コンパクトSUV「フロンクス」と「ライズ」を比べて見ると昨年秋に発売となったコンパクトSUV、スズキの「フロンクス」が人気を集めています。ただし、現在のコンパクトSUVのベストセラーと言えるのはトヨタの「ライズ」です。では、新鋭「フロンクス」と王者「ライズ」を比較すると、どのような違いがあるのでしょうか? その違いを考察します。 昨年秋の10月に新型モデルとして日本に導入されたのがスズキのフロンクスです。その特徴は、ただのコンパクトSUVではなく、“クーペスタイル”であるというところでしょう。ルーフが車体後ろに向かって下がった流麗なスタイルをしています。 また、フェンダーの真ん中にプレスラインのある通称“ダブルフェンダー”や、メインの灯火類をバンパー内に収めた個性的な顔つきも特徴です。日本カー・オブ・ザ・イヤーの最終選考に進む上位の「10ベストカー」にも選出されるなど、自動車メディア内での評価も上々です。 ちなみに、フロンクスはインド生産となりますが、見たところ品質面で日本生産との違いは感じられませんでした。 2025年の新車登録は、1月が1388台、2月が1527台と、目標である月販1000台を軽々とクリアしています。スズキとしては十分以上の成果と感じているはずです。 >>「ライズ」と「フロンクス」を写真で見比べる ◎あわせて読みたい: 認証不正も何のその。爆売れの王者「ライズ」トヨタのライズは、ダイハツが開発・生産を担当するOEMモデルです。ダイハツ版は「ロッキー」を名乗ります。 そんなライズ&ロッキーは、2019年11月に新型モデルとして発売されました。全長4m以下の5ナンバーサイズでありながら、しっかりとSUVらしいスタイルをしています。そのルックスも良かったのでしょう。すぐにヒット車となります。特に売れたのがトヨタ版のライズです。 なんと2020年の新車販売ランキング(登録車)において、ライズは2位にまで躍進します。「カローラ」、「フィット」といったベストセラーを押しのけての2位は立派な数字です。 2021年は6位、2022年は5位と健闘しましたが、ダイハツの衝突試験の不正による出荷停止もあり、2023年は13位、2024年は20位と低迷します。 ただし、現在のところ販売は持ち直しており、2025年の新車登録は1月で6793台、2月は7995台を記録しています。ヒット車に復活したと言っていいでしょう。 >>「ライズ」と「フロンクス」を写真で見比べる ◎あわせて読みたい: 全長は同じ。でも荷室は「ライズ」が圧勝まずはサイズを比較してみましょう。フロンクスの寸法は、全長3995×全幅1765×全高1550mm。ホイール&タイヤは195/60R16で、最小回転半径は4.8mとなります。 一方ライズは、全長3995×全幅1695×全高1620mm。ホイール&タイヤは195/60R17と195/65R16の2種。最小回転半径は、17インチタイヤだと5m、16インチタイヤで4.9mです。 全長は、どちらも同じで、幅がフロンクスの方が10mm大きく、全高でライズが70mm高くなります。クーペスタイルのフロンクスはワイドで低く、ライズはよりSUVらしく背が高いと言えるでしょう。 また、最小回転半径は、幅が広いのにフロンクスの方が小さくなります。取り回しは、若干、フロンクスが勝るようです。 室内の広さはどうでしょうか? フロンクスは室内長1975×室内幅1425×室内高1200mmなのに対して、ライズは室内長1955×室内幅1420×室内高1250mm。長さと幅はそれほど違いがなく、高さでライズが50mm高いのは、やはりスタイルが理由でしょう。 荷室はフロンクスが荷室床長650×荷室床面幅1010×荷室高850mmで容量が290L(ラゲッジボード撤去時)。それに対してライズは、荷室床長755×荷室床面幅1000×荷室高865mmで容量が369Lもあります。 さらにライズはデッキボード下に17~80Lものスペースが備わっています。荷室の広さは、ライズの圧勝です。 >>「ライズ」と「フロンクス」を写真で見比べる ◎あわせて読みたい: ハイブリッド以外はパフォーマンスに大差ナシパワートレインはどうでしょうか? フロンクスのパワートレインは1.5Lの直列4気筒ガソリンエンジンに2.3kW(3.1PS)のモーターを追加するマイルドハイブリッドという1種類のみです。トランスミッションは6速ATで、FFと4WDを選べます。 エンジンの最高出力はFF仕様で74kW(101PS)、4WDで73kW(99PS)。燃費性能はFFで19.0km/l(WLTCモード、以下すべて同)、4WDで17.8km/lです。 ライズのパワートレインは3種類あります。1.0Lの3気筒ターボにCVTを組み合わせた4WDモデル。1.2Lの3気筒エンジンにCVTを組み合わせたFF。そして同じ1.2Lの3気筒エンジンを使うハイブリッドのFF。ハイブリッドは、エンジンが発電に専念し、駆動をモーターに任せるシリーズハイブリッド方式です。 パワートレインのスペックは、1.0Lターボの4WDは最高出力72kW(98PS)で、燃費が17.4km/l。1.2LのFFは、最高出力64kW(87PS)で、燃費が20.7km/l。ハイブリッドはモーター出力が78kW(106PS)に燃費が28.0km/lとなります。 パワーで言うと、ライズ(ハイブリッド)>フロンクス(FF)>フロンクス(4WD)>ライズ(4WD)>ライズ(FF)という順。 燃費は、ライズ(ハイブリッド)>ライズ(FF)>フロンクス(FF)>フロンクス(4WD)>ライズ(4WD)となります。 パワーと燃費は、ライズのハイブリッドが頭一つ抜けたものと言えますが、エンジン車同士の違いは、それほど大きくはありません。よほど厳密に比較しなければ、体感できないほどの僅差でしょう。 >>「ライズ」と「フロンクス」を写真で見比べる ◎あわせて読みたい: 価格も圧倒する「ライズ」。「フロンクス」の強みは?最後に価格を比較してみましょう。 フロンクスの価格は2WDの254万1000円と、4WDの273万9000円。一方、ライズは、1.2LのFFが180万700円~215万2700円、1Lターボの4WDが207万9000円~241万3400円、ハイブリッドが226万3800円~244万2000円となります。 価格を比較してみるとライズのお買い得度の高さが光り、すべてのグレードでライズが安くなっているのです。 振り返ってみれば、室内の広さはライズが勝っており、走行性能でもライズのハイブリッドが勝り、さらに価格でもライズが勝るという結果となりました。さすが、ベストセラーになるライズの強さを感じます。 しかし、それでもフロンクスが良いとなるのは、やはりデザインと走りでしょう。フロンクスのクーペ風のスタイルは他にないものですし、ブラック&ボルドーを基調とする室内の配色は上品で上質感があります。レザー調表皮を採用したシート類も高級感を生み出しています。 走りに関しても、個人的に試乗したときは「スイフトをSUVにして、上質に仕上げたよう」と感じました。「スイフト」ほどスポーティではありませんでしたが、落ち着いた走りは好印象でした。 スペックだけを見るならライズが勝りますが、デザインやスタイル、走りというものは、個人の趣味嗜好が重要になるポイント。フロンクスを検討しているのであれば、ぜひともディーラーなどで実車をリアルに確認してみましょう。その上で、ライズのスペックと比較するのがおすすめです。 (終わり) >>「ライズ」と「フロンクス」を写真で見比べる ◎あわせて読みたい: (写真:トヨタ、スズキ、ダイハツ) |
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