2023年10月の改良でステアリングがオーバル形状に昨年10月に一部改良が行われたスバル「ソルテラ」に、1泊2日のスケジュールで試乗した。本稿では「改良型ソルテラがどんなクルマだったか」と「BEV(フル電気自動車)で行く比較的長距離のドライブは(充電の面で)どうだったか?」について報告したい。 ご承知のとおり、ソルテラは2022年5月に注文受け付けが開始された、スバルとトヨタが共同開発したSUVタイプのBEV。駆動方式はFWDとAWDの2種類で、AWDには2モーター方式のパワートレインが採用されている。 駆動用バッテリーの総電力量は71.4kWhで、FWD車のフロントモーターは最高出力150ps/最大トルク266Nm。AWD車はフロントに同80ps/同169Nm、リアにも同80ps/同169Nmのモーターを搭載する。各グレードのWLTCモードによる一充電走行距離は下記のとおりだ。 ・ET-SS(FWD)|567km 今回の試乗車両はET-SS(AWD)である。 そして2023年10月25日に行われた一部改良では「スバル セーフティ センス」の機能が拡充され、一定の条件下で40km/h以下でのハンズフリー運転が可能になるなどの進化を遂げた。 またステアリングホイールの形状がそれまでの円形からオーバル形となり、ステアリングの向こう側にあるメーターの視認性が向上。同時にステアリングのセンサーがタッチセンサー式に変わったため、ACC作動時にステアリングを「握る」必要がなくなった。 |おすすめの記事| 【スバル ソルテラ】 令和のクラウンロイヤルか在日キャデラックかそんな改良型ソルテラで、まずは首都高速という名のタイトなワインディングロードへ繰り出すと――決して悪くはないのだが、車両重量2tの、さほど小柄ではない車体がどんぶらこ~、どんぶらこ~とコーナリングのたびに揺れる感触があり、初見の段階ではあまり心地良いとは思えなかった。 だが不思議なもので、乗っているうちに「どんぶらこ感」に身体と心が慣れていく。そして緩やかなカーブが連続するカントリーサイドの高速道路を走る頃には、ソルテラの「ソフトではあるが、きわめて安定している」という乗り味が逆に気持ちよく感じられてくる。 そして高速道路を降り、比較的タイトな山坂道をゆったりめに走り始めた頃には、このニュアンスの虜になっていた。 ソルテラの乗り味とは、「令和のクラウン ロイヤル」というか「在日キャデラック」というか、そういったものに筆者には感じられた。 タイトでスポーティなニュアンスを求める人には向かなそうだが、そういったものはすでに卒業したドライバーが穏やかで上質なドライブフィールを感じながら、各地の名勝や有名な温泉宿、あるいはゴルフ場などを目指すための乗り物としては、ベストに近い乗り味であるように思う。BEVなので、当然ながら車内はきわめて静かであるし。 |おすすめの記事| 【トヨタ bZ4X】 ハーマンカードン付きを推したいとはいえせっかく車内が静かなのに、ソルテラの純正オーディオは正直今ひとつな音質だった。 これではせっかくのBEV環境を生かすことができない。そのため、もしも今後ソルテラを買うという人を見かけたならば、筆者としては最上級グレードである「ET-HS」を猛烈にプッシュしたい。 ET-HSの車両価格はET-SS(AWD)より44万円高いが、ET-HSであれば「ハーマンカードンサウンドシステム(専用11スピーカー)」が標準装備。 筆者の私物自家用車にもこれと同じものが付いているが(※正確に言うとサブウーファーは付いてませんが)、音はかなりいい。そして静かなBEVであれば、その本領はより発揮されることだろう。 |おすすめの記事| 説明の順番が前後してしまい恐縮だが、高速道路などでドライブモードを「Sport」にした際のソルテラは相当速い。 穏やかなニュアンスであることに変わりはないが、時おりSportモードに入れてやれば、この車の本領のようなものを存分に堪能できるだろう。ソルテラは「単に穏やかなだけの車」では決してないのだ。 またオーバル型に変わったステアリングホイールは操作時に違和感を覚えることはなく、ただただメーターが見やすくなったという良い影響しかない。そしてアクセルを戻した際の減速度の強さを4段階で調節できる「パドルスイッチ」は相変わらず、山坂道や首都高速においてはきわめて便利である。 |おすすめの記事| 【日産 サクラ】 片道200km~300kmの範囲であれば問題なしでは、「BEVで行く比較的長距離のドライブは(充電の面で)どうだったか?」に移ろう。 東京・恵比寿のスバル本社ビルを出た筆者と編集Kは、そこから約230km先にある群馬県の四万温泉を目指した。 ソルテラ(ET-SS/AWD)のWLTCモードによる一充電走行距離は542kmであるため、計算上は途中で急速充電をせずとも難なくたどり着けるはず。下手をすれば帰路も充電なしで帰京できる可能性すらあるだろう。 だがスバル本社ビルを出る際にメーターパネルを見ると、バッテリー残量100%に対して、航続可能な予想距離は387kmとの表示。「……WLTCモードとずいぶん違うやんけ」とは思うが、まぁ230kmぐらいなら余裕で走りきれるだろう。たぶん。 そして結果はそのとおりで、約230km走って四万川沿いの宿に到着した際のバッテリー残量は「26%」との表示。けっこう余裕であり、スバルから参考として事前に教えられた「途中途中のポイントにおける予想バッテリー残量」とも、その都度おおむね合致していた。 そのため途中で急速充電をする必要性はいっさい感じず、またBEVで遠くへ行く際に特有の「バッテリーの残量表示を見ると胃が痛くなる」という現象も発生しなかった。 |おすすめの記事| 現状、ソルテラぐらいの車格のBEVであっても、さすがに「東京から鹿児島まで1300km走ります!」みたいな無駄にレアな使い方をするには、約30分間の急速充電を何度も行う必要がある。はっきり言って面倒くさいし、かったるい。やりたくない。 だが片道200kmか300km程度の旅、つまり多くの人が日常的に行う“小旅行”であれば、何ら問題もストレスもなしに使うことができる。まぁ旅先の宿に200Vの普通充電設備があることがマストにはなるが、パワフルで静かでスムーズなBEVでちょっとした旅に出るという行為は、きわめて愉快なものであった。 2030年以降、仮にBEVだらけの世の中になったとしても、私は「車がある生活」を今とほぼ同様に楽しめるのだろう。 |おすすめの記事| 【テスラ モデル3】 東京都在住であれば110万円のCEV補助金アリ筆者のイチ推しグレードである「ET-HS」は車両価格715万円となかなかお高いが、購入に際しては国からのCEV補助金65万円(※2024年4月以降の場合)と、例えば東京都にお住まいであれば45万円のZEV補助金が出る。 つまり計110万円の補助金があるということで、ET-HSの実質的な車両本体価格は605万円ということになる(※東京都民が2024年4月以降に購入する場合)。 これでももちろん高いは高いが、ある種のユーザーには楽勝な金額であるはず。そんな「ある種の人」には、ソルテラはかなりナイスな選択肢であるように思う。 <おわり> |おすすめの記事| 【ホンダ Honda e】 |
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