「BRZ tS」に第二弾が登場!ただ、トヨタ86とともに共同開発されたこのクルマを待ち受けている運命は、決してバラ色ではないことは分かる。この1代限りで終わるのか? はたまた継続か? まずはその辺りから思考すべきことなのだろう。 そんな中、STIによるコンプリートカー「BRZ tS」に第二弾が登場した。今回は300台限定で、受注期間は今年の10月12日までという設定だ。 いかにもな大型リアウイングは廃止2013年に登場した初代「BRZ tS」は500台限定だった。そして半数の250台は「GTパッケージ」としてレカロシートやカーボン製リアウイングなどを備え、価格も400万円を優に超えていた。また、大型リアウイングには賛否両論あったようで、500台を売り切らなかったようだ。 そうした経緯もあってか、今回の2代目「BRZ tS」は、大型リアウイングを装備していない。そしてその分、初代から30万円ほど安くなっている。 価格は399万円(6速MT)/407万1000円(6速AT)。ノーマルでもっとも装備が充実した「S」は、292万6800円(6速MT)/300万7800円(6速AT)だから、それぞれ約100万円高いモデルということになる。 ならば、その価格は妥当か? という話になるが、これは当たり前に「妥当以上」となっている。装着されているパーツだけでも価格差を埋めてあまりあるものとなる。 しかも、同じパーツを買ってノーマルに付けたとしても、「tS」にはならない。実際に初代「BRZ tS」とノーマルに同じパーツを付けた車両を走り比べたが、その味は異なるものだった。 狙い目は「サンライズイエロー」か走りに関するこだわりの装備とチューニング、そして特別なモデルならではのディテール。これがノーマルと「tS」との大きな違いとなってくる部分で、項目にすると「33以上」が挙げられる。 エクステリアで大きいのは、フロントバンパーの開口部とリアバンパーのディフューザーとの継ぎ目に、STIのコーポレートカラーである「チェリーレッド」のラインが入ったことだろう。初代では無かった部分だが、これによってSTIのクルマであることを主張しているのだという。 また今回は、ミラーとアンテナをブラックのみとしている点も新しい。そしてフロントフェンダーのグリル内のオーナメントも、以前のサテンシルバーからブラッククロームに改められている。 最大の注目は、専用色サンライズイエローの設定だろう。限定300台からさらに限定100台となるサンライズイエローは、その希少性の高さからあっという間に完売が見込まれる。 ファン待望の「ビル足」を装着一方のインテリアでは、色気のある「レッド」でアクセントを加えたことが新しい。エアコン吹き出し口のリングやドアトリム、さらにレカロ製バケットシートもサイド部にレッドのレザーを与えるなどして、スポーツカーらしい室内を演出した。 メカニズムでは、ボンネット内に鎮座する「STI製フレキシブルVバー」、そしてSTIと言えば! の「ビルシュタイン製ショックアブソーバー」がついに装着され、しかもフロントは倒立式となった。 またブレンボ製ブレーキシステムは、ディスクがドリルド・タイプとなり、さらなる制動力とコントロール性を実現している。 走りの上質感と鋭さをブラッシュアップ実際に走らせてみると、初代との違いはすぐに明らかになる。まず何と言っても室内の静粛性が高い。今回はダッシュボードやトランクトリム、そしてリアのホイールハウス周りに遮音材を追加して静粛性を高めているが、これだけでかなり上質な感覚が生まれている。 また走りに関しても、大きな違いがある。乗り心地の良さは低速では初代も負けていない。しかしながら、細かな振動や高速域ではプルプルとした震えを初代は伝える。今回はそれが払拭されており、心地よさが増している。 さらにステアリングを切ると、初代から受け継いだ切れ味の良さとしっとり感はそのままに、より気持ちよく感じられる感触が増している。この辺りはサスペンションの効果もあるのだろう。以前よりも確実にスポーツ性が高まった。 初代はコーナリング時にちょっとリアが沈みすぎるような感覚があったが、2代目はもっとノーズが入っていくようなバランスを持っている。このため、必然的に切れ味鋭く感じられるのだ。 2代目「BRZ tS」は、初代オーナーからすると羨ましい1台に仕上がっていた。まさにクルマとしての「ネガ」をすべて潰した1台と言い換えることもできる。 再定義したスポーツカーの「今後」を明示してほしいそれにしても、BRZは今後どうなっていくのだろうか? トヨタ86との関係はもちろん、それを含めて何かしらのアナウンスが必要な時に来ていると思う。 スポーツカーが消滅しそうになっていた世の中に、トヨタが思い切ってスバルと共同開発して生みだしたこのスポーツカーは、確かにこの数年、世界を変えるだけのムーブメントを作った。その功績は大きいし、我々は心から感謝すべきだろう。 その一方で、スポーツカーの価値を再定義した2台には、「今後」を表明する責任があると僕は感じている。次期モデルをひた隠しにするのは今時ナンセンスだと思えるし、無いならないでハッキリとすべきだろう。もっとも86にしてもBRZにしても、スポーツカーの新たなムーブメントと歴史を作ろうとしたのだから、継続しないという選択肢はないと思えるが。 「BRZ tS」の受注期間が過ぎた後ほどなくして、東京モーターショーが始まる。できればそれまでに、もしくはその会場で、何らかのアクションがあることを切に願う。 スペック全長×全幅×全高=4260×1775×1310mm |
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