【簡易的？】存在感を増す“マイルドハイブリッド”の凄いメリットとは？ “ハイブリッド”との違い・注目モデルも解説 ...

存在感を増す「マイルドハイブリッド」

近年の新車市場を語るうえで外せないキーワードが「電動化」だ。

BEV（電気自動車）やPHEV（プラグインハイブリッド車）だけでなく、ハイブリッド車（HEV）やマイルドハイブリッド車（MHEV）も広く普及し、カタログのパワートレイン欄にはさまざまな略称が並ぶ。

中でも、最近じわじわと存在感を増しているのがMHEV、つまり「マイルドハイブリッド車」である。一見すると通常のハイブリッド車と似た存在だが、実は仕組みも走りの性格も大きく異なる。

そこで今回は、MHEVの特徴とHEVとの違い、そしておすすめモデルを紹介する。

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MHEVとHEVの「仕組み」と「走りの違い」とは？

まず、MHEVとHEVの決定的な違いは「モーターの役割」と「電池容量」にある。

通常のハイブリッド車（HEV）は、駆動用モーターと大容量のバッテリーを搭載し、基本的にはモーターだけで車を走らせることができる。

代表例がトヨタ「プリウス」やホンダ「フィットe:HEV」だ。信号待ちからの発進や低速走行ではエンジンを使わず、モーターのみで走れるため、静粛性や燃費性能が非常に高い。また減速時には回生ブレーキで効率的に電力を回収して蓄電。蓄えた電力はモーターの駆動用に利用する。

一方、MHEVは名前の通り「マイルド≒簡単な」電動化にとどめている点が特徴だ。搭載するモーターはエンジンを補助する役割にとどまり、単独で車を走らせることはほとんどできない。

多くは「ISG（インテグレーテッド・スターター・ジェネレーター）」や「BSG（ベルト駆動式スターター・ジェネレーター）」と呼ばれる小型モーターを採用し、12Vまたは48Vの電源で動作する。

このモーターの役割は主に4つで、発進時のエンジンアシスト、加速時のトルク補助、そして滑走・減速時のエンジン停止による燃費改善、アイドリングストップ状態でのエンジン再始動に分けられる。

つまりHEVが「モーターとエンジンで走る二刀流」なら、MHEVは「エンジンを主役に、モーターがサポートする控えめな相棒」といえる。

「燃費性能」や「走行フィール」にも違いがある

仕組みの違いは、走行フィールにもはっきり現れる。

HEVはモーター走行を活かした滑らかさと静かさが魅力で、市街地でのストップ＆ゴーが非常に快適だ。とくに渋滞や信号の多い都市部では、エンジンがほとんどかからない時間帯もあり、ガソリン消費を大幅に抑えられる。

対してMHEVは、あくまでエンジン主体の走りだ。

発進時や加速時にモーターが瞬間的にトルクを足すことで、自然な加速感とレスポンスの良さを実現する。アイドリングストップの再始動もモーターが担うため、振動が少なく、エンジンのかかりが早い。

また、HEVほど大容量のバッテリーを積まない分、車両重量が軽く、走行時の軽快感も出やすい。

燃費面では、HEVほどの劇的な数値向上は望みにくいが、それでもガソリン車比で5〜15％程度の改善が見込める。特に高速道路主体の走行や長距離移動では、エンジン主体のMHEVの方が効率を保ちやすいケースもある。

MHEVはHEVよりもシステムが簡素で部品点数も少ないため、製造コストが低く、車両価格も比較的抑えられる傾向にある。またバッテリー容量が小さい分、交換コストや重量増による性能への影響も小さい。つまり、電動化のメリットをある程度享受しつつ、購入費用や維持費を抑えたい層にとってはバランスのいい選択肢となる。

MHEVは構造がシンプルなため、長期的な信頼性や整備性にも優れる。HEVではバッテリーや高電圧系統の修理が高額になるケースがあるが、MHEVではそのリスクが低い。

「運転の楽しさ」や「コスト」重視なら有力な選択肢に

現在、日本市場でもさまざまなMHEVが販売されているが、とくに注目したいモデルをいくつか挙げる。

まずスズキの軽自動車・小型車群だ。

スズキは早くからMHEVを実用化しており、「スイフト」「ソリオ」「スペーシア」など多くのモデルに「マイルドハイブリッド」を採用している。発進や加速の滑らかさに加え、軽量コンパクトな車体との相性も抜群で、街乗りでも恩恵を実感しやすい。

次に、マツダの「MAZDA3」や「CX-30」に搭載される「Mハイブリッド」だ。こちらは24VシステムのMHEVで、加速時のモーターアシストや減速時のエネルギー回収に加え、スムーズなアイドリングストップを実現している。ガソリンエンジンらしいフィーリングを損なわず、ほんのり電動化の恩恵を得られる点が魅力だ。

さらに輸入車勢では、メルセデス・ベンツやアウディ、BMWなどドイツプレミアムブランドが48VのMHEVを多数展開している。とくに48Vシステムはモーターのアシスト量が大きく、加速時の力強さや滑らかさが際立つ。大型SUVや高出力モデルでも燃費改善に寄与しており、快適性と経済性の両立を目指すユーザーに好まれる。

MHEVは、「フルハイブリッドほどの電動化は求めないが、燃費や快適性は向上させたい」というユーザーに適している。高速走行や郊外移動が多い人、走りの軽快さを重視する人、あるいは価格やメンテナンスコストを抑えたい人にはぴったりだ。

一方、低速域でのEV走行や極限までの燃費性能を求めるなら、やはりHEVが有利になる。

マイルドハイブリッド車（MHEV）は、ハイブリッドの名を冠しながらも、あくまでエンジン主体の走りをベースにモーターがサポートする技術だ。HEVと比べて構造が簡潔で価格も抑えられ、メンテナンス面でも安心感がある。

選択肢も国産・輸入車問わず増えており、自分の走行スタイルや予算に応じて選べる時代になった。電動化の波に乗りつつも、運転の楽しさやコストバランスを重視するなら、MHEVは有力な選択肢になるだろう。

（終わり）

（写真：トヨタ、スズキ、ホンダ、マツダ）