個性派セダンに4WDグレードが登場まさかこんな銀世界での初対面となるとは……。GMが用意してくれた粋な試乗ステージにテンションMAXのまま、粉雪舞う軽井沢へと向かった。待っていたのは、キャデラックのミドルクラスセダン、CTSに新たに登場したグレード「CTSプレミアム」。 すでに販売されている「CTSラグジュアリー」がFRなのに対して、こちらは最新の4WD、アクティブ・オンデマンドAWDシステムが搭載されているというから、雪上での快適性にも自信があるというわけだ。 CTSといえば、キャデラックが大胆にイメージチェンジした新世代デザインフィロソフィ、「アート&サイエンス」が最初に採り入れられたモデルで、2002年に日本デビューしている。 その後、ハイパフォーマンス版のVシリーズが最初に登場したのもCTS。そのCTS-Vは2008年に、ドイツのニュルブルクリンクサーキットで4ドアセダン最速タイムを記録し、パフォーマンスの高さを世界に知らしめた。 目指したのは「クラスで最も機敏なドライバーズカー」現在3世代目となったCTSは、従来よりハーフセグメントほどボディを拡大。全長4970×全幅1840mmはBMW・5シリーズを超える長さだが、幅はスリムに、全高も1465mmと低くなっているのが特徴だ。 クラスで最も機敏なドライバーズカーを目指し、まずクルマを軽くするところから開発がスタート。キャデラックは古くからマルチマテリアルの技術が強く、超高張力スチールやアルミニウム、マグネシウムなどの素材を適材適所に置くことで、CTSの車両重量は1680kgと、FRではクラス最軽量だ。 そこに2.0L直4インタークーラーターボ+6速ATを搭載し、276ps/400Nmを引き出す。AWDとなるCTSプレミアムもそのスペックは同様で、タイヤが17インチから18インチにアップしている。 運転席に乗り込む前に、チェックしたいのはフロントマスク。キャデラックの新しいブランドロゴマーク「キャデラック・クレスト」が初めてあしらわれ、同時にグリルとバンパー下部のデザインもリニューアルされ、わかる人にはわかる進化を遂げている。 IT大国らしいインターフェースがさらに進化そして室内に入ってみると、まるで高級な家具のように天然素材で丁寧に仕立てられたダッシュボードやドアインナーに包まれ、モレロレッドという色のレザーがちょっとセクシーでいい感じ。センターパネルには指を近づけると文字やアイコンが浮かびあがる、IT文化が進むアメリカらしいインターフェース、CUE(キュー)が未来感を演出する。 今回、そのCUEには携帯電話のワイヤレスチャージング機能が搭載され、インパネ中央にある電動開閉パネルを開けて、中の小物トレーに携帯を置くだけで充電できるようになっている。これは今後、ATSやエスカレードといったモデルにも展開されていくとのこと。 カッチリとしたシートは相変わらず絶妙なフィット感で、空間のゆとりも心地よい。外気温はマイナスを示しているが、トライゾーンオートエアコンで車内はほどよい暖かさで、Boseのプレミアムサラウンドサウンドシステムからは透き通った歌声が響いてくる。そういえばクルマに初めてBoseが搭載されたのは、1982年のキャデラック・セビルだったそうだ。 後席ではすっかりカメラマン氏もくつろいでいて、「のんびり雪景色でも眺めにいこうか」なんて優雅な気分になってくる。 鋭く軽く、雪道でも安心して走れるところが試乗会場を出てアクセルをひと踏みしたとたん、目はシャキッと冴えて背筋が伸び、身体の底から昂揚感が沸き上がる感覚を久々に味わった。街中ではまだ路面に雪はなく、加速フィールからステアリングの手応えまで、適度な鋭さと軽さがなんとも爽快。それでいて乗り心地はとてもフラットで快適だ。 そのうちに路面の白くなったワインディングに差し掛かっても、大人3人が乗っているとは思えないほどアスリートのように気持ちのいい挙動が続く。 これはAWDでも前後52:48とほぼ同等の重量配分というバランスの良さだけでなく、世界最速のダンピングシステムと言われる最新のマグネティック・ライドコントロールの仕事がかなり効いているはず。 フロントにはブレンボ製のブレーキも採用されているし、車両がトルクスリップを感知すると、フロントアクスルに最大956Nmのトルク配分を行うという、3ギアドライブデザイン・アクティブ・オンデマンド・トランスファーケースなど万全の体制で、その安心感は格別だ。 安全&快適装備はクラス随一さらに安心感を高めてくれるのが、CTSプレミアムに搭載されている最新の安全装備の数々。緊急時の自動ブレーキやレーンキープ・アシストはもちろん、レーダーとカメラで前車を検知して適切な車間距離をキープする、アダプティブ・クルーズ・コントロールも全車速対応だ。 ハイビームに自動切替をするインテリビームやリアビューカメラ、10個のエアバックなどありとあらゆる先進技術で守ってくれる感覚が頼もしい。 心が洗われるような真っ白な風景にたたずむCTSプレミアムは、そのブラックダイヤモンドというカラー名のとおりに眩しい輝きを放っている。雪の上でこれほど楽しませてくれるのだから、いつもの道だったら……。このまま都心に乗って帰りたいほどに、すっかり魅了してくれた極上セダンだった。 主要スペック【 CTS プレミアム 】 |
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