いわゆる“高級車”とは違う絶妙のバランス感多くの方々に情報を発信する立場にある以上、常に公平かつ冷静な視点で対象に接しなければならないーーそれがメディアに携わるものとしてもっとも大切なことのひとつだと理解したうえでなお、筆者(ピーコックブルー 瓜生洋明)は「ホンダ アコード」というクルマに対して特別な感情を抱かずにはいられません。 筆者の記憶のなかには、いまからおよそ30年前、都内の幹線道路を走る5代目アコードの助手席で見た街の情景があります。 多分に美化されていることは言うまでもありませんが、記憶のなかのアコードはとてもスペシャルな存在であり、そのハンドルを握る父の姿に少なからずあこがれたものでした。 そんな筆者は2018年に「ホンダ インサイト」を購入しています。 もちろん、アコードも検討しましたが、会社を興したばかりの筆者にとって「アコードはまだ早い」という感情もどこかにあったのかもしれません。 一方、2022年11月には北米で11代目となる新型アコードが発表され、その全貌が明らかとなりました。 >>ホンダ アコードの公式画像をギャラリーで見る ちょうど社用車の入れ替えを考えていた時期であったため、このアコードを「大本命」として比較検討をすることにしました。 もちろん、筆者がアコードを社用車の第一候補とするのは、単に幼少期のノスタルジーだけではありません。 仕事柄クルマでの移動が多い筆者にとって、燃費性能に優れたハイブリッド車であることや、運動性能に優れたセダンであることは非常に重要な要素です。 その一方で、クライアントやビジネスパートナーの方と移動することも多いことから、一定以上の高級感があることも必須です。 ただ、いわゆる「高級車」であるとそれはそれで支障があるため、絶妙なバランスも求められます。 また、会社で契約している駐車場の全高に制限があるため、SUVやミニバンは最初から除外していました。 ただ、新型アコードを推す最大の点が、グローバルにおけるホンダの最重要モデルのひとつであるという点です。 日本では存在感が薄れてしまっているアコードですが、ホンダの最大市場である北米では圧倒的な販売台数を誇っています。 つまり、ある意味でホンダの「本気」が見られるモデルであり、それこそ筆者がアコードに求めていたものでもあります。 >【世界が認める実力派】新型「アコード」はなぜ母国日本で月200台の弱気なのか? 【ホンダ アコード】>価格やスペックはこちら ハードウェアとしての完成度は申し分なし2024年3月、ついに新型アコードが日本で発売されました。 しばらく経ったころ、筆者はアコードを少しの間借り受け、市街地はもちろん、高速道路からワインディングを含めておよそ1000kmを試乗する機会を得ました。 待ちわびたアコードを眼前にして、まず感じたのはその低さです。 全長4970mm×全幅1860mm×全高1450mmというボディは、日本車としてはかなり大柄ですが、全高と全幅に対して全高がかなり低いことや、そのシャープなスタイリングにより、新型アコードはかなり低さが強調されている印象です。 >>ホンダ アコードの公式画像をギャラリーで見る 実際に乗り込んでみると、今度は低さよりもワイドさが実感されます。 かつての愛車であるインサイトとは全幅が数十mmしか変わらないはずなのに、それ以上に幅広さを感じます。 シートは、すべての席でどっしりと身体を包み込んでくれ、大柄な筆者が座ってもきゅうくつさを一切感じさせません。 このあたりは、北米市場を強く意識しているモデルならではと言えそうです。 走りについては、ホンダの現在のフラッグシップモデルとして十分以上の性能であると自信をもって言うことができます。 インサイトではエンジン音がそれなりに車内に入ってきましたが、アコードではその点はかなり改善されています。 また、アクティブ・ダンパー・システムによってスポーティな走りやコンフォートな走りなどを、これまで以上に明確にセレクトできるのも魅力です。 さらに、特に意識しなくても20km/Lをゆうに超える燃費を記録できるのもうれしいポイントです。 要するに、ハードウェアとしてのアコードは申し分ないものであり、この点で購入をあきらめるようなポイントはありません。 >【手抜きナシ】走り、快適性、先進装備で最新最良のホンダが味わえる「アコード」 【ホンダ インサイト】>価格やスペックはこちら 日本のユーザーも“最新の”アコードを手に入れたい!もちろん、気になる点は少なくありません。 ホンダがアコードで積極的にアピールしている「Google搭載」のホンダコネクトは、いくつかの部分ではその性能を遺憾なく発揮してくれるものの、基本的には使いにくいというのが正直なところです。 そもそも、筆者も含めて右利きのユーザーは、左手で細かい画面を操作するのは不慣れです。かといって、音声入力ではいまひとつ正確に認識してくれないため、いずれにせよフラストレーションがたまる結果となります。 このあたりは、左ハンドルかつ英語圏のユーザーを念頭に置いたシステムの弊害と言えるかもしれません。 >>ホンダ アコードの公式画像をギャラリーで見る また、ほぼフル装備とは言え、やはり544万9400円という価格はネックとなります。 この価格帯となると、輸入車も含めてさまざまなモデルが選択肢に入ってくるうえ、よりリセールバリューが高いモデルも少なくありません。 ただ、これらは筆者のアコードに対する思い入れを根本からくつがえすものではありません。 筆者が新型アコードを購入するにいたらなかった最大の要因は、“1年以上遅れて日本に導入されたこと”にあります。 たしかに、新型アコードは魅力的なクルマです。 しかし、「最新は最善」の原則に従えば、いずれ登場するであろう一部改良モデルやマイナーチェンジモデルはさらに魅力的な1台に仕上がっているはずです。 新型アコードそのものは2022年11月に発表されているため、早ければ2025年~2026年にかけてマイナーチェンジモデルが北米を皮切りにお披露目~発売されると見られます。 いまの時代、海外で発表されるモデルであっても、その詳細はほぼリアルタイムで手に入れることになります。 もし仮に、いま筆者が新型アコードを購入し2024年内に納車されたとすると、翌2025年には最新のアコードが登場してしまう可能性があります。 突き詰めると、それが筆者には耐えられなかったというのが、新型アコードを実際に購入するに至らなかった根本的な要因です。 いまの新型アコードに大きな不満があるというよりは、アップデートされたアコードの存在を知ってしまうと、自身が購入したアコードを心の底から愛せなくなってしまうことをおそれている、というのが正確なところかもしれません。 ホンダの状況を考えると、特にアコードに関しては海外市場を優先せざるを得ないのは十分に理解できます。 それでも、できれば海外市場とそう変わらないタイミングで新型アコードを導入してほしかったというのが、筆者の正直な気持ちです。 逆に言えば、筆者のような点をそれほど気にしない方であれば、新型アコードは強くオススメできる1台です。 ぜひ一度試乗し、ホンダの“本気”を感じてみてください。 (終わり) >クルマで“Google”使えます。新型アコードは「自分好みにカスタマイズ」が楽しいかも >SUVはちょっと飽きた… そんな人におすすめしたい新型アコードの見どころとは? <写真:ホンダ> |
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