“大衆プレミアムタイヤ”に変貌遂に来るべきものが来たか…と個人的には結構ショックを受けた。そう、40代以上のクルマ好きには「ディープだ」の印象的コピーやショーン・コネリーが出てくるクールなCMで有名な高級車用タイヤ『REGNO』のこと。 それが今回、ホンダ・フィットやトヨタ・ヴィッツなどのコンパクトカーまでカバーする、ある意味“大衆プレミアムタイヤ”に変貌したというのだ。サイズ的にも現在日本で発売されている乗用車の8割以上をカバーできちゃうそうで「誰でもREGNOを履ける時代」がやってきたってわけだ。 「より幅広い価値をREGNOに、ということでCMにもブラックペガサスを使いました」とはブリヂストンの広告戦略担当。なるほどねぇ。 リプレイス専用で30年以上の歴史今回、聞くまで意識してなかったが、REGNOは1981年の初代『GR-01』から一貫して日本生産の日本専用タイヤとしてやってきた。それも一部例外を除いてリプレイス専用、つまり新車時装着はなくタイヤ専門店で交換される、クルマ好きが選ぶタイヤとして30年以上やってきた。 で、本数は言えないがこのクルマ離れの時代も言うほど売れないわけではなく、BS調べだと今も都内の個人タクシーの24%がREGNOを装着。乗り心地はもちろん、静粛性で選ぶユーザーが多く、「静かなタイヤだったらREGNOだよね」とツウの間では認識されている。 しかし、それでもクラウンやレクサス、あるいはドイツ製高級セダンに乗る客相手だけじゃやっていけなくなったのだ。つくづく時代ですな。 ますます進む「エコ化」と「静粛性」ただし、この大衆化は今に始まったわけではない。今回もREGNOは『GR-XI(ジーアール・クロスアイ)』と『GRVII(ジーアールブイ・ツー)』の2ラインを出しているが、GRVIIの方はミニバン専用REGNOとして2006年に初登場している。そして今回、GR-XIは30サイズに対応。今や売れてるクルマの4割が軽になった日本。さすがのREGNOも見過ごせなくなったわけなのだ。 今回も改良度合いは多岐にわたっていて分かり易いところでは「エコ化」。グリップ性能やらウェット性能、転がり抵抗まで表示するタイヤのラベリング制度が始まって5年。セダン・コンパクトカー用『GR-XI』は既に転がり抵抗とウェット性能でトップクラスのグレーディング「A-b」を獲得済みだったが、今回はミニバン用『GRVII』でも初獲得。特にトレッドのブロック剛性と排水性を最適化する技術で、転がり抵抗を18%、ウェットブレーキ停止距離を14%も短縮した。 さらにBSのREGNOの質に対するこだわりはハンパじゃなく、今回は開発段階で「チームREGNO」を組織して作り込み、中でも伝統の静粛性は心地よさに影響する中・低周波ロードノイズを独自の「ノイズ吸収シートII」で抑え、気になる高周波パターンノイズをこれまた独自の消音器構造を、初めて1つで2つのミゾに対応させる「ダブルブランチ型消音器」を搭載することで抑え込んでいる。しかし、ダブルブランチって、なんだかサッカー用語に似てる気がしませんか(笑)。 気になる“赤ちゃんの泣き声音”を消す?論より証拠のインプレッションだが、まず不肖オザワが乗ったのはREGNO王道のユーザーカーであるクラウン。特に静けさに敏感なハイブリッドに乗ったが、この時にREGNOの凄さが一番よく伝わってきた。 まずビックリするのは走り始めの音の無さ。「え、タイヤついてないんじゃないの?」はオオゲサだが、ありがちなザラザラした路面とのコンタクト感がほとんどない。 音振研究ユニットリーダーの和氣充幸さんによれば「音、振動をもっと良くして欲しいと言う声は本当に多く、特に今回は不快に感じるシャー音、1000から2000Hzあたりの音をカットしました」そうで、これは赤ちゃんの泣き声や電話の受話器を上げたままの時の警告音に相当するらしい。要するに耳障りな音だ。 それから走りのしっかり加減にもビックリ。REGNOというと乗り心地柔らか、あたり柔らかなイメージだったが、意外と硬めで、同時にしっかりしたグリップ感、スッキリ感もある。聞けば「前作がコンフォート寄りでもうちょっとしっかりさせたいという要望が強かった」とか。ううむ。 クラウン&レクサスにベストマッチお次はアルファード・ハイブリッドでミニバン用『GRVII』を試したが、確かに止まる寸前のスッキリ感や静けさは顕著で、さすがはREGNO。とはいえクラウンに比べ、改めてこんなにミニバンそのものがうるさかったのかと思う。 『GR-XI』を履いたメルセデス・ベンツEクラスでも同様で、元々の車両特性なのか、クラウンハイブリッドほど静粛性の良さ、抜けの良さは感じず、それより高速でのステアリングフィールの良さが光った。 やはりREGNOに一番合ってるのは王道のクラウン&レクサス。日本の高級車には日本の高級タイヤという感じなのだ。 ダウンサイザー向けのお助け船としてアリ最後に注目のコンパクトカー、ホンダ・フィットでREGNOとの相性をチェックしてみたが、普通のタイヤと乗り比べてみると明らかに静かで、道路の継ぎ目を乗り越える時のショックも小さい。しかもそれが残らない。 ただし、全体的にはクラウンのような静粛性は望むべくもなく、根本的にはやはりフィットだ。当たり前と言えば当たり前なんですが。さらに価格を調べてみたところ『GR-XI』は太いのでは1本5万円以上し、最も細くて小さい175/65R14サイズでも1万2700円する。 REGNOとしては安い気がしたが、それでも4本あわせると5万円オーバー。本来経済観念の強いコンパクトカーユーザー、実際にこれ付けますかね? とぶっちゃけ質問をしたところ……「もちろん安くはありません。ただし、今は元々クラウンに乗っていたお客様が、フィットやヴィッツ、あるいはポロなんかにダウンサイズされる方も多い。そういう方が奥様とお2人で乗って『このクルマ、うるさいわね』『確かに。じゃ、REGNOにしてみるか』って変えてみる方はいらっしゃるんです」とか。 確かに高いモノから安いモノにダウングレードすると、どうしても気になってしまう何かはある。そんな場合の、“お助け船”としてのREGNOは十分アリなのかもしれない。 スペック概要【 REGNO GR-XI(ジーアール・クロスアイ)】 【 REGNO GRVII(ジーアールブイ・ツー)】 |
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