基本はノーマル。改造は最小限に日産は3月21日、北極から南極までの約3万3000kmを走破するという企画「ポール・トゥ・ポール」をフル電気自動車(BEV)の「アリア」で達成したイギリス人のラムゼイ夫妻を招き、そのチャレンジについてレポートする報告会を開催しました。 ポール・トゥ・ポールとは、10年前に初代日産「リーフ」を購入したことで電気自動車に魅了されたというクリスさんとジュリーさんのラムゼイ夫妻が企画したチャレンジで、北極(1823年時点の北磁極)から南極点まで、南、中、北米を縦断するというもの。 クリスさんはリーフでモンゴルラリーの1万7000キロを走破するなど、日産のEVに高い信頼を寄せていました。そこで、この企画に際し日産に協力を求めたところ、2021年に日産が承諾。日産はオフィシャルパートナーとして「アリア e-4ORCE B9(イーフォース ビーナイン) 」を提供し、専門的な技術アドバイスのほか、遠征資金もサポートしました。 「改造は最小限に抑えたい」というラムゼイ夫妻の希望により、パワートレーンとバッテリー、サスペンション構造はノーマルに。しかし完全なノーマルでは全区間の走行は不可能なため、極地探検車両のスペシャリスト「アークティック・トラックス社」の協力により最小限の改造が施されました。 【主な改造箇所】 >>この記事のフォトギャラリーはこちら |おすすめの記事| 【日産 アリア】 パンクしているわけではありません39インチの巨大なタイヤは、BFグッドリッチのオールテレーンタイヤ「オール テレーン T/A KO2」。特殊なタイヤだけに消耗しそうな気もしますが、交換したのはなんとたった1度だけだったとか。 「最近、電気自動車はタイヤが減りやすいという話題があったけど、そんなことはないよ」とクリスさんは笑います。 南極点到達時の写真を見るとタイヤがぺしゃんこ。まるでパンクしているかのようですが、これは滑りやすい氷などの路面でもグリップ力を得るために空気圧をわざと落としているためで、空気圧は通常時32PSI(約220kPa)ですが、最低で4PSI(約27kPa)まで下げて走行したそうです。 >>この記事のフォトギャラリーはこちら |おすすめの記事| 【日産 リーフ(初代」】 北極と南極での充電方法は?気になる道中の充電は、90%が充電設備で残りの10%が発電機と自然エネルギーを利用しました。 南、中、北米では一般的な充電設備を使いましたが、ないところではガソリンスタンドのコンセントなどを借りたりするなどして対応。そのためアダプターを何種類も用意していたそうですが、「本当にたくさんの人に助けてもらった」とクリスさんとジュリーさんはしみじみ語っていました。 充電設備どころか町や村さえない北極と南極エリアでは、エンジン発電機のほかに風力と太陽光発電を利用します。風力は期待していたほどの風が吹かず、ほとんど使えなかったそうです。太陽光充電は毎日4枚の充電パネルを展開する必要があり、1枚16kgもあるためかなりの重労働。さらには太陽に向かって常に調整が必要だったため、とにかく大変だったそうです。 >>この記事のフォトギャラリーはこちら |おすすめの記事| 【日産 リーフ(現行型)】 寒さは耐えたが暑さは無理だった(人間が)寒さに弱いと言われるBEV。最低気温が-39℃にもなったという極寒の北極や南極では「寒すぎると充電が遅くなってしまうため、(制御装置が集中する)フロントまわりにテントを設置してクルマを暖めました」(クリスさん)。 暖められたテントの中は、-14℃から12℃くらいにまでなったそうです。 北極では、走行距離を伸ばすためエアコンのヒーターはつかわず、シートヒーターとステアリングヒーターだけで走行。車内でもまつげが凍るほど寒かったそうですが、道中の最高気温48℃を記録したアメリカのアリゾナでは「さすがに暑くて死んじゃうのでエアコンをつけたよ」とクリスさんは苦笑い。 2023年3月29日に北極を出発し、同年12月15日に南極点にゴール。 EVどころか、ICE(内燃機関)でも成し遂げられたことのない偉業を達成したラムゼイ夫妻とアリアの冒険の記録は、アリアの実車とともに、3月31日まで日産のグローバルギャラリーに展示されています。気になった方は足を運んでみてはいかがでしょうか。 >>この記事のフォトギャラリーはこちら <おわり> |おすすめの記事| 【日産 サクラ】 |
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