アウディ最小のダウンサイジングターボを搭載どんなに小さなボディでも、走り出せば広がるアウディの世界。これまで、その一貫性にはいつも驚かされてきたものだけど、ついに登場したアウディ史上初の1.0リッター3気筒・直噴ターボエンジン(TFSI)を、いったいどう料理してきたのか。 最高出力95ps/最大トルク160Nmながら、アウディ史上最高の燃費・22.9km/L(JC08モード)をマークしていると聞くと、これまでのようなトンガリ系ではなく、もしかして初めての癒し系!? 肉食からついに草食に!? なんて妄想が駆け巡る。 とはいえ、A1は2011年の日本導入以来、累計で1万7000台以上も販売されている好調モデル。オシャレ感度の高い人たちをはじめ、ヤングファミリーにも人気というから、まさにアウディの世界に足を踏み入れてもらう大事なエントリーモデルだ。そうそうガラリと世界観を変えたりはしないのではとも思える。 よりアグレッシブで洗練されたイメージへ今回のマイナーチェンジでは、3気筒エンジンの投入が大きなトピックではあるものの、フロント周辺を刷新したデザイン変更も見どころのひとつ。バンパーやシングルフレームグリルがワイド感のある形状となり、昨年登場した高性能モデル、S1のデザインに準じるアグレッシブで洗練されたイメージになっている。 また、LEDポジショニングランプ内蔵のバイキセノンヘッドライトが新たにオプション設定され、これまでのようにA1にルーフアーチ、A1スポーツバックにルーフドームのコントラストカラーも用意されるなど、デザインへの強いこだわりは健在だ。 さらに、アウディ初の1.0リッターTFSI日本導入を記念するモデル、「1st edition」が345台限定で登場。通常は設定されないS lineエクステリア、ドアシルトリムなどの特別装備によって、アスリート系のクールな佇まいに仕上げられている。 力強く軽やかなフィーリングなかなかにシブいカラーのA1スポーツバック(ナノグレーM)で、いざ箱根のワインディングに1.0リッターTFSIを解き放って……といきたいところが、梅雨真っ只中につき濃霧に阻まれ、急遽向かったのは新東名高速道路。カッチリとしたシートに座り、少し丸みを帯びたボンネットを視界の下辺に捉えると、インテリアにもアルミやハイグロスブラックの装飾が追加されて、より艶やかになった印象を受ける。そっと右足を踏み込むと、力強いけれど軽やかなフィーリングが続いていく。 7速Sトロニックは何のコツもいらず、こちらのペダル操作から忠実に意図を汲み取ってくれるようで、タイトなカーブのIC入口でも、合流の加速でも直線のクルージングでも、なんて心地いいのかと惚れ惚れする働きぶり。1人乗車とはいえ、高速域からの加速でもスカスカ感を感じることはないし、15インチタイヤながらガッシリとした剛性感がしっかりあり、雨の高速道路でもまったく不安になる場面はなかった。コンパクトクラスらしからぬ走りの質感は、まぎれもなくアウディだ。 重たい上着を脱いで身軽になったみたいひとしきり高速走行を味わったあと、今度は市街地をクルクルと走ってみる。しばらくすると、これまでよりも肩の力を抜いてリラックスして走っている自分に気づく。手はステアリングに添えている程度でラクに曲がれるし、一時停止から発進までの操作も軽々。なんだか、重たい上着を脱いで身軽になったみたいに、市街地を走るのが軽やかだ。 今回、A1全車に電動機械式パワーステアリングが採用され、車速に合わせてパワーアシストを制御することや、車重が80kgほど軽くなったこと、そしてもちろんエンジン自体が軽量コンパクトになっていることなどが、このリラックス感につながっているはずだ。 プレミアムコンパクトの新しい味鋭い加速や俊敏なハンドリング、そして重厚な乗り味。それがどのシーンでも一貫していることが、プレミアムコンパクトの魅力だと決めつけていたのが、なんだか古典的に思えてくる。力を抜いていいところでは、適度にリラックスさせてくれるのが新しいA1だ。 アイドリングストップの作動もかなり自然で、市街地での扱いやすさと同時にエコ性能も実感できるだけに、これはさらに女性ファンが増えそうな予感。新設されたグレード「1.0TFSI Sport」では、スポーツサスペンションやランバーサポート付スポーツシートなどが標準となるので、こちらは男性ファンから指名が多そうだ。 ほかに1.4リッター4気筒・直噴ターボ(TFSI)のシリンダーオンデマンドが用意されて、A1は全3グレード。これに高性能モデルのS1が加わるが、そちらは6速MTモデルしかないにもかかわらず、2015年だけですでに400台近くが販売されている売れっ子となっている。 美意識とフレンドリーさとさて、A1と同時に改良を受けたのがQ3/RS Q3。コンパクトながらクーペのようなルーフラインをもち、目を惹くエクステリアはさらに磨かれ、Q3として初めてLEDライティングテクノロジーが採用された。 とくに注目したいのは、流れるように光るダイナミックターンインジケーターを内蔵する、リアLEDコンビネーションライト。日本のデコトラのそれとはかなり印象のちがう、前衛的なものとなっている。 またパワートレーンでは、Q3搭載の2.0リッターTFSIとRS Q3搭載の2.5リッターTSFIの出力をアップしつつ、それぞれ燃費も向上させている。 こうしてみてくると、A1といいQ3といい、見た目にはこれまで以上にアウディらしい美意識が塗り籠められている。でも中身には、これまでにないくらいのフレンドリーさが注がれている。それは癒し系でも草食系でもなかったけれど、ちょっと新しい世界を感じさせてくれたのだった。 【関連記事】 A1・スペック【 Audi A1 Sportback 1.0 TFSI 】 Q3・スペック【 Audi Q3 2.0 TFSI quattro 180ps 】 |
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