思いつきから飛び出た遊びの軽!「きっかけはある若いデザイナーが遊びで描いたスケッチです。最初はホントに作るなんて思ってもみなかったですけどね(笑)」と語るのは、Nシリーズ開発責任者の浅木泰昭さん。 年末に出たダイハツ・ウェイクやムーヴ、スズキ・アルトなど、ますます話題作が目白押しのニッポンの軽。と思ったら遊び系でさらなる要注目モデルが出た。その名もホンダN-BOX スラッシュ! ご存じトールワゴン系で大ヒット中のNシリーズの第5弾で、“スラッシュ”は「スパッと切る」を表す英語だ。 「デザイナーはアメリカ滞在経験がある男で、向こうのホットロッドでよく使われるチョップトップでN-BOXを造ってみたら、周りの評価が驚くほど高くて。特に女性陣ウケが良かったんで開発を決めました(浅木さん)」 チョップトップとは、ボディ途中をゴーインにちょん切り、屋根を無理やり低くするカスタム手法だ。古くはT型フォードやVWビートルのゼロヨンマシンなどに使われ、独特の寸詰まり感が出るが、やりようによっては絶妙にカッコ良くなる。原寸大チョロQというか、個性を濃縮&強調したデザインになるからだ。 これは本当にFunkyなのか? が合言葉N-BOXに比べて10cm、つまり約4インチボディを低くしていて、これは本物のチョップトップとほぼ同じ。で、せっかくやるなら徹底的に遊んじゃおうと、デザイナーやエンジニアをどんどん西海岸に勉強に行かせたそうだ。 「そこで出てきたのはFunkyって言葉。向こうのジャズミュージシャンなんかが使う“イケてる”“カッコいい”みたいな英語ですけど、途中で迷った時は“これは本当にFunkyなのか?”を合言葉にしました(浅木さん)」 合言葉はFunky! わかったような、わからないような言葉だが、実際N-BOX スラッシュは今までの軽や乗用車全体でもあり得なかったような遊びに満ち溢れているんでビックリ。順にチェックしてみよう。 リアからだとよく分かるポップな凝縮感外観だが、フロントマスクそのものは意外と普通。ボンネットやバンパー、ヘッドライトは基本N-BOXと同じで、ディテールとしてはグリルデザインしか変わってないんだからして。だが、同時に「おや?」とも思う。屋根が妙に低く、足回りも10mm落としてあって、全体に帽子を目深に被ったような印象がある。 それは視線を横へ、リアへと移すと明らかになる。ボディサイズの長さと幅はノーマルN-BOXと同じだが、全高のみが110mm低く(FF比較)1670mmになっており、それ自体はスズキ・ワゴンRや兄弟車N-WGNより少し高いくらい。だけど、サイドから見るとウェストラインが妙に高く、窓ガラスが妙に薄い。ルーフもリアに行くほど低くなり、サイドガラスも後ろにいくほど薄くなってクーペ感を演出。独特の凝縮感が出ている。 さらにリアドアハンドルはアルファロメオ147の如くブラックアウトされていて、一瞬無い? かのように見えるし、リアのテールランプもN-BOXならではの縦ブロックデザインでありつつ妙に短い。明らかにデザイナー陣が遊んで造ったのがわかる。そう、Funkyなのだ。 これぞインテリアショック!だが、オザワが外観以上にシビれたのは実はインテリア。それも上級「X」「X・ターボ」グレードにのみオプションで付けられる「インテリアカラーパッケージ」。 内容を考えるとオプションのお値段8万円は高くはないが、Xグレードが165万円からのため、合わせて173万円からと結構する。だが、現状受注の65%以上がXとX・ターボで、そのうち半分がインテリアカラーパッケージ装着ってハナシで、要するにこの仕様こそがN-BOX スラッシュの核であり、クオリティがメチャクチャ高い。オオゲサだが“軽の概念”を変えかねない出来だったのだ。 ちなみにこのインテリアカラーパッケージはイメージがガラリ異なる50'sっぽい「ダイナースタイル」とサーファーっぽい「グライドスタイル」、大人っぽい「セッションスタイル」の3つから選べ、現状一番人気のダイナースタイルに乗ってみたがコイツが凄い。マジで軽どころかフィットクラスでも実現できていないクオリティの高さと世界観で、これで170万円台なら安いかも? とも思える圧倒的レベルなのだ。 具体的にはまず「これって家具?」って思えるシートが驚きで、表皮は映画「アメリカン・グラフィティ」に出てくるレストランの椅子のようだし、ディテールも白黒チェックのストライプ模様がシートからインパネまで繋がっていてまるでコンセプトカーのよう。個人的にはグライドスタイルもステキで、パステル調の淡い水色はもちろん、シート表皮も本革風とは違う独特の風合いのもの。ステアリングにも専用加飾が施されているという別世界っぷりだ。 乗り心地は明らかに向上さらに走りだが、基本的に64ps&104Nmのターボと58ps&65Nmのノンターボエンジンによる加速はN-BOXと変わりないが、要所要所が作り変えられていて、驚くべき質感を発揮。 まずは乗り心地で、新しいサスセッティングとリアフロアの補強もあって、N-BOXより明らかに快適。特に試乗車はオプションの吸音、防振装備の「デッドニングキット」が付いていて、ヘタなコンパクトカーを凌ぐほど。 ついでにドアの締まり具合も良くなっているし、心なしかステアリングフィールも滑らかに感じ、新たにパワーステアリングのアシスト力を2段階で切り替えられる新装備まで付いていた。 専用スピーカーを含むオーディオシステムまで開発!それから驚きはオーディオへのこだわりだ。「やっぱり音は大切でしょう」と開発責任者の浅木さん自らが先陣に立って「サウンドマッピングシステム」を開発。 これは4コのアルミドームツィーターに、4コのケブラーコーンスピーカー、バックロードホーン型サブウーファーからなるもので、スピーカーはなんとすべて専用開発! ケブラーコーンスピーカーはその名の通り振動板にケブラーを使ったレスポンスの良いモノだし、サブウーファーは独自の反響システムを開発したキモ入り品。バックホーンのサザエの壺焼きのような巧妙な形状は驚きだ。そして実際、低音の豊かさ、中音のメリハリは軽自動車どころか高級車に迫る勢いで、「これで軽なのか?」感はますます拡大。 まだまだこだわり満載リアシートはN-BOXよりさらに進化した左右分割式で、190mmもロングスライドする上、同シリーズで初めて分割ダイブダウンが可能に。 パーキングブレーキもプッシュ1つで掛けられる電子制御システムを世界で初めてドラムブレーキで開発。見れば見るほどディテールと上質さにこだわった軽なのだ。 「ある意味、実験的でNシリーズのアンテナショップ的モデルという位置づけでもあるんです。これらシステムを他のモデルに入れるかは……わかりません(笑)」と浅木さんも言う超チャレンジングでオーバークオリティなN-BOX スラッシュ。これをどう評価するかはアナタ次第ですよ! スペック例【 G・Aパッケージ 】 【 X・ターボ 】 |
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