3年連続で輸入SUV登録台数1位の実力派いわゆるBセグメント、つまりトヨタ「ヤリス クロス」などと同セグメントに属するフォルクスワーゲンのコンパクトSUV「T-Cross(Tクロス)」が比較的大きなマイナーチェンジを受け、新型(後期型)へと進化した。 日本ではトップクラスに近い需要があるBセグメントSUVのなかで新型フォルクスワーゲン Tクロスは、より安価な予算で狙える国産各車以上に好ましい点が多々認められる、強力なオルタナティブ(代替案)になったといえる。 ご承知のとおりTクロスは2020年1月に国内販売が始まった、全長4.1m級のコンパクトSUV。パワートレインは最高出力116ps/最大トルク200Nmの1L直3ターボエンジン+7速DSGで、駆動方式はFFのみ。 フォルクスワーゲンらしいシュアな走りと実用性の高さ、そして輸入車特有の「しゃれた内外装デザインとブランドイメージ」により人気を集め、2022年から2022年まで3年連続で輸入SUVカテゴリーにおける登録台数第1位に。 翌2023年は同門のフォルクスワーゲン「T-Roc(Tロック)」に1位の座を譲ったが、それでもTクロスは2位にとどまり、相変わらずの強さを誇っていた。 今回のマイナーチェンジでは、日本の道路事情に合ったボディサイズはそのままに、ヘッドランプやリアコンビランプなどの灯火類を中心に外観デザインを刷新し、インテリアは質感を高めるとともに「beatsサウンドシステム」などを用意。 >>大幅改良でイイモノ感を引き上げたTクロスの内外装を見る そしてTクロスとしては初めてLEDマトリクスヘッドライトの「IQ LIGHT」も用意し、全グレードに同一車線内全車速運転支援システム「トラベルアシスト」を標準装備した。 エンジン出力は変わっていないが、ミラーサイクル化により「燃費となめらかさが向上している」とのことだ。 >>【329万円から】「Tクロス」マイチェンモデル予約開始 日本でも人気の輸入コンパクトSUVはまた売れそう 【フォルクスワーゲン Tクロス】>【クルクル動かせる!】360ビューはこちら 「自分は今、いい車に乗っている……」に浸れるそんな新型(後期型)Tクロスの上級グレードである「TSI スタイル」に試乗してみると、まずは“存在感”のようなものを強く感じることに気づく。 ボディサイズは競合する国産SUVである「トヨタ ヤリスクロス」とほぼ同じというか、Tクロスのほうが微妙に小さいぐらいなのだが、デザインの妙か、あるいは気のせいか、なぜかTクロスのほうが立派なサイズ感および車格に感じられるのだ。 >>大幅改良でイイモノ感を引き上げたTクロスの内外装を見る 車内に腰をおろしてみても、ダッシュパッドにソフト素材が使用されることになった新しいTクロスのインテリアは、Bセグメント車でしばしば感じられる“安物感”みたいなものがほとんどない。 落ち着いているがエッジも利いているインテリアデザイン全般と併せて、ドライバーは自然と「自分は今、いい車に乗っている……」という気分に浸れるだろう。 ほとんどショックを感じさせないまま始動する1L直3ターボエンジンもなめらかかつパワフルで、「……これ、本当に1Lの3気筒なのか?」という疑念が湧いてくるが、まぎれもなく1L直3ターボであり、最大トルクが発生する2000rpmに到達する前の1000rpm台では「力がちょい足りないな……」とも感じさせる点が、それを証明している。 とはいえ、飛ばさずとも普通に運転していれば2000rpmなどあっという間に到達するもので、そうなればもう「(1Lターボとしては)かなり力強い!」と感じられるはず。 1000rpm台の力感については、特に気にする必要はない。 2000~2800rpmほどにて普通のペースで走っている際には、「静粛性」と「乗り心地としての快適性」「実用車として十分な力強さ」「車全体としての“いいモノ感”」が際立つ。 そして道路状況を確認したうえでアクセルペダルを深めに踏み込んでみると、1L3気筒のTSIエンジンは感触としても音色としても、そして実際に湧き出るパワー&トルクの部分においても「スポーティ!」といったニュアンスに変化する。 