1~2年はかかるが国内導入される可能性は高そう最新の日産「パトロール」を短時間ながら試乗する機会を得た。 パトロールは、1951年に発売された本格オフローダーで、連綿とモデルチェンジを繰り返し、昨年末に登場した最新モデルで8代目となる。日本では初代から5代目(~2007年)までが販売された(3~5代目は日本名「サファリ」)。 昨今のトヨタ「ランドクルーザー」シリーズの販売好調を受けて、日産もパトロール国内販売復活を検討しており、今回のようにメディアに取材の機会を与え、市場のニーズを観測しているようだ。 日本導入の可能性は高いが、現時点では正式決定したわけではない。仮に導入が決定したとしても、日本仕様を成立させるのに1~2年は必要という。もちろん、日産がそれまで自主独立していればの話である。 次のページ>>> >>【画像50枚】国内導入検討中の日産パトロールの内外装をじっくりチェックする 【あわせて読みたい】 巨体の取り回しは大型ディスプレイでサポート日本市場で販売されなくなってからのパトロールは、海外市場の求めに応じてサイズアップし、現行型は全長5350mm、全幅2030mm、全高1955mm、ホイールベース3075mmにまで成長した。 ランドクルーザー300よりも365mm長く、50mm幅広い。日本で売られる乗用車の中で最大級のキャデラック「エスカレード」に迫ろうというサイズだ。 今回は広大なテストコースでの試乗だったため、取り回しに困ったわけではないが、これで三軒茶屋の裏路地を行けと言われたら泣く。 ただし、車両の周囲を映すカメラが充実しており、映像を横並びの14インチのディスプレイ2枚(1枚は地図などを表示するメインディスプレイ、もう一枚は普段メーターとして使うステアリングホイール奥のディスプレイ)にワイドに表示することができるので、思いのほか車両周辺の確認はしやすい。 巨大さは取り回しの面では不利だが、半面、室内は広大だ。運転席と助手席の間隔は広く、センターコンソールの幅がとてつもなくワイド。2列目、3列目も乗り降りはともかく、座ってしまえば広々としている。2列目シートの膝前スペースはホイールベース2850mmのランドクルーザー300に対し、明らかに広い。 次のページ>>> >>【画像50枚】国内導入検討中の日産パトロールの内外装をじっくりチェックする 【あわせて読みたい】 重く頑健なラダーフレーム構造ながら快適な乗り心地試乗コースは、経営再建のために閉鎖の可能性が報じられた、神奈川県横須賀市の日産追浜工場に隣接するテストコース「グランドライブ」だ。直線と低中速コーナーで構成される周回コースを走らせた。 ストレートでひと踏みすると、パトロールは「ゴーッ」というサウンドともノイズともつかない、とにかく迫力ある音を立てて力強く加速する。背中がシートに押し付けられる。これが3.5L V6ガソリンツインターボエンジン(最高出力425ps、最大トルク700Nm)のパワーか。 体感的なパワーは同じ3.5L V6ガソリンツインターボエンジン(最高出力415ps、最大トルク650Nm)を搭載する「ランドクルーザー300」よりも上だ。高回転までスムーズに吹け上がるのが気持ちいい。 電動車ばかり試乗しているせいか、純粋なハイパワーエンジンに乗ると、罪悪感と爽快感の板挟みになるが、ともあれ短時間の試乗を楽しんだ。 パトロールは湾岸諸国や北米、豪州といった“マジの悪路”があふれる市場で人気のクルマなので、燃費向上が求められる世の中にあっても、重いが頑健なラダーフレーム構造を採用する。 一般論として、同構造は多くのSUVが採用するモノコック構造に比べ乗り心地の面で不利だが、パトロールは電子制御ダンパーのおかげか舗装路でもまずまず快適な乗り心地が確保されている。 そりゃモノコック+エアサスの海外の高級SUV、すなわちメルセデス・ベンツ「GLS」、BMW「X7」、ランドローバー「レンジローバー」あたりがもたらす極上の乗り心地というわけにはいかないが、ラダーフレーム構造を採用するクルマのなかでは、メルセデス・ベンツ「Gクラス」、ランドクルーザー300と同等かそれ以上の快適さだとを感じた。舗装が大きく荒れた区間ではバタつくこともあったが、総合的には良好な乗り心地と言える。 次のページ>>> >>【画像50枚】国内導入検討中の日産パトロールの内外装をじっくりチェックする 【あわせて読みたい】 信頼回復には時間がかかるが復活しないよりはいい海外での価格を換算すると、多くのグレードが1000万円弱で販売されているようで、日本導入を果たしたとしてもその辺りの値付けになるのではないだろうか。 となると、国内でのライバルは筆頭がランドクルーザー300。海外勢だとメルセデス・ベンツ「GLE」、BMW「X5」、それにランドローバー「ディフェンダー」あたりか。 ただし、こうした実用上必要なサイズや悪路走破性を超えた、情緒的に選ばれるモデルの場合、過去の実績がものをいう。ランドクルーザーが売れているのは、歴代が築き上げてきた信頼性あってこそ。 信頼性というのは、単に壊れないということだけでなく、常に売っている、買いたい時に買えるということも含まれていると思う。現行は人気がありすぎて買いたい時に買えるとは言いがたいが……。 パトロールもかつてはランドクルーザーと変わらぬ信頼性や走破性能を備え、人気があった。今でも中東諸国をはじめランドクルーザーを凌ぐほどの人気を誇る市場もある。 だが日本では18年もの空白によって、かつての顧客やファンはとっくに離れている。買いたがっていた人や買い続けてきた人を自ら手放してしまった。 現行型が日本に導入されてもこれからブランド構築のやり直しだ。時間はかかるだろう。でもやめたままよりはいい。あとこのガソリン価格だと、ディーゼルがないのはちと辛いだろう。 <おわり> >>【画像50枚】国内導入検討中の日産パトロールの内外装をじっくりチェックする 【あわせて読みたい】 |
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