EV議論が“マンションの資産価値”にも及ぶ?国際エネルギー機関(IEA)が発表した「世界EV見通し2024」によれば、2023年の全世界における新車販売台数に占めるBEVとPHEVの割合は約18%と、過去最高を記録したことが明らかになりました。 一方、日本自動車販売協会連合会が発表した日本国内のBEV/PHEVの割合(乗用車のみ)はわずか3.6%にとどまるなど、日本のユーザーの「EV嫌い」があらためて浮き彫りとなりました。 >>今話題の国内外のBEVをギャラリーで見る BEVやPHEVが適しているか、あるいはガソリン車やディーゼル車、ハイブリッド車などが適しているかについては、ユーザーの個々の事情に依存する部分が大きく、唯一無二の「正解」を導き出すことは現時点では不可能です。 にもかかわらず、インターネット上では「EV信者」と「アンチEV」による舌戦が日夜繰り広げられています。 そのテーマは「環境負荷」「コスト」「ドライビング・フィール」、さらには「政治」など多岐にわたりますが、最近では「マンションにおける資産価値」といったものまで対象となっているようです。 いったい、どういうことなのでしょうか? それぞれの立場の見解をまとめてみました。 >>【EV補助金に激震!】BYDやヒョンデは大幅不利に。国産は姉妹モデルで大差が付くケースも 【レクサス RZ】>価格やスペックはこちら 先攻:EV信者「充電器設置で資産価値アップ!」まずは、「EV信者」とされる方々の意見を聞いてみましょう。 「EV信者」を自認するある男性は次のように話します。 「マンションを購入するユーザーの多くは資産価値を気にするものですが、資産価値というのは、簡単に言えばそのマンションに人気があるかどうかで決まります。 ただ、ほとんどのマンションが30年~50年は利用されるため、将来にわたって人気が継続するかどうかを見極めることが重要です。 数十年後のことを見通すのは簡単ではありませんが、少なくとも現在よりはBEVやPHEVが普及していることはたしかです。 そうなったとき、充電器を設置してあるマンションとそうでないマンション、どちらに人気が集まるかは言うまでもありませんよね?」 >>今話題の国内外のBEVをギャラリーで見る >>【言わんこっちゃない!】世界でEVの逆回転始まる! 中国の弱点を攻めるトヨタの粘り勝ち 【日産 サクラ】>【クルクル動かせる!】360ビューはこちら 後攻:アンチEV「充電器設置費用は誰が出すの?」「EV信者」のこの意見に対して、「アンチEV」はどのように対抗するのでしょうか? 内燃機関の可能性を信じ続ける、自称「アンチEV」の男性は次のように切り返します。 「100万歩譲って、数十年先にはBEVやPHEVの割合が増えていることは認め、あくまで『マンションの資産価値』という点について議論することにしましょう。 たしかに、充電器のあるマンションのほうが資産価値は上がるのは当然です。でも、その分コストも上がりますよね。 マンションに充電施設を設置する場合、少なく見積もっても1基あたり100万円は必要です。補助金などを考慮しても数十万円単位の出費は避けられません。 そのコストをEV利用者が捻出するならまだしも、そうでない人からも取り立てるのであれば議論が巻き起こることは必至です。 マンションというのは、言うまでもなく多様な住人が協力して管理していくものです。 そんな共同住宅で分断が巻き起こる可能性があるなら、多くの人は敬遠するんじゃないですか? それはつまり、充電器の設置によってマンションの資産価値が上がることはなく、むしろ下がる可能性すらあるということを意味していると思います」 >>今話題の国内外のBEVをギャラリーで見る >>アメリカのニュースで大騒ぎに…「EVのタイヤ摩耗はエンジン車の4倍以上!」が大げさな理由 【三菱 eKクロスEV】>価格やスペックはこちら EV信者:「東京都は2025年から設置義務化へ!」「アンチEV」の痛烈なカウンターに対し、「EV信者」も負けじとパンチを仕掛けます。 「東京都では、2025年より新築マンションに対して充電器の設置が義務化されます。 それにともない、東京都では充電器設置の助成金がさらに増額されます。特に、超急速充電器と急速充電器では設備購入費と設置工事費が全額助成されます。 つまり、タダで設置できるわけです。タダなら設置しない理由はないですよね? 『充電器設置でマンションの資産価値が上がる』という言い方が適切でないなら、こう言い換えましょう。 『充電器の設置されていないマンションは、資産価値が下がる』 >>今話題の国内外のBEVをギャラリーで見る >>今、電気自動車を中古で買うのはアリなのか? 【日産 リーフ】>【クルクル動かせる!】360ビューはこちら アンチEV:「それって都内の新築限定ですよね?」しぶとい「EV信者」ですが、「アンチEV」はさらにたたみかけます。 「マンションへの充電器設置が義務化される話は、あくまで新築マンションかつ東京都内に限った話ですよね。 都内の新築マンションはもともとそれなりの資産価値があるため、必ずしも充電器のおかげで資産価値が向上したとは言えないでしょう。 それより、むしろ圧倒的大多数の既存のマンションは助成金もないので、充電器を設置するのは簡単ではありませんよ。 そんな日が来るかどうかはさておき、もし仮にEVが完全に普及したとしたら、そのころにはどの駐車場にも充電器が付いているんじゃないですか? そうなったら、結局のところ充電器の有無でマンションの資産価値は決まらないでしょう。 いまだって、AC100Vのコンセントが部屋に付いているからといって、その部屋の価値があがるわけではないですからね。」 >>今話題の国内外のBEVをギャラリーで見る 【日産 アリア】>【クルクル動かせる!】360ビューはこちら >価格やスペックはこちら まとめ:両者の話がいつまでも噛み合わない理由ここまで見て、「EV信者」と「アンチEV」ともに、どちらも筋が通っているように思われます。 実際、どちらも間違ったことは言っていません。にもかかわらず、双方の話が噛み合わないのは、それぞれがベースとしている部分が大きく異なるからです。 たとえば「EV信者」は、「数十年先」かつ「東京」を中心とした話を展開しています。 一方の「アンチEV」は「直近の未来」かつ「東京以外」の地域を主眼にしています。 前提が異なるのであれば、それぞれの議論が噛み合うわけはありません。 今回紹介したのはやや誇張した例ではありますが、EVを取り巻く議論の多くは、このようにそれぞれの前提がマッチしていない状態で進められることが少なくないように思われます。 そのような議論は、どちらもそれなりに正しいことから、どちらかが一方的に折れることはまずありません。 ただ、そうした議論になんの意味があるのでしょうか? EVに対してどのように思っていたとしても、不毛な議論だけは避けたいものです。 <終わり> >>今話題の国内外のBEVをギャラリーで見る 【スバル ソルテラ】>【クルクル動かせる!】360ビューはこちら >価格やスペックはこちら <写真:トヨタ、日産、ホンダ、マツダ、スバル、レクサス、BYD、ヒョンデ> 終わり> |
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