しのぎを削る小型ミニバンの2強「シエンタ」と「フリード」トヨタ「シエンタ」とホンダ「フリード」は、どちらも日本国内で非常に人気の高いコンパクトミニバンで、ファミリー層を中心に支持されている。どちらも2列シート仕様と3列シート仕様を設定しているが、今回は3列シート仕様に絞って、両車の違いや選択のポイントについて比較・考察してみた。 シエンタとフリードは、トヨタの「ノア/ヴォクシー」やホンダの「ステップワゴン」よりもひと回り小さいコンパクトミニバンとして、高い人気を誇っている。 2024年の販売台数ランキングでは、シエンタが11万1090台で3位、フリードが8万5368台で5位に入っており、その人気の高さがわかる。 ちなみにフリードは2024年6月にフルモデルチェンジ、2025年7月に一部改良をしており、直近2025年7月の販売台数を見てみると6572台で、シエンタの同9289台に若干水を開けられたものの、同年1月〜6月の上半期トータルでは4万9094台(4位)と、シエンタの同5万6882台(3位)に肉薄してきている。 付け加えると、シエンタの同上半期前年比が102.20%だったのに対し、フリードは127.80%と、伸び幅はフリードのほうが大きかった。まさに、この両車はライバルとしてしのぎを削っているわけだ。(※シエンタは2022年フルモデルチェンジ、2025年8月に一部改良を実施) 両車に共通する人気の理由は、日本の道路事情にマッチしたコンパクトなボディサイズで、しかも室内は広々としているという点にある。また、スライドドアや多彩なシートアレンジなどの利便性の高さも人気のポイントだ。 では、それぞれの特徴はどこにあるのか? テーマごとにその違いを見ていくことにしよう。 #トヨタ #ホンダ #シエンタ #フリード #コンパクトミニバン 「フリード」には2列目にキャプテンシートの設定もデザインについては、丸みを帯びたカワイらしいフォルムのシエンタに対して、直線的でスクエアなフォルムのフリードと対照的だ。ただ、フリードは流行りのSUVテイストを取り入れた「フリード クロスター」というデザインが若干異なるタイプも設定しており、選択の幅という点ではフリードにアドバンテージがある。 次にシートの仕様について目を向けてみよう。 シエンタは2列シートの5人乗りと3列シートの7人乗りの2タイプを設定。これに対して、フリードは2列シートの5人乗り(クロスターのみ)と3列シートの7人乗り(エアーEXのみ)のほかに、3列シートの2列目をキャプテンシートとした6人乗りを設定する。これはフリードにはあって、シエンタにはない最大のセールスポイントだ。 6人乗りは1列目から3列目までウォークスルーが可能で、雨の日などの室内の移動には便利なうえに、2列目の座り心地がいい。この点はフリードを選ぶ際のポイントとなる。 3列目シートの格納方法については、両車大きな違いがある。シエンタは2列目シートの下に収納するタイプなのに対して、フリードは左右跳ね上げタイプとなる。この状態でのラゲッジルームの広さは、フリードの方が左右に狭くなる分不利で、シエンタにアドバンテージがある。 その他、カタログの主要諸元の数値を比較してみよう。 まず、ボディサイズは、シエンタが全長4260mm×全幅1695mm×全高1695mm、フリードが全長4310mm×全幅1695mm(クロスターは1720mm)×全高1755mmで(いずれも2WD)、わずかだがフリードの方が大きい。 シエンタは全車5ナンバーとなり、フリードは標準ボディのエア系は5ナンバーだが、クロスターのみ3ナンバーとなる。 燃費、最小回転半径、車両重量では「シエンタ」が有利最小回転半径の数値を見てみると、シエンタの5.0mに対して、フリードは5.2m。若干ボディサイズが小さい分、シエンタの方が小回りが効く。 車両重量を「ハイブリッド2WD・7人乗り仕様」の中間グレード同士で比較してみると、「シエンタ G」が1360kg、「フリード エアーEX」が1480kgと、なんと120kgもの違いがある。 これは後ほど触れるハイブリッドシステムの違いによるところが大きいと思われるが、大人2人分に相当する重量差は、シエンタにさまざまな面で有利に働きそうだ。 室内の広さは、シエンタが室内長2545mm×室内幅1530mm×室内高1300mm、フリードが室内長2645mm×室内幅1470mm×室内高1260mm。シエンタは、室内長ではボディの全長が長いフリードに負けるものの、室内幅、室内高ではフリードをしのいでいる。 パワートレーンについて見てみよう。 どちらもガソリンエンジンは1.5Lだが、シエンタは直列3気筒、フリードは直列4気筒という違いがある。最高出力/最大トルクは、シエンタが120ps/145Nm、フリードが118ps/142Nmとほぼ同じ。 燃費(以下すべてWLTCモード)はシエンタが18.3km/L(2WD・G・7人乗り)、フリードが16.3km/Lで、約12%の差がある。これは車両重量がもたらす差と言っていいだろう。 そしてどちらもハイブリッドを設定する。シエンタは1.5L直3エンジンに「THS-Ⅱ(トヨタハイブリッドシステム)」を組み合わせ、フリードは1.5L直4エンジンに「e:HEV(イーエイチイーブイ)」を組み合わせる。 e:HEVはホンダ独自の2モーターハイブリッドシステムで、日常の走行のほとんどをモーターでの走行としており、パワフルかつ静かな走りを実現する点ではフリードに分がある。しかし、燃費面ではシエンタが27.6km/L(G・7人乗り)なのに対して、フリードは25.3km/Lと、シエンタがリードする。 価格は「シエンタ」が圧勝、ガソリン車では50万円以上の差もこうして両車を比較してみると、どちらも一長一短があることがわかっていただけただろう。では、どちらを選べばいいのか? 購入時の大きなポイントになりそうな車両価格について、話をわかりやすくするために2WDの3列シート車で比較してみよう。 ●シエンタ
数字だけ比べてみると一目瞭然、シエンタの方が安い! とくにガソリンモデルの最安グレード同士の比較では、50万6000円もの開きがある。ハイブリッドの最高グレード同士の比較でも24万7500円の開きがあり、シエンタにかなりのアドバンテージがある。 この差をどう判断するか…。グレードによって装備にバラツキがあるため、同じような装備が付いていることを条件に、両車の見積りシミュレーションをしてみた。 グレードはどちらも中間グレードで、シエンタは「ハイブリッドG」、フリードは「e:HEVエアーEX」で、ともに2WDの7人乗りを選択。まず、車両価格の段階で、44万1100円の差がある。 ETC車載器、15インチアルミホイール、ディスプレイオーディオ、ドライブレコーダーといったオプション装備を追加すると、最終的には64万4260円もシエンタが安い!という結果になった。 この価格帯のクルマで、この差はかなり大きい。 この価格差を見る限りはシエンタの圧勝だ。それでも販売台数は前述したとおり、フリードは2025年の上半期トータルでいえば、約7800台差でシエンタに迫っているのである。 スクエアでシンプルなフリードのデザインが好き…とか、2列目がキャプテンシートの6人乗りじゃないとダメ…とか、e:HEVのモーター走行感覚が強い方がいい…など、ユーザーが価格差では量れない価値をフリードに見出している様子がうかがえる。 クルマは価格だけで選ぶわけではなく、内外装の好みや譲れない装備など、ユーザーによって重視する部分は異なるもの。自分はどこに重きを置くのかを再度確認してから選んでほしい。 (終わり) (写真:トヨタ、ホンダ) |
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