「エクストレイル」が売れていない日産のミドルサイズSUV「エクストレイル」は、2022年7月にフルモデルチェンジを果たし、9年ぶりに新型として登場しました。 新開発の1.5L可変圧縮比ターボ+e-POWERハイブリッドを搭載し、前後モーター駆動の電動4WD「e-4ORCE」により高い走破性を実現しました。 >>エクストレイル現行型や北米で発売済みの後期モデルの内外装を見る この革新的なパワーユニットと駆動システムへの評価は非常に高く、btyのユーザーレビューを見ても、「静かでスムーズで速い」「エンジン音がほとんどしないことに感動」「雪道のe-4ORCEは最強」「排気量のイメージからは想像できない力強い走りに驚いた」等々、大多数が好意的な評価となっています。逆に数少ないパワートレーンへの不満としてエンジンに切り替わる時の振動が意外に大きい、というコメントもありました。 こうした実力の高さもあって発売直後は好調なスタートを切り、発売約2週間で1万2213台の受注を記録。月間販売目標の3倍に達する勢いを見せました。 しかし、その後の販売推移を見ると、2025年2月の販売台数は2171台と、前年同月比で48.6%減少。発売当初の勢いからは販売台数が大きく鈍化していることがわかります。 そこにはどのような理由があるのでしょうか? |あわせて読みたい| 最大のネックは価格。プレミアムSUV路線が裏目にエクストレイルの販売不振について、ある業界関係者は次のように話します。 「エクストレイルの最大の課題はその価格設定にあると思います。 ガソリンモデルを設定していないこともあり、エクストレイルはベースグレードでも360万1400円となっています。 一方、競合モデルであるトヨタ『RAV4』は299万円から、ホンダ『ZR-V』は289万8500円から、マツダ『CX-5』にいたっては271万4000円からとなっており、エクストレイルとは大きな価格差があります。 >>エクストレイルと、RAV4やZR-VやCX-5の内外装を比べる また、ハイブリッド車で比較してもエクストレイルはやや割高です。 たとえば、RAV4のハイブリッドモデルは338万円から、ZR-Vのハイブリッドモデルは343万7500円からとなっており、エクストレイルよりも安価です。 CX-5に関しては、クリーンディーゼルモデルが326万7000円からと、ハイブリッド並みの燃費性能を持つディーゼル車が比較的手頃な価格で購入可能です。 こうした価格設定が、販売台数の低下の大きな要因になっていると見られます」 |あわせて読みたい| 価格が高い割に燃費もそこそこ。ユーザーの声は?また、インターネット上に寄せられたコメントには「価格の割に燃費性能がいまひとつ」という点を指摘する声も少なくありません。 実際、エクストレイルのWLTCモード燃費は20.3km/Lと、RAV4の21.4km/Lと比べてわずかに劣っています。ユーザーレビューでも「一般道での燃費がイマイチ」「高速で燃費が伸びてくれない」といった声を多く見かけました。 エクストレイルの名誉のために言っておくと、「渋滞の下道でも19km/Lは満足」「ゆったり走れば燃費は満足」といった声もあるので、このあたりはe-POWERという日産の看板ハイブリッドシステムに対する期待度や、ライバルのトヨタ製ハイブリッドの燃費が良すぎるという面もありそうです。 また、主に後席において、乗り心地の硬さを指摘するコメントもありました。プレミアムSUVとして期待したくなる乗り心地よりも、スポーティな走りが重視されていることに不満を感じるユーザーも少なくないのかもしれません。 同様に不満が目立ったのは「日産コネクト」に対するもので、ナビの使い勝手の悪さを中心に「コネクトナビの性能が低い」「社外製品のほうがおススメ」という声も少なくありません。 また、「価格に対して内装の質感が物足りない」「シートベンチレーションがない」「自動ドアロック機能が搭載されていない」「小物入れやグローブボックスが足りない」といった機能や装備面での課題も指摘されています。 シートベンチレーションや自動ドアロックは競合車では標準またはオプションで選択できることが多く、エクストレイルに対する不満の一因となっている可能性があります。 >>エクストレイルと、RAV4やZR-VやCX-5の内外装を比べる |あわせて読みたい| 苦戦するエクストレイル、その本質的な問題とはエクストレイルの販売低迷の背景には、価格設定の高さに加えて、可変圧縮比エンジンやe-FORCEといった、ユニークでプレミアムなメカニズムがもたらす価値をユーザーに十分に伝えられていない点があるようです。 一方、前出のある業界関係者は「より本質的な問題がある」としたうえで次のように続けます。 「エクストレイルが高価格路線を貫くのであれば、機能装備はもちろん、それに見合うだけのブランドイメージがなによりも重要となります。 しかし、経営状態が安定しない現在の日産は、ブランドイメージがよいとはお世辞にも言えません。 この点が改善されない限り、マイナーチェンジなどで改良を繰り返したとしても、本当の意味でエクストレイルの販売台数が回復することはないと思います。 また中長期的には、2026にも北米でデビューすると発表された“次期型”「ローグ」(日本名はエクストレイル)が第三世代のe-POWERを搭載するということもあって、課題の燃費性能にも期待がかかります」 >>エクストレイル現行型や北米で発売済みの後期モデルの内外装を見る ミドルクラスSUVはグローバル市場でもボリュームゾーンの中心的存在です。エクストレイル現行モデルの長所を引き継ぎつつ、日産復活のシンボルになるようなヒット作をつくることができるのか、こちらの動向にも注目したいところです。 (終わり) (写真:トヨタ、日産、ホンダ、マツダ) |あわせて読みたい| |
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