新開発のパワートレーンが凝っている「スズキ スイフト」が2023年12月にフルモデルチェンジ、国内モデルとしては5代目(グローバルモデルとしては4代目)になりました。 世界を意識したモデルといっても、全幅1695mm×全高1500mmというボディサイズは先代から維持、全長こそ3860mmと15mmほど伸びていますが、ホイールベースは2450mmとやはり先代同様で、取り回しの良さはキープしています。 プラットフォームは従来からのキャリーオーバーなのですが、スタイリングのイメージは一新。グラスエリア下のショルダー部分を全周ラウンドさせることで5ナンバー(小型車)サイズとは思えないワイド感を演出しています。 空力にこだわったことを感じさせるエッジの効いたフロントマスクはどこかポリゴン調で、先進性を表現しています。 注目はパワートレインの進化で、1.2L 3気筒エンジンを新開発する気合の入りようです。 さらに、エントリーグレード以外は振り子式ベルトテンショナーとISG(モーターアシスト機能付き発電機)を組み合わせたマイルドハイブリッドを採用するなど、コンパクトクラスとしてはかなり凝ったシステムをもっているのです。 >>スイフトってどんなクルマ? 価格とスペック情報はこちら 装備とコスパで最上級「MZ」がオススメそんな新型スイフトに公道で乗る機会がありました。 試乗したのは最上級グレード「HYBRID MZ」(FF・CVTで216万7000円)で、9インチディスプレイオーディオや本革巻ステアリングホイール、そしてブレーキホールド機能付きEPB(電動パーキングブレーキ)が標準装備となっています。 他のグレードではオプションでもEPBの設定はないので、信号待ちなどでブレーキペダルから足を離すことができるブレーキホールド機能が必須というユーザーであれば最上級グレード「HYBRID MZ」一択となります。 すぐ下のグレード「HYBRID MX」のFF・CVT車は192万2800円なのですが、ディスプレイオーディオの設定はないため、メーカー純正ナビ(約25万円)をつけることになります。 前述したように、ブレーキホールド機能付きEPBのメーカーオプション設定もないため、HYBRID MXに純正ナビをつけてしまうとEPBが備わらないのにHYBRID MZの価格を上回ってしまいます。 HYBRID MXにはCVTと同価格で5速MTが設定されているので、「どうしてもMTが欲しい」という場合はHYBRID MXがオススメとなりますが、ナビ的な機能が必須というのであれば、HYBRID MZのディスプレイオーディオにスマートフォンを接続してナビ機能を利用するほうがコスパはいいのではないでしょうか。 >>【クルクル動かせる!】スイフトスポーツの360ビューはこちら ヤリス Zには装備や燃費で差をつけるでは、ライバル車と比べて新型スイフトHYBRID MZのコストパフォーマンスはどうなのでしょうか。 じつは、国産コンパクトでマイルドハイブリッドが設定されているのはスイフトだけで、「トヨタ ヤリス」と「ホンダ フィット」はフルハイブリッドとエンジン車(いずれも1.5L)、「日産 ノート」はe-POWERと名付けられたフルハイブリッドのみのラインアップとなっています。 その中でおそらくスイフトのライバルとなるのは、ヤリスとフィットの純エンジン車でしょう。 1.5L 3気筒エンジンを積むヤリスの最上級グレード「Z」のメーカー希望小売価格は215万4000円(FF・CVT)です。 スイフトより排気量自体は大きく、かつわずかに安価ですが、ヤリスは手で引き上げる旧来型のパーキングブレーキとなっています。 ディスプレイオーディオは標準装備されますが、画面サイズは8インチで、スイフトの9インチと比べると見劣りします。 燃費についても、スイフトがリード。ヤリスのWLTCモード燃費は21.3km/Lで、スイフトの24.5km/Lには差をつけられているのです。このあたりは排気量の違いもありますが、マイルドハイブリッドの有無が大きいでしょう。 逆にいうとマイルドハイブリッド機構をプラスしてもライバルのエンジン車と同等の価格を実現しているスイフトのコスパが凄いということです。 >>ヤリス&ヤリスクロス改良 大幅刷新していた欧州仕様との差が気になる…? >>【クルクル動かせる!】ヤリスの360ビューはこちら フィット HOMEとイーブンだが燃費は有利つづいてフィットと比べてみましょう。 フィットの場合、ちょうど同じくらいの装備をもつグレードが見当たらないので、スタンダードな「HOME」グレード(FF・CVTで189万4200円)を比較対象としてみます。 実は、フィットはオーディオレス仕様でメーカーオプションの9インチナビを付けると212万5200円となり、価格的には同等になります。 フィットはブレーキホールド機能付きEPBを標準装備していますから、その点でもスイフトと迷いそうです。 ただし、気になるのはフィットの燃費性能、WLTCモードで18.5km/Lというのは、いまどきのコンパクトカーに期待する数値ではないかもしれません。 もっともフィットの場合は4気筒エンジンを積んでいますから、その滑らかな走り味はアドバンテージとなります。 とはいえ、新開発3気筒エンジンを積んだスイフトの走り味がスムースネスで劣るわけではありません。CVTとの協調制御が絶妙で、アクセル操作に応じて駆動トルクを発生させるためにエンジンのキャラクターは巧みに隠されています。 信号待ちではアイドリングストップするため振動もなく、前述した振り子式テンショナーの効果もあってISGによるエンジン再始動は本当に滑らか。3気筒エンジンのネガは感じられない仕上がりです。 >>【クルクル動かせる!】フィットの360ビューはこちら 新型はヤリスやフィットとガチのライバルになった従来のスイフトは、国産コンパクトの中でスポーティ味が強めのキャラクターでした。「走りにこだわらないからスイフトでなくてもいいかなあ」と感じるユーザーが多かったのも事実でしょう。 しかし、新型スイフトはキャラクターを変えています。個性的になったスタイリングからは想像できないかもしれませんが、間口の広いキャラになっています。 走り出して感じるのはハンドルやペダルの操作フィールをいい意味で軽くしていること。ブレーキングによる荷重移動などマニアックなドライビングを意識せずとも気持ちよく走れます。 とはいえ、ボディ剛性感をアップしたりり、ブレーキペダルの踏み方でコントロールする幅を広げたりと、走りの深みでは従来からの世界観を進化させているのも好印象。ヤリスやフィットの“ガチライバル”として日本のコンパクトカーの本流といえる一台に仕上がっています。 ヤリスやノートが約10万台、フィットでも5万台以上が売れている日本市場において、新型スイフトの年間販売目標は3万台と控えめですが、大幅に販売台数を増やしてもおかしくない乗りやすさとコスパの良さを実現しています。 >>ノート e-POWERってどんなクルマ? 価格とスペック情報はこちら <終わり> <写真:スズキ、トヨタ、ホンダ、日産> 終わり> |
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