日本で売れているのは軽自動車とコンパクトカー突然ですが、昨今の乗用車販売における軽自動車の比率がどのくらいかご存じでしょうか。答えは、だいたい4割弱。 そして“軽自動車のひとつ上”となるコンパクトカーも、かつてに比べると販売比率が高まっています。初めてクルマを買う人も、これまで乗っていたクルマからの買い替えという人も「次に買うクルマは軽自動車、もしくはコンパクトカーのどちらか」と考えている人も多いことでしょう。 軽自動車とコンパクトカーはそれぞれメリットとデメリットがありますが、「経済性」で両者を比べてみようというのが今回のテーマです。 ポイントは「車両価格」「維持費」「燃費」、そして「リセールバリュー」。 >>この記事に登場するクルマをフォトギャラリーで見る \あわせて読みたい/ 高価になったとはいえ、やはり価格が安いのは軽自動車まずは車両価格。多くの人は「軽自動車は安い」というイメージを持っていることでしょう。実際のところは果たしてどうなのか? たとえば、ダイハツの人気ナンバーワン軽自動車「タント」と同じダイハツの小型車で、タントに近いパッケージング(タントより一回りだけ大きい車体)の「トール」を比べてみたらどうなるか。 タントの価格帯は145万2000円から208万4500円で、そのうちターボエンジン搭載車は169万9500円から。いっぽうトールは174万2400円から229万4600円で、ターボだと206万5800円から。比べると……軽自動車のタントのほうが安い。ということは、やっぱり定説は正しいのか? >>この記事に登場するクルマをフォトギャラリーで見る では、軽自動車とコンパクトカーで同じボディの車同士を比べてみたらどうか。そんなクルマあるの?と思う人もいるかもしれませんが、実はあるんです。スズキの軽自動車「ジムニー」とそのコンパクトカー版「ジムニーシエラ」(以下シエラ)です。 3気筒の排気量658ccターボエンジンを積む軽自動車であるジムニーの価格帯は、165万4400円から200万2000円。いっぽう4気筒の1460cc自然吸気エンジンを積むコンパクトカーのシエラは196万2400円から218万3500円。こちらの比較でもコンパクトカーより軽自動車のほうが安いという結果に。 ……と言うと「シエラが高いのはワンサイズ大きいタイヤとか装備の違いもあるから」と思う人もいるかもしれませんね。でも、単に車体サイズだけでなく、そういった商品企画も含めて「軽自動車とコンパクトカーの違い」ということなのです。 \あわせて読みたい/ 価格以外に「環境割」といった税制面でも差がつくことも3つめのサンプルとして、パッケージングは大きく違うけれど同じメーカー内の、代表的な軽自動車と代表的なコンパクトカーの比較もしてみましょう。ホンダの超人気軽自動車「N-BOX」とコンパクトカーの「フィット」です。 価格帯を見ると、N-BOXは168万9600円から238万2600円。いっぽうフィットは172万円から284万6800円。このフィットの価格にはハイブリッドも含まれるので、仮にハイブリッドを除外すれば「LUXE 4WD」の250万6900円がフィット(ガソリン車)の最高価格となります。 いずれにせよ、軽自動車のN-BOXよりコンパクトカーであるフィットのほうが価格帯は上であることに間違いありません。 つまり一般的に、「軽自動車はコンパクトカーよりも安い」と判断していいでしょう。 >>この記事に登場するクルマをフォトギャラリーで見る 加えて購入時には、「取得税」に変わり導入されている「環境(性能)割」が税金としてかかります。燃費基準値の達成状況などにより異なるので一概には言えませんが、軽自動車のほうが基準が緩いこともあって、比較する車両によっては「5万円近く」の差がつくこともあると知っていて損はないでしょう。 \あわせて読みたい/ 維持費と燃費はどうか?結論から言うと、税金は軽自動車のほうが安いです。たとえば毎年の自動車税は、軽自動車だと年間1万800円ですが、コンパクトカーは排気量によって異なり1000cc未満のトールなどは2万5000円。1000cc以上1500cc未満の枠となるシエラやフィットは3万500円もします。やっぱり軽が安い。 車両購入時や車検の際に払う重量税にも大きな差があり、軽自動車の場合は最大で年間3300円(燃費性能により税額が異なる)。コンパクトカーだと車両重量1トンに満たない場合は最大で年間8200円。1トンを超えて1.5トンまで(ほとんどのコンパクトカーに当てはまる)は1万2300円となります。 つまり、10年乗り続けるとした場合、軽自動車とコンパクトカーでは税金だけで最大33万円くらいの差が生じることも(燃費基準との兼ね合いで異なるので車種やグレードにより異なる)。