■レーシングドライバーの変速技術をすべての人へ「これはクルマのゲームチェンジャー」。 この言葉はモリゾウ選手ことトヨタの豊田章男会長が、純トヨタ製のスポーツカー「GRヤリスDATコンセプト」をテストドライブした際に発したもの。 「GRヤリスDATコンセプト」の車名に冠された「GR-DAT(ガズーレーシング ダイレクト オートマチック トランスミッション)」は、レーシング環境での高い走行性能と、MTのようなスポーツフィールをより多くのドライバーが楽しむことを目指した次世代オートマチックトランスミッションです。 モリゾウ選手の言葉には、AT限定免許やMTの運転が苦手なドライバーでも、スポーツ走行の楽しさを味わえるようになることから、「スポーツカーのあり方を変える可能性を秘めている」という期待が込められており、同時に「こんな面白いオートマは初めて」とも語っていたとか。 「コースによってはMTより速いAT」とも評される「GR-DAT」は2024年、市販スポーツモデルである「GRヤリス」や「GRカローラ」に搭載され、変速スピードの速さやダイレクトなタッチが多くのドライバーを魅了しています。 従来のATはエンジン回転数や速度など、クルマの挙動の変化を感知して変速していました。それに対し「GR-DAT」は、ブレーキやアクセルペダルに対する操作など多岐にわたる運転情報を細かく分析し、車両の挙動に変化が起こる前に変速制御を開始するのが特徴。 つまり「GR-DAT」は、ドライバーの意図やコース状況をリニアにとらえるだけでなく、“先読み”して最適なギアを選択することでプロドライバーのマニュアル操作に肉薄。1.6リットルの直列3気筒ダウンサイジングターボ&4輪駆動という、スポーツカー・GRヤリスの真髄を楽しみつくすためのセッティングがなされています。 >>全国のサーキット・走行会・イベント情報がまとまった「みんカラサーキット」はこちら■耐久レースで鍛え抜かれる精度と信頼性「GR-DAT」は、「モータースポーツを起点としたもっといいクルマづくり」を哲学に持つトヨタらしく、スポーツ走行用に最適化された制御用ソフト開発のため、耐久レースの厳しい現場で鍛えられてきました。 2022年に入門者向けラリーシリーズの「TGRラリーチャレンジ」でデビュー。翌2023年からは、プロのラリードライバーによる全日本ラリー選手権に参戦しています。 その後開発の場は耐久レースの場にも広がり、2025年6月に行われた、「スーパー耐久富士24時間(S耐富士24時間)」と「ニュルブルクリンク24時間(ニュル24時間)」へ出走を果たします。 S耐富士24時間には「GR Team SPIRIT」から「GRヤリスDAT レーシングコンセプト」が出走。24時間のレース中には激しい雷雨にみまわれた時間帯もあったものの、485周回を重ね総合32位という好成績でレースを終えました。 担当ドライバーの一人である山下健太選手は、レースの合間にライブ配信にゲスト出演し、「何もしないでも適切なタイミングでシフトしてくれるので、サーキット走行が初めてのドライバーにも好評。ただ、コンマ数秒を狙うシビアな情況では、まだ自分の操作の方が早い場面もあり、更に早くなる可能性も感じている」と語り、完成度の高さとさらなる進化へのフィードバックを予感させるコメントを残しています。 >>全国のサーキット・走行会・イベント情報がまとまった「みんカラサーキット」はこちら■“新車開発の聖地”ニュルでクラス優勝の快挙そして、「GRヤリスDAT レーシングコンセプト」がさらなる結果を出したレースが、2025年6月にドイツのニュルブルクリンクサーキットで行われた「ニュルブルクリンク24時間」耐久レースです。 「ニュル24時間」と呼ばれるレースにトヨタは「TOYOTA GAZOO ROOKIE Racing(TG-RR)」として挑戦しました。 ドイツ西部アイフェル地方に位置するニュルブルクリンクは、5.1kmのグランプリコースと、20.8kmのノルドシュライフェ(北コース)からなる約25kmの巨大サーキット。300mという高低差や、狭く見通しの悪いコーナーが続く過酷さから“緑の地獄”とも呼ばれ、“新車開発の聖地”としても知られています。 ニュルでトヨタは、基本的に市販車と同じパワートレインを搭載し、最小排気量のターボ車のカテゴリである「SP2T」クラスに参戦。 豊田章男会長にとってニュルブルクリンクは、トヨタの評価ドライバーであり運転の師匠でもあった成瀬弘氏とともに、2007年のニュル24時間に初参戦した原点。そして、「道がクルマを鍛える」「もっといいクルマづくり」を標榜し、モリゾウと名乗るきっかけとなった特別な場所でもあります。 2025年のニュル24時間でモリゾウ選手は、「GRヤリスDATコンセプト」で果敢に攻めるだけでなく、1回目の担当である3周を走り終えたあとも追加で2周走行。さらに「ワガママいってすみませんがもう1周行かせてください」と6周を走りました。 ピットイン後にモリゾウ選手はオウンドメディアの生中継ブースにゲスト出演し、疲れた様子もなく、「GRヤリスは本当にいいクルマです」と、営業マンのような爽やかな笑顔で語ったことも話題となりました。 モリゾウ選手は2回目の出番でも9周を走りきり、終わってみれば15周回を達成。「GRヤリスDATコンセプト」は合計115周回でクラス優勝(総合54位)を成し遂げました。 「過酷な道や本物の走行環境で走らせることで鍛えられ、初めていいクルマとして完成する」という、豊田章男会長の哲学を色濃く反映したGRヤリスと「GR-DAT」。レースの現場からのフィードバックで進化を続け、魅力的なスポーツ走行の世界を多くのドライバーに体験させてくれそうです。 (終わり) >>全国のサーキット・走行会・イベント情報がまとまった「みんカラサーキット」はこちら |
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