ランボルギーニと非日常の世界非日常の世界。スーパーカーが持つ魅力とは、まさにその世界観をわかりやすく具現化してオーナーに提供することなのだと感じさせられた。今回は長野県の白樺高原で開催されたランボルギーニのグローバルイベント参加記を紹介していこう。 そもそもスーパーカーというものは、街中だろうが高速道路だろうが山道だろうが大自然だろうが、どこを走っても景色や周りのクルマに溶け込むことなく、目に飛び込んで存在感を示す。非日常の見た目こそが、スーパーカーがまず備えている魅力だ。 ウラカンとアヴェンタドールを氷上で!会場となったのは、冬にはクルマが走れる厚みにまで凍結する女神湖だ。V10エンジンを搭載する最新モデルのウラカンLP610-4が3台と、V12エンジンを搭載する最新モデルのアヴェンタドールLP700-4ロードスターが1台、会場入り口で出迎えてくれる。 その光景と雰囲気は、霧が出ていたこともあって北欧に来た様な錯覚と共に、独特な緊張感と興奮をもたらした。今思えばこの時すでに、非日常のランボルギーニの世界が始まっていたのだ。そこから一気に非日常世界という川を下るかのように、夕暮れまで時間が過ぎていった。 住宅が買えるようなクルマを滑らせまくるランボルギーニの試乗会は頭で理解するよりも体験して習得してもらうことを基準にしている。そこでこちらも、考える時間的余裕がないほど積極的に、横に乗るインストラクターの説明を受けながら様々なシーンで乗りまわす。 低いドライビングポジションがもたらす地面にお尻が擦りそうになる気分と、絶えず耳に入って来る官能的で刺激に満ちた排気音、そして意思に直結するように動くシャーシレスポンスの中、住宅を買えるようなクルマたちを氷上で滑らせながら豪快に走らせるという、非現実的な世界に酔いしれるわけだ。 スクアドラ・コルセとランボルギーニ・アカデミアランボルギーニにはR&D(開発部門)に所属するスクアドラ・コルセというモータースポーツ部門がある。GT3参戦サポートから、軽量&後輪駆動化したウラカンで戦うワンメイクレース・スーパートロフェオのサポートまで、ランボルギーニのモータースポーツ活動を一手に請け負い、ドライビングスクールのランボルギーニ・アカデミアも主催する。 その目的はズバリ、オーナー達に非日常を与え続けることだ。頂点のGT3までの道のりをサポートする体勢をランボルギーニ自身が用意して、彼らの欲求に応えつづけるのだ。女神湖のイベントは、ランボルギーニ・ウィンター・アカデミアの1プログラムであり、GT3への道のりの最初の一歩ということもできる。 ちなみに我々メディア向けイベントの翌日から、アジア、オセアニア地域のオーナーが海を越えてこのプログラムを受けに来るのだという。数十万円の参加費に渡航費まで払って参加するスクールは、その内容も超豪華だ。 ウラカンとアヴェンタドールでドリフト練習朝からアクセル操作とハンドル操作の練習を兼ねて行われたのは、オーバーステアリング・エクササイズで、ウラカンで8の字を描きながらリアタイヤを意図的に滑らせる。その後は、広めのエリアを使ったドリフティング・エクササイズで、リアタイヤを滑らせながら走り続ける。そして周回コースでは応用編としてグリップ走行やドリフティングで走るなど、思い通りにクルマを動かす練習を、ウラカンとアヴェンタドールで行う。 しかも、全てのプログラムにおいて、助手席には本国からのインストラクターや、日本のスーパーGTにも参戦するレーシングドライバーが乗り、アドバイスを的確に与えてくれるのだ。 氷上試乗会で指定された走行モードは「コルサ」だった!?正直、ボクも様々なドライビングスクールを担当しているが、こんなに贅沢なスクールは見たことが無い。この、まさに非日常の体験ができたおかげで、今まで知りたくても知り得なかった“四輪駆動の興味深い特性”を理解できたのだ。 最新ランボルギーニには、エンジンや排気音、足回りそしてABSやESCなどの車両安定制御を一手に任意調整できるドライビングセレクタ「ANIMA(アニマ)」がある。具体的には、市街地を含めた普段使いに適した穏やかな「ストラーダ」、五感を刺激する走りを楽しめる「スポーツ」、能力をフルに開放して速さと性能を追求するサーキット仕様の「コルサ」だ。 今回の氷上走行の全ステージで選ばれたモードが、最強の「コルサ」だったと言ったら、みなさんは信じるだろうか? 「コルサ」モードを選ばせるランボルギーニは太っ腹!?「コルサ」ではエンジンが最もパワフルになり、トランスミッションもダイレクト感が強まり、電子制御の介入は最も控え目になる。ボクは最初、ドライバーに数千万円のクルマの行く末が完全に委ねられる「コルサ」を選ばせることに、ランボルギーニは太っ腹で豪快だと思ったのだが、色々と試すと様子が違っていた。 当日は吹雪いており、氷の上に雪が乗っている部分や、雪が吹き溜っているところまであった。そんなコースをメーター読みで100km/h近い速度で走る。正直、横に乗るインストラクターも不安になる速度だし、ボク自身も雪溜まりにハンドルを取られたらと不安がよぎる。だからこそ、電子制御がしっかりと効く「スポーツ」を選ばせてもらったのだが、クルマの動きは予想に反するものだったのだ。 「ストラーダ」→「スポーツ」でよりFR寄りに簡単に言うと「スポーツ」は良く曲がるのだが、曲がり過ぎてコントロールが難しく、スピンし易くなってしまう。安定感が減って、痛快だがトリッキーな特性を示すのだ。 色々と制御内容を聞くと要因が判明した。今のランボルギーニはレース参戦を目的としたようなスペシャルモデル以外は全て四輪駆動。その制御は、基本リア駆動をベースに、フロントをサポート的に駆動させるものだ。その前後トルク配分率は、通常使う「ストラーダ」で前30%/後70%。「スポーツ」になると前18%/後82%と、より後輪寄りになる。ここまではみなさんの想像通りだと思う。 「コルサ」が最も四輪駆動状態で走っている!では、「コルサ」はさらにリア寄り? と予想したが、答えは逆だった。正確な数字は出してくれなかったものの、強調していたのは“前輪は30%以上”という言葉。そう、最も四輪駆動で走っているのがコルサであり、それこそ性能と速さを求めた結果なのだ。 つまり、ランボルギーニが参加者に「コルサ」で走らせていたのは、それが最も安定感が高いから。ちなみに「コルサ」で走る速度で「スポーツ」にすると、フロント駆動が弱くなるためか、雪溜まりの走破力が低下し、フロントタイヤが雪に引っ掛かる動きが強まり、何度もクルマが真横を向いて冷や汗をかいた。 氷上という極限状況では、「コルサ」より「スポーツ」の方が楽しく、「スポーツ」より「コルサ」のほうが安定していた…。改めて四輪駆動の気持ち良さと安定性が背反する性能であることを確認できた今回のイベント。このようにクルマの特性を理解する機会や、運転技術を磨くための豪華なプログラムに加えて、その究極のゴールであるGT3挑戦という道のりまで用意しているランボルギーニ。まさにスーパーカーブランドらしい取り組みと言えるだろう。 スペック【 ウラカンLP 610-4 】 【 アヴェンタドール LP700-4 ロードスター】 |
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