5年間の所有でもその約半分程度の差額が生じるケースもあるので、その差は小さくないといっていいでしょう。 >>この記事に登場するクルマをフォトギャラリーで見る ところで維持費といえば、ガソリン代に直結する燃費はどうか? たとえばジムニー(AT)のカタログ記載燃費(WLTCモード)は、軽自動車が14.3km/Lなのに対し、コンパクトカーのシエラは14.3km/L。偶然にも同じです。 ダイハツ同士の比較では、タントの自然吸気エンジン搭載車(アイドリングストップ機能付モデル)が22.7km/L。トールの自然吸気エンジン車だと18.4km/L。こちらは軽自動車のほうがリード。軽自動車やるじゃん。 ではホンダの“異種バトル”はどうか、N-BOX自然吸気エンジン車の燃費値は21.6km/L。対してフィットのベーシックグレード「BASIC」は18.7km/L。ここでも軽自動車のほうが低燃費と判断できます。 結論的には「例外もあるが基本的には軽自動車のほうが燃費がいい」といっていいでしょう。 仮に軽自動車の実燃費が18km/L、コンパクトカーは14km/Lだったとして、1万キロ走るのに必要なガソリンの量は軽自動車が約556L。コンパクトカーは約714Lが必要です。 その差は158Lで、金額にするとレギュラーガソリン1Lあたり170円として、1万キロ走行あたりの差額が2万6860円。ガソリン価格は上下動があるのであくまで机上の概算値にしかすぎないですが、そのクルマを所有している間に5万キロ走れば13万4300円程度、10万キロ走れば26万8600円程度と、決して少なくない違いの出費となります。 なかにはジムニーのような例外もあるものの、一般論として燃料代でも軽自動車のほうがオトクといっていいでしょう。 \あわせて読みたい/ リセールバリューでも軽自動車が優勢!だが…さて、実はもうひとつ軽自動車とコンパクトカーの経済性において大きな違いがあります。それはリセールバリュー。クルマを手放すときの価値です。 たとえばダイハツ対決の場合、ある中古車系サイトで査定相場を調べると、タントの5年前のモデル(2020年式)の平均買取相場は100万円。いっぽうトールは87.7万円。新車だとコンパクトカーのトールのほうが高いのに、手放すときは軽自動車のタントのほうが高いという逆転現象が生じているのです。 買取相場は中古車相場によって決まりますが、中古車相場は“需要”が大きく関係するもの。軽自動車の中古車需要は一般的にコンパクトカーよりも大きいので、手放す際に「コンパクトカーよりも軽自動車のリセールバリューが高い」というのはよくあることです。たまには例外もあるけれど、軽自動車は往々にして売るときにもアドバンテージがあるってわけなのです。 >>この記事に登場するクルマをフォトギャラリーで見る 以上のことを踏まえると、コンパクトカーよりも軽自動車のほうがお買い得というのは事実と言っていいでしょう。できるだけリーズナブルに自動車を所有したいとなれば、やっぱり軽自動車は魅力的な選択肢ですね。 ただ、コンパクトカーではなく軽自動車を選ぶ際に注意すべき部分も。まずは使い勝手。 軽自動車で昨今流行りのスーパーハイトワゴンであれば、一般的にフィットやトヨタ「ヤリス」などハッチバックタイプのコンパクトカー以上の居住スペースを備えています。しかし、ラゲッジルームの広さはコンパクトカーには届かないと理解しておくのがいいでしょう。 また、ロングドライブでの疲労度も違います。車体の作りの違いやエンジンパワーの差により、運転での疲労は軽自動車よりもコンパクトカーのほうが少ない傾向。これも、長距離移動する人は押さえておきたいポイントですね。 いっぽうで事故の際の安全性を気にする人もいるかもしれません。ただ、昨今は軽自動車の安全性も高まっていて、コンパクトカーと比べてもそれほど極端な差はないというのが現実。 筆者は、とあるメーカーが軽自動車と小型車/普通車にわけて調べた「事故のうち乗員が死亡した確率」の数字を見たことがありますが、両ジャンルの差は確かにあったものの(軽自動車のほうが死亡率は高い)、数字の差は「誤差」といえるものでした。それをどう判断するかは難しいところですが、数値上は「大きな差はない」ということだけはお伝えしておきましょう。 というわけでみなさん、幸せを呼ぶ軽自動車&コンパクトカー選びを! (終わり) (写真:ダイハツ、スズキ、ホンダ、トヨタ) \あわせて読みたい/ |
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