボンネットにしろカタチを変えずにソフトマテリアルにしている。 まずは乗り込むなり「ニヤリ」だ。というのも今じゃGクラスでしか味わえない「カチャ」という金庫のようなドア開閉音と走り出すなり響く「ガチャ!」という自動ロック音。コレコレ、この戦車っぽさがたまらないのよ。インテリアも7インチの大型ナビモニターに加え、マテリアルのクオリティがますます向上。“セレブ性能”が高まっている。 迫力のV8サウンドは健在!後は肝心の走りだ。まず乗ったのは既存の5.5リッターV8から4リッターV8ツインターボに載せ替えたガソリンの「G550」。排気量は減ったがターボ化でパワー&トルクが35ps&80Nmアップして422ps&610Nmになっている。 サウンドはてっきり大人しめになったかと思いきや、スタートするなり「ブロロロロォ」と相当な音圧。正直、かつてのAMGモデル並みだ。パワーはもちろん十分。2トン以上あるボディをグイグイ引っ張っていく。 乗り心地はかなり上質にただ、それ以上に感心したのが乗り心地。フレームボディ特有のプルプル響く振動やSUVならではのバタツキは多少残るが、乗り心地はかなり上質に。ヌメッとしたフィーリングのボール&ナット式ステアリングもしっかり感が微妙に増した。 ただし、その次に乗った新型「メルセデスAMG G63」がよりイイからイヤになる。エンジンは5.5リッターV8ツインターボのままだがパワー&トルクは571ps&760Nmに強化され、巨人の手で押されるような厚い加速に磨きがかかったのと、滑らかさと上質感はG550以上。まさに最新の「G」は戦車のような無骨さとサルーンに似た上質さを同時に手に入れちゃったのよ。 「A」のアダプティブサスペンションを電子化かたやフランクフルトショー後に乗ったフェイスリフト版Aクラスだが、これまた侮れない。実は前回のマイナーチェンジ時から、GLA導入ぐらいで入ったコンフォートサスやノーマルタイヤが日本仕様にも適用され、乗り心地が劇的に良くなっていたが、それが今回さらに改善された。 最大のポイントは今回から電子制御化された新型アダプティブサスペンションで、根本的には「コンフォート」と「スポーツ」の2段階切り替えで、AMGの場合「コンフォート」「スポーツ」「スポーツプラス」「インディビジュアル」の4つプラスオプションの「レース」を含む5段階の走行モードダイヤルか、インパネスイッチで切り替えられるが、これがかな~り出来が良い。 ロングドライブも快適にこなせる特に同じ2リッターターボでも21psアップした「メルセデスAMG A45」は凄く、今まで正直堅すぎて長距離はツラかった乗り心地が、「コンフォート」にするとピタッとソフト&フラットに。もちろん大きな凸凹を越えるとそれなりの振動だが、これなら毎日長距離走っても全然快適でしょ! ってレベル。逆に「スポーツ」にすると結構硬くて厳しいレベルなのだが。 それとA45はピークパワーの速さ以上に下からのトルクがかなり太った。今までは正直、ホントに360ps出てんの? ってパワー感だったが新型は相当下からグイグイ。ついでにステアリングフィールも相当にキレ味爽快だ。 A250スポーツは“プチA45”レベル一方、良くなった「A250スポーツ」も侮れない。厳密にA45と比べるとエンジンのトルク感、ステアリングのキレともに落ちるが、今回7psアップした以上にコチラもパワフル感が増してて、同時にアダプティブダンパーが付くから加速、ハンドリングともに“プチA45”的な総合力に。値段的には700万円弱のA45に対し、A250スポーツは500万円弱だから性能を考えるとコチラの方がオトクかもしれない。 それと今回なぜかサーキット走行もあって、それはA45のフロントにオプションで新たに機械式LSDが入ったから。それが「レース」モードで作動するわけだけどまあホント、トルク抜けを気にせずより安心してぶっ飛ばせますよ。ってなわけで抜け目なくクオリティアップしてきたG&Aクラス。ますますメルセデスの波状攻撃には油断ならないのであ~る。 スペック【 G500 】 【 A250スポーツ 】 |
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