セダン需要が高いものの近年はSUV人気が拡大近年は、K-POPや韓国ドラマなどで文化が知られることが多くなった韓国だが、自動車に関しては、2022年にヒョンデがEVブランドとして再上陸を果たしたのみで、現地の自動車事情はあまり知られていない。 今回は、現地取材を通じて知った“リアルな韓国自動車事情”をお伝えする。 2025年4月、筆者はソウルモビリティショー2025の取材のために、ソウル近郊にある仁川国際空港に降り立った。 会場までのバスの車窓から見た乗用車は、セダンやSUVが多い。もともと韓国はセダン需要の高い国だそうだが、近年はSUV人気が高まっており、2023年の国内販売データによると、SUVの販売台数はセダンの約1.6倍にまで拡大しているという。 2023年に韓国で最も売れた車は、法人ニーズの高さからヒョンデの「グレンジャー」というセダンだったが、2024年にはその座が覆され、キアのミドルサイズSUV「ソレント」になったという。 国産車は、2大ブランドである「ヒョンデ」と「キア」が主流であり、高級車では韓国ブランドの「ジェネシス」も多い。輸入車ではBMWの人気が高く、街中でもよく見かけた。その一方で、日本車の姿はほとんど見受けられなかった。 >>【画像】今の韓国車をチェックする 【あわせて読みたい記事】 ソウルモビリティショーに日本車出展ゼロ2025年は4月3日~13日に開催された「ソウルモビリティショー」には、韓国車メーカーのうちヒョンデグループ傘下の「ヒョンデ」「キア」「ジェネシス」の3ブランドが、各ブースを構えて出展していた。 海外勢では、現地での人気が高い「BMW」「MINI」「メルセデス・ベンツ」「ポルシェ」などのドイツ車が主役であった。さらに、急速な海外進出を進める中国「BYD」の姿も見られた。 それ以外の海外メーカーでは、英国の「ロータス」と新興メーカーの「イネオス」程度であり、韓国で流通している他のメーカーでも不参加が見られたため、全体としては規模が小さめであった。 驚いたのは、日本車メーカーの出展が一切見られなかったことだ。 その理由は、ある意味シンプルである。現在、正規輸入を行っている日本メーカーは「トヨタ」と「ホンダ」のみであり、そのシェアも限定的である。KAIDA(韓国輸入自動車協会)による2024年の韓国内での輸入車登録台数は26万3288台となっている。 ■韓国2024年 輸入車ランキングトップ10 韓国全体の2024年新車登録台数(乗用車のみ)は143万9773台であり、輸入車の割合は新車全体の18.2%に達する。 一方、日本では2024年の新車登録台数(乗用車のみ)が395万718台で、輸入乗用車登録台数(海外メーカーのみ)は225,518台となり、割合は約5.7%に留まる。つまり、韓国は日本よりも輸入車比率が高い国ということになる。 韓国で人気の高い輸入車トップ3は、1位がテスラのミドルサイズSUV「モデルY」(1万8717台)、2位がBMWのミドルサイズセダン「520」(1万2352台)、3位がメルセデス・ベンツの「E200」(1万520台)となっており、比較的大きな車が好まれる傾向が見て取れる。 一方、韓国国産車のトップ3は、1位がキアのミドルサイズSUV「ソレント」(9万4538台)、2位がキアのラージMPV「カーニバル」(8万2748台)、3位がヒョンデのミドルサイズSUV「サンタフェ」(7万7161台)である。 【あわせて読みたい記事】 輸入車はミドルサイズ以上のモデルが人気日本車については、トヨタとレクサスを合算すれば輸入車全体の4位に浮上するため、健闘していると評価できる。 このことについて、トヨタモーターコリアの担当者によれば、シェアこそ限定的であるが、顧客ファーストのセールスとサービス体制に力を入れてきた成果が評価されつつあるという。 韓国国内にあるトヨタの研修センターでは、ブランド理解に加えて、整備・板金塗装・コーティングまで実践的に訓練できる施設を備えており、販売店では顧客の愛車をトータルでサポートできる体制づくりに取り組んでいる。 このようなサービスの質も認知されつつあり、徐々に存在感を高めている。ただし、アウディと同程度の販売台数であることを踏まえると、世界のトヨタであっても、韓国では依然として少数派であることに変わりはない。 韓国の主要な乗用車メーカーは、ヒョンデ、キア、KGモビリティ、GMコリア(シボレー)、ルノーコリアの5社であり、大衆向け車種はこれらのブランドが市場をほぼ掌握している。 輸入車市場は日本と同様に高級車が中心であり、人気車種はボディサイズが大きめである。 そのため、ホンダは北米向けの「オデッセイ」やSUV「パイロット」など、ミドルサイズ以上のモデルのみを展開している。 トヨタも、「ハイランダー」や「シエナ」といったラージサイズの北米モデルに加え、「プリウス」「アルファード」「カムリ」「クラウン(クロスオーバー)」などのミドルサイズ以上の車種に絞って導入している。 日本車が得意とする小型車で勝負できないことが、韓国市場での苦戦の一因ともいえる。 【あわせて読みたい記事】 政治的にはややこしいが日本車の親和性はある政治的には日韓関係に難しい側面もあるが、取材中に出会った多くの韓国人は親切であり、親日的な人々も少なくなかった。 トヨタやレクサスのシェア推移を見る限り、今後の成長の余地は十分にある。思い出されるのは、昨秋、韓国で開催されたヒョンデNとトヨタGRのコラボイベントである。 韓国の主力ブランドであるヒョンデと組んだことは、トヨタブランドの認知拡大において、大きな意味を持つ出来事であった。 日本車のさらなる飛躍に期待したいところだが、文化的に欧米の大きなクルマが好まれる韓国では、日本車であっても北米向けモデルとの親和性が高い国であるといえる。 そうした中で、ヒョンデが新たに展開し、日本でも発売されている新EV「インスター(韓国名:ウィスパー)」と、本国で発売されているそのエンジン仕様「キャスパー」が小型車が少ない韓国市場で受け入れられるかどうかも、今後の動向を占う一つの指標になるだろう。 (終わり) (写真:ヒョンデ、キア、メルセデスベンツ、ミニ、トヨタ、レクサス) 【あわせて読みたい記事】 |
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