もちろん純粋なスポーツカーのそれとはまったく違うが、筆者を含む一般的なドライバーが「基本的にはゆったりめの安全運転をメインとしつつ、たまにはちょっとスポーティな乗り味を楽しみたい」と考える分には、十分以上のスポーツ性だと言っていい。 >>安いぞ「ヤリスクロス」。マイチェンで装備向上もベース車ほぼ価格据え置き約190万円 【トヨタ ヤリスクロス】>【クルクル動かせる!】360ビューはこちら 快適な乗り心地。後席空間も荷室も広さも充分メータークラスターはフルデジタルの「デジタルコックピット」が全車標準装備。 オプションとしてより高度な「デジタルコックピットプロ」を選ぶこともできるが、試乗した限りでは素のデジタルコックピットで普通に十分と感じた。 >>大幅改良でイイモノ感を引き上げたTクロスの内外装を見る また試乗車の「TSI スタイル」は17インチのタイヤ&ホイールが標準。 オプションとして18インチも選択可能なのだが、わざわざ18インチを選ぶ必要はないとも感じた。 十分なエアボリュームがあって乗り心地良好なのだが、腰砕け感のようなものはいっさい感じない17インチが絶妙である。 そして前述したとおりドライバーズシートから眺めるインテリア全般は質感もデザイン性も高く、スポーツコンフォートシートのデニム風表皮もおしゃれ&肌触り良好。 そして後席居住空間も、シートの作りがやや平板なのは「セグメントなり」といった感じだが、広さと高さは十分。 身長175cmの筆者の場合で、ひざ元も頭上もかなりの余裕がある。コンパクトなSUVではあるが、180cm超級の人でも窮屈さを感じずに座れるだろう。 それでいて後席使用時でも荷室容量は455Lが確保されており、後席を倒せば1281Lに達する。 そして床面もフラットでスクエアなため、Tクロスは「荷物の運搬車」としても十分以上に機能するはずだ。 >>【SUVに飽きたなら】ワゴン専用ボディとなったVW新型「パサート」予約開始 新開発マイルドHVと新PHEVを設定 【フォルクスワーゲン Tクロス】>【クルクル動かせる!】360ビューはこちら 国産コンパクトの“ダサさや安っぽさ”が苦手な人へフォルクスワーゲン Tクロスに類似するサイズ感の国産SUV各車も、コストパフォーマンスの観点から見ればかなり素晴らしい乗り物である。 車両価格200万円台から300万円台前半ぐらいと、昨今の新車の価格としては安価であるにもかかわらず、よく走り、よく積めて、ハイブリッド車の場合は燃費良好でもある。 しかしそれらは、筆者に言わせると「何らかの我慢や妥協」も強いられる場合が多い選択肢だ。 「いいんだけど、インテリアがちょっとダサい」 「いいし、ダサくもないんだけど、質感的にちょっと……」 「走りも悪くないんだけど、『ものすごくいいか?』と聞かれれば……」 「いんだけど、イメージ的にちょっと……」 どうしてもそのように感じてしまう部分もあるのが国産BセグメントSUVなのだが、これはもう上代(車両価格)から考えれば仕方のない話だ。 むしろ「国産各メーカーはあの価格で、あんなに出来の良いコンパクトSUVが作れるのは凄い!」と称賛すべきことではある。 だがそれはそれとして、世の中には、上記のような少々のダサさや安っぽさがどうしても気になる、できれば買いたくない――と考える人も、一定数いる。 そういった一定数の人がコンパクトSUVという現在の主流カテゴリーの購入を考えたとき、同種の国産SUVと比べて数十万円高くなるのは承知のうえで選びたくなるのが、これまでのフォルクスワーゲン Tクロスだった。 そしてそんなTクロスは今回のマイナーチェンジにより、一定数の人々にはより刺さる存在へと進化した。 >>大幅改良でイイモノ感を引き上げたTクロスの内外装を見る 鬼のように高いモノは買えないし、買いたくもない。 だが「少し高い」ぐらいで済むのであれば、できるだけいいモノを買いたい――と考えるタイプのユーザーに、今回のフォルクスワーゲン Tクロスは最適と思えるコンパクトSUVだ。 (終わり) >>「ゴルフ8.5」予約開始。日本価格はバーゲン級、中でも“ロゴが光らない”ベース車がお買い得 【フォルクスワーゲン Tクロス】>【クルクル動かせる!】360ビューはこちら <写真:フォルクスワーゲン> |
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