一周回って「ヤリス」っていいかも…派手さはないが「フィット」や「ノート」では届かない総合力。特別仕様車も悪くない？ ...

販売台数トップ常連の「ヤリス」が長く選ばれる理由

トヨタ「ヤリス」は2021〜2023年にかけて国産乗用車販売台数で3年連続1位。2024年も16万6162台を記録し第2位と、常にトップクラスの人気を維持しています。

その背景にあるのは、燃費・走り・安全・デザイン・価格といった要素をバランスよく備えた「総合力」です。

燃費性能は依然として魅力で、WLTCモードでガソリン車が19.0〜21.3km/L、ハイブリッドは35.4〜36.0km/L（いずれも2WD）。国交省データでも普通・小型自動車部門でトップに立った実績があります。

ライバルである「フィット」の17.6〜30.2km/Lや、現行「ノート」の28.4km/L（いずれも2WD）と比べても優位と言えるでしょう。

加えて、コンパクトカー初のTNGAプラットフォームを採用した低重心設計や高剛性ボディにより、Bセグメントながら安定した操縦性を実現。

最小回転半径4.8〜5.1mという取り回しの良さも、街中ではありがたいポイントです。

2025年2月の一部改良では、従来オプションだったETC2.0（Z／G／U）、ドアミラーヒーター（全グレード）、ディスプレイオーディオPlus（Z）、ディスプレイオーディオ（X）、スマートエントリー＆プッシュスタート（X、6MT除く）が標準化され、商品力が底上げされました。

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特別仕様車「Z“URBANO”（ウルバーノ）」を新設定

ヤリスは全車にToyota Safety Sense（トヨタセーフティセンス）を搭載。プリクラッシュセーフティやレーントレーシングアシスト、オートマチックハイビームといった基本的な先進安全装備がそろっており、全モデルが「サポカーSワイド」に該当します。

これは高齢ドライバー向け限定免許（サポートカー限定免許）での運転が可能なほか、任意保険で割引を受けられるケースもあるなど、実利的なメリットもあります。

外観はフェンダーを張り出したスポーティなプロポーションと、短い前後オーバーハングが特徴です。

カラー展開も豊富で、ツートーンを含む多彩な組み合わせが選べます。

そして、2025年の改良で新たに設定された特別仕様車「Z“URBANO”（ウルバーノ）」（234万7400～288万7500円）は、ブラック加飾のトヨタエンブレムやアウトサイドドアハンドル、グロスブラック塗装アルミホイールを装備。シンプルながら精悍さを強めた仕立てで、より都会的な雰囲気を演出しています。

専用のフェンダーエンブレムやドアミラーステッカーを組み合わせた販売店オプション「Z“URBANO”セット」も用意され、独自の世界観を楽しめるのもポイントです。

あらためて「ヤリス」は“一周回っていいクルマ”かも？

価格はベースのXで約165万円〜、上級Zでも約213万円〜と（いずれもガソリン車の場合）、近年の新車相場を考えると手に届きやすい設定です。改良で装備の標準化が進んだことで、コストパフォーマンスはむしろ高まった印象です。

ただしデメリットもあります。後席や荷室はフィットや「ソリオ」に比べると余裕が少なく、ファミリーユース中心だと狭さを感じる場面も。

また、ロードノイズやサスペンションの突き上げ感は上級車に比べれば抑えきれておらず、長距離移動では静粛性に物足りなさを覚える人もいるでしょう。

一方で、ハイブリッドは低燃費と静粛性で長距離に適し、ガソリン車は軽快な走りと価格の手軽さが魅力。ハイブリッドとガソリン、どちらを選んでも取り回しの良さや安全性能は共通しており、都市部から郊外まで幅広いシーンを無理なくこなせます。

突出した個性や派手さはないものの、あらためて振り返ると、燃費・安全・価格・走り・デザインのすべてに“過不足がない”。

結果として「やっぱりヤリスって一周回っていいクルマだよね」と思わせる完成度こそ、このモデルがロングセラーであり続ける理由といえるでしょう。

（終わり）

（写真：トヨタ、日産、ホンダ、スズキ）