アクティブツアラーのストレッチ版登場ある意味、我ら日本人が最も注目すべき新作ブランドカーに欧州で乗って来た。それもなぜかクロアチアで(笑)。そう、BMWブランドが出す前代未聞の7人乗り3列シートミニバン、2シリーズ グランツアラーだ。 え、BMWがミニバン!? と言うのはシロウト発想で、要は去年日本に上陸した話題作、BMW初のFF実用ハッチバック、2シリーズ アクティブツアラーの続編。全長を206mm伸ばし、全高を58mm上げて3列目シートを入れたストレッチ版で、フロントフェンダーより前のパワートレインやパネル形状はアクティブツアラーと同じ。ただし前後ドアやルーフ、リアフェンダー、リアハッチは微妙に違う。 もっとも日本人向けの新機軸BMW?リアハッチは後方視界を確保するためにリアワイパーのモーター軸を窓下にわざわざ移し、ボンネットは同じ形状だが前後重量配分にこだわってアルミ製から鉄製に変えている。初物だけにBMWがこだわって作ったのは間違いないのだ。 しかしなぜに日本向けかって、日本はミニバンが世界一売れる国だからだ。4月の登録車販売ランキングを見ても1~3位はアクア、プリウス、フィットのコンパクト系だが、4位エスクァイア、6位ヴォクシー、9位ヴェルファイアとミニバンが続き、特にエスクァイアとヴォクシーとノアの兄弟車を足すと1万6000台強でアクアを抜いて1位となる。 まさに世界に冠たるミニバン大国であり、そこに日本人が好むBMWブランド風味を加えたある意味“鬼に金棒”な組み合わせが2シリーズ グランツアラーとも言えるわけだ。 パッケージ的にはメインストリームではないとはいえ日本の3列シートミニバン市場はぶっちゃけ厳しく、現状売れるパターンはたったの二つと言える。コンパクトな5ナンバー枠に目一杯のスペースとユーティリティと省燃費を詰め込んだ箱型ミニバンと、もう一つはやたらビッグでゴージャス、かつ静かなラージミニバンだ。昔のように低いスタイルと走りにそこそこの実用性を備えたホンダ・ストリームやトヨタ・ウィッシュなどはハンパがゆえに消えてしまった。 そういう意味でグランツアラーはパッケージ的にメインストリームとは正直言いがたい。改めて全長×全幅×全高は4556×1800×1608mmであり、4700×1700×1800mm台の箱型より短くて背が低く、実際に3列シートは子供向けのエマージェンシーサイズ。 2列目を前にスライドさせれば意外に広いが、感覚的にはストリーム&ウィッシュと同程度。つまり大人が7人しっかり乗れる日本流ミニバンではなく、その分をBMWならではの質感、走り、ブランド性で新たな価値観を生み出せるかがキモ。そこを不躾オザワは独断と偏見でチェックしてみました! 生活臭が漂う新BMWスタイルまずスタイルだが、前から見るとアクティブツアラーとの違いがわからない。それもそのはず、フロント回りのグリルやボンネット、フェンダーは全く同じで、せいぜいバンパーデザインが変わっている程度。 が、リアからみるとアレ? と思う。ルーフが自然に繋がっているから分かりにくいが、全高は60mmほど上がり、ホイールベースが110mm、リアオーバーハングも100mm程度伸びており、リアウィンドウが明らかに立っている。BMWとは思えないずんぐりむっくりぶりがさらに増した感じだ。とはいえ、どうせ生活臭漂う新BMWスタイルを買うなら、より広いグランツアラーの方がいいかもしれない。 剛性感と懐の深い乗り味はさすがさらに乗るとビックリ。インパネの素材以外はアクティブツアラーとまったく同じのBMWらしいスポーティな多重式レイヤリングデザイン。フロントウィンドウの先にノーズが見えないことを除けば、ザ・BMWだ。ただし、車高が高めなので乗った感じは微妙にSUVっぽくなった。 そしてなにより乗り味が凄い! アクティブツアラーもそうだったが、高剛性ボディとリアのマルチリンクサスが生み出すFFらしからぬ剛性感、懐の深い乗り味はFRの上級BMWと比べても遜色ないレベル。 元BMWオーナーはもちろん、国産ミニバンと乗り比べても違いは誰もが分かるはず。ステアリングフィールも敢えてシングルピニオン式を使ったラック構造もあってFFとは思えないナチュラルさ。というか個人的には全体にアクティブツアラーよりしっかりしている感じすらした。 BMWらしいキモチよさと圧倒的なユーティリティ加えて凄いのはエンジンだ。今回乗ったのは192psの2リッター直4ガソリンターボを積む「220i」と、190psの2リッター直4ディーゼルターボを積む「220d」の四駆仕様だが、どちらもBMWらしく実にパワフルでキモチいい。 今は時代的にディーゼル主流になりつつあるが、比べるとやはり滑らかなのはガソリン。特に220iは最大トルクも280Nmとガチで太く、値段差は気になるが相当に乗りやすかった。 そして注目はやはり圧倒的なユーティリティだろう。実はグランツアラーは2列シート車もあって、国によってはそちらが標準で3列シート車がオプションだったりするが、前者の荷室は標準で645リッターもあり、最大1905リッター。後者が標準で560リッターもあり、最大1820リッターとなる。 これは真剣な話、ステーションワゴンを超えるユーティリティで、実はこれこそがグランツアラーのキモ。3列目は日本製ミニバンほど広くは無いが、その分、ラゲッジがやたら広くて実用的なのだ。 BMWクオリティ+日本製ミニバン並みの使い勝手そのほか細かい使い勝手も日本車並みにきめ細やかで2列目シートバックは4対2対4の分割式な上、130mmの前後スライドが可能だし、チャイルドシートを3つも付けられる。助手席を倒せば長尺モノも入れられ、背中には折り畳み式テーブルを取り付けられる。 またラゲッジ下には取り外し可能な100リッターのマルチファンクショントレイ、すべてのドアには1.5リッターのペットボトルが入る大型ポケットが付き、フロント&リアシート下には収納ボックス、3列目シート専用の12V電源ソケットも装備されている。また現状はドイツ専用だが、子供向けの新作マルチメディア「myKIDIO」も備えられる。 とまあ3列目を子供専用と割り切れば、もしや日本製ミニバン以上に使い勝手の良い、効率的なコンパクト3列シートミニバンとなるのだ。もちろんそこには割り切りが必要だが、実は大人が7人乗ることは少ないし、走り、質感ともにBMWクオリティを十分備えている。 これぞ今までにない人と荷物の収納配分を持った新しいプレミアムミニバン。もしやこれを使いこなせれば今までとは違うファミリーライフが送れるのかもしれないってわけなのだ。 スペック【 220i 】 |
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