初代の感動が戻ってきたすでに様々な雑誌やメディアで、その詳細や試乗レポートが展開されている4代目ロードスター。その内容は一様にして「十分過ぎる魅力を持っている」となっているが、僕自身もそれに同感だ。 何が凄いか? 原点回帰とも表現されているが、初代ロードスターに初めて触れた当時の感動を、改めて4代目で感じられる事実が凄い。 初代ロードスターの感動は、適度なボディ剛性を備えつつも軽量に仕上げたコンパクトなボディで、走り出すとひと回りクルマが小さく感じる「一体感」にあった。結果として、感覚や意識に対するフィット感に優れ、意のままに動くのは当然だし、クルマが体の一部のように動くこと自体の楽しさや気持ちよさに加えて、そこから得られる走りの軽快感や爽快感がこれまた快感に繋がるといったもの。 加えて、それら魅力がありながら、オープンエアーの気持ちよさまで体感できたわけだ。これが、1998年当時に登場したのだから、日本のみならず世界中の走り好きに影響を及ぼしたのも頷ける。 正常進化ではない勘違いしてもらいたくないが、2代目や3代目がダメなどと言うつもりはない。初代と同様の魅力はあったのだが、衝突安全やグローバル展開への適応などを含めて、徐々にクルマが大きく、そして重くなってきた影響。そして人間は欲深く、慣れが結果として要求や期待する性能レベルを知らず知らずのうちに上げていたので、正常進化はしていたものの代替わりするほどに感動の度合いが下がっていた面もあった。 しかし、この4代目は違う。なぜなら、見て触れて感じた限り、正常進化ではない。デザインやパッケージそしてアイテムなど、今までのロードスターとは決別した上で、全てをゼロから選択して作り上げている。 唯一継承されたのは、初代ロードスターを作り上げた時のコンセプトとマインド。言うなれば、現代の技術力で初代ロードスターをもう一度作ろう、そんな意思が4代目からは強く感じられた。 こだわりの積み重ねで構成走り好きの心を刺激するデザイン。初代でも求められたこのコンセプトを、現在の技術で作り上げた回答がこの4代目のデザインだ。 例えば今のボディパネル成型技術などを駆使したからこそ、4つのタイヤの踏ん張り感が強調された抑揚のある力強いフォルムも可能になった。また低く身構え獲物を捕えるような前傾フォルムもまた、今でなければできないものだ。 なぜなら、ハロゲンやキセノンヘッドライトのユニットは物理的に大きく、これだけ垂れ下がり薄くなったノーズ内部には入らない。逆に言えば、小型ヘッドライトユニットを構成できるLEDヘッドライトだから可能になった。さらに言えばエンジンのオイルパンを13mmも薄くするといった工夫も、この低いノーズの実現に一役買っている。 結果として、小さいのに迫力を備えた見た目を手にしており、4代目はこのようなこだわりの積み重ねで構成されている。だからこそ、見て触れて感動できる。 操作性の向上は走りの質も変えるちなみに走りの前にこれも伝えておきたい。様々な分野の技術研究が日々発展しているのは当然だが、なかでも人間工学における研究開発が近年飛躍的に進んでクルマを良くしており、4代目はその象徴的なモデルとも言える。クルマ自体の挙動も大事だが、それを動かす人間が快適にストレスなく操作できて、その自然な動きが走りの質を高める。 それは運転だけでなく幌の開閉にも見受けられる。基本的な動きは、スペース的なパッケージ制約があるので歴代モデルに準ずるが、それを操作するうえでのラクさが違う。ロードスターオーナーならよく分かると思うが、幌を閉める時など、腕を後ろにそらして力を入れる無理な姿勢により肩を痛めそうになった方も大勢いるはず。 しかし、新型ではそんな感覚は皆無だ。無理な姿勢では操作力を要求せず、力を入れ易いところでは適度な操作力を求めてくる。このように、微妙ではあるが腕の角度と必要とする操作力のバランスが良い。結果、幌を気軽に開け閉めでき、意のままにクルマを使いこなせる環境をオーナーに与える。ちなみにオープン時は、体に風は当たるのだが顔周りは穏やかなので、快適で心地よいオープン環境があった。 そして走りもまた、この手の延長線にある。それは、鋭く動くことよりも鋭く動いていると感じさせる要素や、速さよりも速いと感じさせる要素にこだわりを持っている印象だ。 スペック例【 S スペシャル パッケージ 6MT】 |
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