お次はSクラスクーペのトップモデルに試乗(190E編から続く) 20年前の190Eに乗ったあとは、最新最強のメルセデス「S65 AMG クーペ」の試乗とあいなった。これは2013年にコンセプトモデルが公表され、市販型が今年発表、つい最近日本でも発売が開始された旧名「CL」、現在の車名「Sクラスクーペ」のトップモデルだ。 日本で発売されるSクラスクーペには、S550 4MATIC クーペ、S63 AMG 4MATIC クーペ、S65 AMG クーペの基本3モデルがある。車名の後半の部分が示しているように、S550とS63 AMGはフルタイム4WDだが、S65 AMGだけは後輪駆動となっている。 しかもS65 AMG、パワーユニットがまた凄い。S550が4.7リッターV8ツインターボ、S63が5.5リッターV8ツインターボなのに対して、S65は6リッターV12ツインターボを搭載しているのだ。結果、630psのパワーと1000Nmのトルクを捻り出し、7段ATを介して後輪を駆動、車重2170kgのクーペボディを走らせる。 まさに最新テクロノジーの宝庫しかもS65 AMG、凄いのはパワーユニットだけではない。周囲のクルマに対応して安全運転をサポートする「インテリジェントドライブ」に加えて、ステレオマルチパーパスカメラで前方の路面状況を読み、それに応じてサスペンションのダンピングをコントロールして快適極まりない乗り心地を実現する「マジックボディコントロール」を標準で備える。 で、その「マジックボディコントロール」の機能を応用してカメラがこれから走るコーナーの曲率を検知、その結果に応じてサスペンションの油圧ユニットに送られるオイル量を変化させてコーナー外側のボディを持ち上げ、事実上ロールのないコーナリングを実現する量産車初の「ダイナミックカーブ機能」も備えている。 その結果、乗員はハードコーナリング中にも必死で身体を支える必要がなくなって快適さが増す一方で、ドライバーはコーナリング中に通常のクルマにはないファン・トゥ・ドライブを得られる、というものだ。 極上の乗り味と表現してもオーバーにはならないさてそのS65 AMG クーペ、幕張のホテルをベースとする試乗会で、適度にタイトながら豪勢に設えられたコクピットに収まって走らせたが、そこにはコーナリングを存分に味わえるような長いカーブが存在しなかった。したがって、まことに残念ながら「ダイナミックカーブ機能」の効果を明確に実感することはできなかった。 ただし僕自身は、初夏にイタリアで開かれた国際試乗会において、ワインディングでそれを体験している。それをひとことで表現すれば、その効果は予想するよりはるかに自然で、ロールのないコーナリングが想像以上に愉しいものであったと、自信を持っていえる。 その一方で、この「ダイナミックカーブ機能」のベースとなった「マジックボディコントロール」の素晴らしさは、今回の短い試乗でも明確に実感できた。その乗り心地は、路面の状況を問わず、まるで路面とボディが隔絶されているかのようにフラットかつ重厚で、ロードノイズも静かだから、まさに極上の乗り味と表現してもオーバーにはなるまい。 あらゆる面で贅を尽くした至高のクーペそれに加えて、6リッターV12ツインターボエンジンのもたらすパフォーマンスも、贅沢の極みだ。通常の大人しい走りでは、かすかに唸りを上げつつ必要にして充分なだけのパワーを生み出しているが、ひとたびスロットルを深く踏み込んだ日には、途方もない世界が展開される。なにせ1000Nmという驚異的なトルクが後輪に送られるわけだから、背中を蹴飛ばされたような、しかしそれでいてスムーズな加速が、瞬時にして手に入るのである。 という風に、あらゆる面で贅を尽くしたS65 AMG クーペだが、あらためてプライスを調べてみて合点がいった。S550 4MATIC(1690万円)とS63 AMG 4MATIC(2400万円)に設定された「Edition 1」という特別仕様を含めると、日本仕様に5車種あるSクラスクーペのなかでダントツに高価なS65 AMG クーペは、なんと3120万円もするのだ。とはいえ、この数字に驚いているようでは、このクルマを手に入れる資格はない、ということだろう。 主要スペック【 S65 AMG クーペ 】 |
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