BYDに続き中国「ジーカー」が日本進出を計画中中国の大手自動車メーカーであるBYDは、「ドルフィン」、「ATTO3」、「シール」という3モデルをリリースするなど、2023年1月に日本進出を果たして以降その存在感を徐々に強めています。 そんな中、新たにジーカー(Zeekr)が2025年にも日本へと進出する予定であることが、日経新聞などによって報じられました。 2021年に設立したジーカーは、BYDと並んで中国の主要自動車メーカーに数えられるジーリーグループの“BEV専業のプレミアムブランド”という立ち位置を担っています。 >>日本上陸が見込まれるジーカーの新型モデルを見る 日本ではあまり耳馴染みのないジーリーグループですが、メルセデス・ベンツの筆頭株主にしてボルボやロータスを傘下に持ち、日本市場に対しても間接的に関わってきました。 特に、近年のボルボの躍進の背景には、ジーリーグループによる圧倒的な支援があったとされており、自動車産業においては無視のできない存在となっています。 ジーカーに関して言えば、比較的若いブランドではあるものの、中国国内で順調に販売台数を伸ばしており、2024年はグローバルで20万台程度が販売される見込みです。 また、ジーカーは海外進出に対しても積極的であり、すでに香港やタイ向けの右ハンドル仕様車も生産しています。 そういった意味では、ジーカーの日本進出は既定路線であったと言えそうです。 【BYD ATTO3】>価格やスペックはこちら >価格やスペックはこちら ミドルクラスSUVと超高級ミニバンが日本上陸へでは、具体的にはどのようなモデルが日本へと導入されるのでしょうか? ミドルクラスSUVの「X」と超高級ミニバンの「009」、2台のBEVが筆頭候補となっているようです。 >>日本上陸が見込まれるジーカーの新型モデルを見る どちらもジーカーのラインナップの中核を担うグローバルモデルであることにくわえ、右ハンドル仕様も生産されていることから、この2モデルの日本導入はリアリティがあります。 それぞれのモデルをさらに詳しく見てみましょう。 まず、Xは全長4432mm×全幅1836mm×全高1566mmのボディをもつミドルクラスの中ではやや小柄なSUVです。 国産車と比較すると、「ホンダ ヴェゼル」と「マツダ CX-5」のちょうど中間に位置するサイズ感です。 XにはデュアルモーターのAWD仕様とシングルモーターのRWD仕様が用意されており、前者は最高出力428ps/最大トルク543Nmを発揮するハイパフォーマンスモデルとなっています。 中国国内におけるXの価格は、RWD仕様が20万元(約420万円)、AWD仕様が22万元(約462万円)とプラットフォームを共有する「ボルボ EX30」(RWDで559万円~)と比べても割安です。 一方の009は、全長5209mm×全幅2024mm×全高1867mmという、「レクサス LM」をもしのぐ堂々たるボディが特徴の高級ミニバンです。 パイプオルガンをモチーフにしたというフロントマスクをはじめ、内外装のいたるところに高級感あふれるデザインが採用されているほか、各シートごとに応じた音声認識システムやナッパレザーを用いたマッサージシートなど、機能面も充実しています。 009には、3列シートの6/7人乗り仕様と2列シートの4人乗り仕様が用意されており、バッテリー容量別などに複数のバリエーションが設定されています。 現地における価格は43万9000元(約922万円)から78万9000元(約1657万円)となっています。 【マツダ CX-5】>【クルクル動かせる!】360ビューはこちら >価格やスペックはこちら 狙いは「日本でも販売されている」という評判そもそも、ジーカーはなぜ日本進出をするのでしょうか? この点について、ある業界関係者は次のように話します。 「短期的には、中国国内のBEV需要に陰りが見えていることが背景にあると考えられます。 これまでは生産されたBEVの多くが中国国内で販売されていましたが、EVバブルが崩壊しつつある昨今では、一定分を欧州や東南アジア、そして日本へと振り分けるという動きがBYDをはじめとするいくつかの自動車メーカーで見られており、ジーカーの日本進出もそうした流れのなかにあると言えそうです。 ただ、日本におけるジーカーの年間販売台数は、1000台程度が現実的なラインかと思います。 ジーカーのグローバルにおける年間販売台数は20万台規模であるため、販売台数という意味では日本進出を果たすメリットはほとんどありません。 むしろ、ジーカーが本気でねらっているのは、BYDの事例などと同様にタイやインドネシアなどの東南アジア市場だと考えられます。 これらの国や地域は伝統的に日本車が強いとされており、『日本で一定の評価を受けた』という事実がマーケティング上の重要な役割を果たします。 現在の日本のBEV比率を考えると、1000台という年間販売台数は『一定の評価』というには十分過ぎる数字です。 009が日本で発売された場合、ピュアBEVという大きな違いがあるにせよ「トヨタ アルファード」と比較されることになると思います。 >>日本上陸が見込まれるジーカーの新型モデルを見る もちろん、販売台数では009はアルファードの足元にもおよばないことは確実ですが、ジーカーにとってそれは失敗ではありません。 東南アジア諸国でも高いブランド力を誇る、アルファードの比較対象に挙げられること自体に意味があるわけです。 つまり、日本市場で目先の利益を追わないということが、ジーカーの日本進出における戦略だと考えられます」 【アルファード】>【クルクル動かせる!】360ビューはこちら >【クルクル動かせる!】360ビューはこちら “飛び道具”はボルボのディーラーネットワーク「日本で一定の評価を受けた」という事実を得ることがジーカーの目的だとした場合、採算度外視の戦略的な価格を提示するなど、日本のユーザーの心をつかむありとあらゆる手段をとる可能性があります。 そうした視点で考えたとき、ジーカーにはある“飛び道具”があると前出の業界関係者は指摘します。 「BYDの日本進出に際して、多くのユーザーから不安の声が上がったのはディーラーの少なさです。 ディーラーが少なければ、試乗や購入の相談ができず、あるいは購入後のアフターサービスにも不安が残ります。 BYDの場合、圧倒的な資金力による“パワープレイ”によっておそろしいほどのスピードで全国にディーラーネットワークを構築しています。 一方、ジーカーの場合、同じくジーリーグループであるボルボのディーラーネットワークを活用することが考えられます。 >>日本上陸が見込まれるジーカーの新型モデルを見る ボルボはすでに120ほどのディーラーを全国に持っており、そこで購入の相談やアフターサービスを受けられるのであれば、それは大きなアドバンテージとなりそうです。 もちろん、ジーカーをはじめとする中国車が日本で市民権を獲得するまでには、かなりの年月が必要かと思います。 ただ、将来的にBEVがメインとなったとき、早い段階から種をまいていた中国の自動車メーカーが、日本の自動車メーカーをあっさりと追い抜いてしまうというストーリーもありえます。 いずれにせよ、ジーカーの日本進出は、日本の自動車産業にとって大きな脅威となることは間違いないでしょう」 (終わり) 【ホンダ ヴェゼル】>【クルクル動かせる!】360ビューはこちら >【クルクル動かせる!】360ビューはこちら <写真:トヨタ、レクサス、ホンダ、マツダ、BYD、ZEEKR> |
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